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この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~  作者: 鳥助
第四章

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106.液体と固形の調合

「よし、体調も万全。調合日和だ」


 一日しっかりと体を休めて、調合に備えた。お陰で体は元気いっぱいだし、頭も冴えている。これなら、どんな調合もこなせそうだ。


「まずは素材だね。カイザルスコーピオンの毒液、天水のサボテンっと」


 【素材保管】から二つの素材を取り出す。瓶に入った毒液と何も加工を施していないままのサボテン。二つが目の前に揃った。


「調合をするまえに、素材のチェックからだね」


 そう思って、二つの素材に鑑定をかける。


【カイザルスコーピオンの毒液】


・神経を麻痺する成分が含まれている


【天水のサボテン】


・正常な機能に戻す成分が含まれている


「うん、本で見た効果と変わらない。じゃあ、調合に移ろう」


 そう言って、私はまず毒液に手を伸ばした。


「これをこのまま使っちゃうと体に毒だから、毒となる成分を抜く必要がある。だから、麻痺を【成分消去】する」


 瓶を手で囲い、【成分消去】の魔法をかける。集中していくと、素材の成分が消えていく感触がした。その感触がなくなるまで魔法を発動させる。


「……うん、手ごたえはなくなった。これでどうかな?」


【カイザルスコーピオンの液】


・神経に作用する働きがある


「よし! ちゃんと、毒が抜けた!」


 予想通りの結果になった。これで、神経に作用する薬が出来上がったという訳だ。


「あとは、天水のサボテンの成分を抜いて、調合すれば……薬の完成だ」


 これは、かなりスムーズにいっている。手ごたえを感じながらも、天水のサボテンを手に取った。


「さて、これはどこに成分が含まれているのかな? 皮の部分か、実の部分か、トゲの部分か」


【天水のサボテン】


・正常な機能に戻す成分が含まれている


・成分は果肉部分に含まれている。皮やトゲには成分が含まれていない。


「よし、果肉部分ね。そしたら、やることは一つ」


 【道具召喚】でまな板とナイフを作り出すと、天水のサボテンの皮を剥いていく。綺麗に皮が外れると、瑞々しい果肉部分が見えた。


「うん、綺麗に剥けた。あとは水入りのビーカーに果肉を入れて……【成分抽出】!」


 混ぜ棒でかき混ぜながら、【成分抽出】の魔法を発動させた。だけど、いくら経っても手ごたえがない。


「んー……今はどういう状況?」


【水】


・ただの水


「あー、これじゃあ成分が出ないってことか。じゃあ、お湯にしたらどうかな?」


 水をお湯に変え、【成分抽出】を施してみた。だけど、手ごたえがない。もう一度、鑑定を施してみる。


【お湯】


・ただのお湯


「お湯でもダメかー。じゃあ、細切れにしたらどう?」


 お湯から天水のサボテンを取り出し、まな板の上で細切れにしてから、戻す。そして、また【成分抽出】を施してみる。しかし、全然手ごたえがない。ここは、鑑定に頼むしかない。


【お湯】


・ただのお湯


「これでもダメか……。じゃあ、次は乾燥をさせて……」


 細切れにした天水のサボテンを取り出し、まな板の上で【乾燥】かけてみる。すると、瑞々しかった果肉があっという間に干からびた。


「これで、成分が溶け出やすくなるかも……」


 乾燥した果肉を入れると、混ぜ棒で混ぜ合わせながら【成分抽出】を施していく。だけど、やっぱり手ごたえがない。恐る恐る鑑定をかけてみると――。


【お湯】


・ただのお湯


「嘘……これでもダメなの?」


 まさか、ここまで【成分抽出】が効かない素材があるなんて驚きだ。


「本当に成分入っている?」


 試しに調合で使った天水のサボテンに鑑定をかける。


【乾燥した天水のサボテン】


・正常な機能に戻す成分が含まれている


「あっ、まだ成分はちゃんと入っている。じゃあ、どうやって成分を取り出せばいいの!」


 思わず頭を抱えて、唸る。成分を取り出せないんじゃ、さっきの素材と合わせることが出来ない。二つを合わせないと、薬は完成しないのに……!


「ん? ……二つを合わせればいいんだよね」


 結果から考えれば、二つの成分を【合成】で合わせればいい。ということは、天水のサボテンから無理やり成分を取り出さなくてもいいということだ。


「そうか……。天水のサボテンに直接【合成】をすればいいんだ。そしたら、天水のサボテン内で成分が【合成】されて、そのまま新しい薬になる」


 いつものやり方に囚われていた。別に【成分抽出】してそれから調合じゃなくてもいいんだ。素材に直接【合成】を仕掛けるだけでいい。


 【道具召喚】で皿を用意すると、その上に先ほどまで使っていた乾燥した天水のサボテンを乗せる。その上から、カイザルスコーピオンの液をかけた。


「よし、これで【合成】をかければ……」


 素材の上で手を翳し、【合成】の魔法を発動させる。すると、二つの成分の気配を感じた。その成分が重なりあるように魔法を発動していく。


 徐々に重なり合い、混ざり合い、一緒になっていく。そうして、抵抗がなくなった。これで、出来ているといいんだけど……。


 ドキドキしながら、鑑定をかけた。


【ふやけた天水のサボテン】


・神経を正常な機能に戻す成分が含まれている


「……やった、成功だ!」


 私が求めていた成分が完成した! 良かった、私の考えは間違いじゃなかったんだ。


「これで、イザベルお母様の神経の痛みが無くなる! こうしちゃいられない、すぐにいかないと!」


 皿を手に持つと、勢いよく部屋を飛び出していった。

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