112.魔力道の素材
色々な書物を調べ、魔力道に作用する素材を探した。だけど、中々見つからなかった。
もしかして、魔力道とはメジャーなものじゃないかもしれない。そうしたら、記述が中々出てこない理由が分かる。
「んー……。まだ見ていない資料にある可能性もあるし……」
「どうしたんですか?」
「あっ、ピニカさん」
すると、ひょっこりとピニカさんが顔を出してくれた。
「整理は終わったんですか?」
「まだ終わってないけれど、終わる目途がついたって感じですね。これもルイさんの薬のお陰です」
どうやら、資料整理も終盤に差し掛かっているみたいだ。そしたら、ピニカさんの力を借りれるだろうか?
「あの、少し手伝って欲しいことがありまして……」
「えぇ。私で良ければ協力しますよ。仕事も大分片付いたことですし」
「だったら、魔力道について書かれた書物とかないですか? 特に素材とかで!」
ピニカさんに聞いてみると、難しい顔をした。
「魔力道なんて、マイナーなものを調べているんですね。魔力道については魔法使いの間ではそれほど重要視されていないんですよね。だから、関連の書物が少ないと思います」
「やっぱり、マイナーなんですね。でも、魔力道に関する素材の情報が欲しいんです。何かありませんか?」
「そうねぇ……」
ピニカさんは腕組をしながら考えてくれる。しばらく、待っていると――。
「魔力道に関係するものが一つだけあります」
「えっ、本当ですか!?」
「えぇ、確か魔物だったと思います。魔力道に作用する能力があるらしく、魔法使いにとっては天敵とも言える魔物がいるって聞いたことがあります」
「ありがとうございます! ちょっと、魔物を調べてみようと思います」
「それだったら、魔法生物関係の魔物辞典を調べるといいですよ。そこに載っていると思います。その書物は整理し終えたので、探してみてください」
魔物の素材……。きっと、ここに薬となる材料があるはずだ。私は早速教えられた区域にいき、魔法生物に関しての書物を手に取った。
ページをめくり、魔力道に関係する魔物を探す。探し始めて十数分――。
「あった、この魔物だ」
【イルミネロック】
・全身が岩石でできた四足歩行の魔物。
・戦闘能力は低く、強力な魔物に付き従って獲物のおこぼれを狙う。
・周囲に魔力道を乱す特殊な振動を発し、魔法の発動を妨害する。
・魔法使いにとっては天敵ともいえる厄介な存在。
・山岳地帯に生息している
「特殊な振動で魔力道を乱す? だったら、その振動を受けたら私も魔法が使えなくなるってこと?」
これは結構厄介な相手だ。強力な魔物と同行しているのも厄介で、魔法を使えなくするのも厄介だ。
「うーん。私の魔法が使えなくなるのは困るな。これは対策にアイテムを作った方がいいかもしれない」
振動を遮る物……いいや、邪魔するものを作ればいい。例えば、こちらが振動を向ければ、振動が阻害されるような……。
「……うん。対策のアイテムのイメージが出来た。よし、早速アイテムのレシピを考えに行こう」
私は席を立ちあがり、書物をしまった。作るアイテムもきっと魔法に関するものを使った方がいい。だから、このままこの資料室でアイテムに必要な素材を探す。
「えーっと、素材の資料は……あった、これか」
区域を移動すると、素材の区域を見つけた。その中から資料を何冊か取り出すと、机に戻る。
「魔力道が乱れるほどの特殊な振動って、きっと魔力が含まれているよね。だったら、作るアイテムには魔力を伝達するものがいい」
資料を読み進め、魔力を伝達する素材を探す。すると、魔法使いが使う杖が現れた。その杖を見ていると、魔力伝達を良くするためにマジックバットという蝙蝠型の魔物の翼の被膜を使っていることが分かった。
だったら、この被膜を使って太鼓の膜にする。そして、その太鼓を叩くと魔力が含まれた振動が生まれる。その振動でイルミネロックの振動を阻害すればいい。
「うん、アイテムのイメージが付いた。太鼓とマジックバットの被膜を合わせて作る」
じゃあ、あとはマジックバットの素材なんだけど……。
「もしかして、採取に行かなくても済む? だって、魔法使いの杖に使われているんだよね?」
だったら、市場を見てきて、適した素材を買ってこればいい。
「今回は楽かも! 早速、素材を見に行こう!」
外に出なくても素材が手に入るって、なんて楽なんだ! 私は書物を元に戻すと、ピニカさんに近づいた。
「ピニカさん、調べ物終わりました」
「本当ですか? 良かったですね」
「それで、ちょっと教えて欲しいことがあるんですけど……」
「えぇ、なんでも言ってください」
「マジックバットの素材ってどこに行ったら買えますか?」
「魔法協会推奨の素材屋に行くと、手に入りますよ。今、リストを持ってきますね」
ピニカさんはその場からいなくなり、数分後戻ってきた。
「はい、これがリストです。ここを当たってみてください」
「ありがとうございます! じゃあ、行ってきます!」
「はい、いってらっしゃい」
私はピニカさんと分かれ、リストに書いてある素材屋を訪れることになった。




