第7話「背徳の台所」
午前一時。
豪邸の広い空間は、墓場のように冷え切った静寂に沈んでいた。二階の突き当たりにある詩乃の部屋からは、物音一つ聞こえない。遠藤と散々肌を重ねた後、泥のように眠りこけているのだろう。
僕は音もなく自室を出て、素足で階段を降りた。
一階の奥、吹き抜けのリビングの片隅にあるアイランドキッチンに、薄暗い間接照明がひとつだけ灯っていた。
シンクの前に、人影があった。
白石涼子だった。
昼間の上品な装いとは打って変わり、薄い藤色のシルクサテンのナイトガウンを素肌の上に一枚羽織っているだけだった。深く切れ込んだ胸元からは豊かな双丘の谷間が覗き、裾からは熟れた白い太ももが無防備に伸びている。
氷を入れたグラスを片手に、遠くを見つめるように立ち尽くす横顔。その瞳には、夫のいない広い家で持て余した、底知れぬ孤独と熱病のような渇きが浮かんでいた。
夕方の僕の言葉が、この女の枯れかけた肉体に火をつけてしまったのだ。
眠れるはずがない。息子の顔をした僕の甘い毒が、いまもその血管を駆け巡っているのだから。
僕は足音を完全に殺し、背後から音もなく間合いを詰めた。
シンクのヘリに両手を置いていた涼子の腰へ、僕の両腕が背後から滑り込んだ。
「……っ!?」
涼子の肩が跳ね上がり、グラスの中の氷がカランと鋭い音を立てた。
逃げようと身体を捩じる涼子を、僕は力づくで引き寄せ、胸板をその無防備な背中にぴったりと押し当てた。
薄いシルク越しに伝わる、熟れた女の熱い体温。
そして僕の股間で猛り狂う白石蓮の剛直が、涼子の柔らかな臀部の割れ目へと、寸分の狂いもなく食い込んだ。
「れ、蓮……っ!? 放して……! 何をしてるの、こんな夜中に……っ」
涼子は声を殺して必死に抗議した。二階で眠る詩乃を起こすわけにはいかないという恐怖が、その抵抗をひどく控えめなものにさせていた。
「母さんこそ、こんな時間に何してるの? ……身体が火照って、眠れなかったんじゃない?」
僕は涼子の白く細い首筋に唇を寄せ、耳朶の裏を舌先でゆっくりと舐め上げた。
「ひゃん……っ!」
涼子の喉から、母親とは思えない甲高い吐息が漏れ出た。
シルクのナイトガウンの襟元に指をかけ、惜しげもなく肌を露わにする。滑り落ちた布地の隙間から、豊満で重量感のある乳房が零れ落ちた。
僕は迷わず、その柔らかな果実を真下から鷲掴みにした。
ずっしりとした大人の肉感。指先を沈めると、吸い付くような肌の弾力とともに、先端の突起がすでに固く尖り始めているのが掌に伝わってきた。
「あ……っ、だめ……っ、揉まないで……! 私はあなたの母親なのよ、蓮……神様、こんなの、罰が当たるわ……っ」
「罰なんて当たらないよ。だって、母さんをこんなに寂しくさせた父さんが悪いんだ」
僕は耳元で、甘く残酷な呪詛を吹き込んだ。
「母さん、俺を女手一つで育てる母親じゃなくて……一人の女として見たらダメなの?」
「あ……あぁっ……」
禁断の言葉が、涼子の最後の防壁を内側から粉々に粉砕した。
涼子の両手が僕の腕を掴んだが、引き剥がす力はもう残っていなかった。爪を立て、震えながら僕の腕にしがみついている。
拒絶のポーズを取りながら、その腰は無意識のうちに、僕の股間の硬い突起へと自ら押し付けられていた。
僕は空いた右手で、サテンのガウンの裾を無造作に捲り上げた。
太ももの内側を撫で上がり、薄いレースのショーツの上から、秘められた割れ目を掌全体で包み込む。
――じっとりと、熱い湿り気が布地越しに掌へ染み渡った。
「……すごいよ、母さん。こんなに濡れてる」
「言わないで……っ、お願いだから、言わないでぇ……っ!」
涼子は両手で顔を覆い、羞恥の涙を零した。
だが、肉体は嘘をつけない。
ショーツのクロッチ部分を指先で脇へずらし、露わになった蜜壷の割れ目へ、唾液で濡らした僕の指が直接滑り込んだ。
ぐちゅり、と静まり返ったキッチンに、あまりにも淫靡な水音が響いた。
「んん――ッ!?」
涼子の背中が弓なりに反り、シンクの大理石を両手で強く掴み直した。
指先を沈めると、吸い付くような熱い粘膜が、飢えた蛇のように僕の指を締め付けてくる。
何年も放置され、誰にも触れられなかった熟れた肉体が、息子の指先ひとつで歓喜の叫びを上げているのだ。
「あ……っ、いや……抜いて……っ、蓮、指が……奥まで入ってる……っ!」
「抜かないよ。母さんが、もっと欲しがってるじゃないか」
僕は二本の指を奥深くまで突き入れ、子宮口を刺激するように執拗に蠢かせた。
親指の腹で、前方の敏感な突起をピンポイントで押し潰し、円を描くように擦り上げる。
「あ゛っ……! んぐ……っ、だめ、声が……詩乃に、聞こえちゃう……っ!」
「聞こえてもいいよ。母さんが俺の指でこんなに啼いてるって、あいつに教えてやろうか?」
「いやぁっ……! それだけは……それだけは許して……っ!」
恐怖と屈辱、そして抗いがたい快楽の奔流。
息子の指に奥を掻き乱されるという絶対のタブーが、四十六歳の未亡人同然の身体を狂乱の渦へと叩き落としていく。
僕の腰が動き、パジャマの上から剛直を涼子の臀部の割れ目に激しく擦り付ける。
ジュク、ジュクと、指先が動くたびに溢れ出る愛液が泡立ち、涼子の太ももを伝って床へと滴り落ちていく。
「あ、あ……っ! わたし……お母さんなのに……イッちゃう……っ! 蓮ので、イッちゃうぅ……ッ!」
「イッて、母さん。俺の指の中で、女になって」
最後のひと突きを深く抉り込んだ瞬間、涼子の身体が激しく痙攣した。
喉の奥で悲鳴を押し殺し、シンクに額を押し付けながら、涼子は大量の愛液を僕の手のひらに吹きこぼした。
ガクガクと震える太もも。熟れた肉体が、息子の手の中で完全に果てさせられた。
息を乱し、床に崩れ落ちそうになる涼子を、僕は背後から優しく抱きとめた。
首筋に唇を這わせ、耳元で冷たく囁く。
「母さん……次は、ベッドでしようね」
涼子はもはや言葉を返すこともできず、ただ涙に濡れた瞳で僕を見上げ、熱い吐息を漏らすことしかできなかった。
その瞳の奥には、母親としての理性など一片も残っていなかった。
そこにあったのは、若い男の肉体に完全に屈服し、次の快楽を渇望する一匹の牝の顔だった。




