第8話「母胎の略奪」
翌日の白石家は、異様な緊張感に包まれていた。
涼子は朝から一度も僕と目を合わせようとしなかった。朝食の皿を並べる指先は小刻みに震え、僕が「おはよう、母さん」と声をかけるだけで、陶器のカップを危うく落としそうになっていた。
だが、その横顔は青ざめているどころか、熱病に冒されたように紅潮していた。首筋には昨日僕が吸い付いた微かな痕跡が残り、それを隠すように襟の高いサマーニットを着込んでいる。
詩乃はそんな母親の異変に微塵も気づかず、大学の友人と電話しながら「隼人が今週末も泊まりに来るから」と勝手に告げ、そそくさと出かけていった。
そして――深夜二時。
家中の明かりが落ち、完全な闇が訪れた頃。僕は自室を出て、廊下の最も奥にある重厚な両開きドアの前へと立った。
主寝室。
白石家の家長である父親と、涼子が二十年以上過ごしてきた聖域。
ノブに手をかけ、ゆっくりと押し開く。鍵はかかっていなかった。
かすかな月明かりが差し込むキングサイズのベッド。その中央で、涼子はシーツを胸元まで引き上げ、身を固くして横たわっていた。
眠ってなどいなかった。僕が来ることを、恐怖しながらも待っていたのだ。
「……蓮なの?」
暗がりから漏れた涼子の声は、掠れ、震えていた。
僕は何も答えず、ベッドサイドへ歩み寄ると、静かにスリッパを脱いでマットレスへと這い上がった。
シーツ越しに覆いかぶさると、涼子は小さく息を呑み、両手を僕の胸に当てて押し返そうとした。
「だめ……蓮、ここはお父さんの……私たちの部屋なのよ。お願いだから、出ていって……っ」
「父さんは何年も帰ってこないじゃないか」
僕は涼子の手首を片手で軽々と押さえつけ、枕元へ縫い止めた。
もう片方の手で、掛け布団を乱暴に剥ぎ取る。
月光の下に露わになったのは、薄いシルクのキャミソール一枚を纏った、豊満で艶やかな四十六歳の肉体だった。昨日よりもさらに薄着で、まるで僕に脱がされることを予期していたかのような姿。
「昼間、ずっと俺のこと考えていたでしょう? 台所で指を入れられた感触が、忘れられなかったんじゃないの?」
「ちが……っ、そんなの、嘘よ……っ!」
「嘘かどうか、確かめてあげる」
僕はキャミソールの裾を胸元まで捲り上げた。
重みのある豊かな乳房が、冷たい夜気に晒されてフルリと震える。熟れた果実のように褐色の乳首が、すでにピンと尖り、主人の興奮を裏切るように自己主張していた。
僕は迷いなくその先端に吸い付き、舌先で転がすように強く吸い上げた。
「ひゃあぁっ……!」
涼子の喉から、悲鳴にも似た嬌声が漏れた。
手首を押さえられたまま、腰がベッドから跳ね上がる。
僕は空いた手で、涼子が穿いていた極薄のショーツのクロッチに指を滑り込ませた。
――ぐちゅ、と。
触れた瞬間、指先が完全に温かい愛液に呑み込まれた。
触る前から、すでに氾濫していたのだ。息子の足音を聞きながら、暗闇で一人、恐怖と期待に震えて身体を濡らしていた証拠。
「……すごいよ、母さん。父さんのベッドの上で、もうこんなに溢れてる」
「見ないで……言わないでぇっ……! 私、もうお母さんでいられなくなっちゃう……っ!」
涼子は涙を流しながら頭を左右に振った。
だが、僕がショーツを足首まで引き剥がし、ふくよかな両太ももを左右に大きく押し開くと、その奥の秘裂は恥じらうこともなく、ポタポタとシーツに蜜を垂らして喘いでいた。
僕はパジャマのズボンを下ろし、白石蓮の若く獰猛な剛直を露わにした。
熱く脈打つ肉茎の先端を、濡れそぼる母の割れ目の入り口へとあてがう。
亀頭がジュクジュクとした粘膜を押し広げる感触に、涼子の全身がガタガタと痙攣した。
「蓮……っ、待って、それだけは……! 入れたら、本当に戻れなくなる……っ!」
「戻らなくていいよ。……母さんは、俺だけのものだ」
僕は腰を沈め、一気にその最奥へと突き入れた。
ずぶり、と重苦しい肉の結合音が主寝室に響き渡った。
「んん゛――ッ!!」
涼子の瞳が見開かれ、声にならない絶叫が喉の奥で詰まった。
二十年前に自ら産み落としたはずの息子の肉棒が、いま自らの子宮口を狂暴な力で突き上げている。
狭く、熱く、何年も男を受け入れてこなかった成熟した膣腔が、若い剛直の太さに引き裂かれそうになりながらも、歓喜の悲鳴を上げるように激しく吸い付いてきた。
「あ……っ、あぁ……っ! はいっ……入ってる……蓮のが、私の中に……っ!」
「あったかいよ、母さん……。父さんよりも、俺の方がいいだろう?」
「そん……なこと……っ、あ゛っ、あ゛ぁぁっ!」
僕が腰を激しく引き、再び根元まで叩き込むと、涼子は理性を完全にかなぐり捨てて啼き狂った。
バチン、バチンと、夫と添い寝してきたベッドの上で、肉と肉がぶつかり合う暴力的な音が響く。
シーツを爪で引き裂かんばかりに握り締め、涼子は首筋を反らせて涎を垂らした。
息子の顔をした僕のピストンに合わせて、豊満な乳房が激しく波打ち、溢れ出る愛液が結合部を泡立たせていく。
「だめ……っ、これ……良すぎる……っ! 蓮……蓮の、おちんちん……すごい……っ!」
ついにその口から飛び出した下品な言葉。
母親という仮面は、完全に粉々に砕け散っていた。
そこにいるのは、息子の若い肉欲に犯され、快楽の泥沼へと喜んで沈んでいく、ただの一匹の牝だった。
「母さん、中に出すよ。……父さんの代わりに、俺の種でいっぱいにしてあげる」
「だめぇっ……! 中だけは……っ、あ、あぁぁ――ッ!!」
最深部へとペニスを突き刺した瞬間、涼子の膣壁が狂ったように収縮し、僕の剛直をギリギリと締め上げた。
背徳の極限が、僕の脳髄を灼き尽くす。
詩乃の母親の胎内へと、僕の熱い白濁が、脈動とともに勢いよく解き放たれた。
「んん――ッ……!!」
ドクドクと注ぎ込まれる息子の精液に、涼子は白目を剥くようにして絶頂を迎えた。
全身を激しく震わせ、ベッドの上に崩れ落ちる。
事切れたように息を乱す涼子の汗ばんだ額に、僕は優しく口づけを落とした。
涼子は焦点の合わない瞳で僕を見上げると、震える両腕を僕の首筋に回し、自ら小さく唇を重ねてきた。
「……蓮……私の、蓮……」
狂気の共犯者が、ここに完成した。
詩乃が誇る家庭の心臓部は、いま完全に僕の掌の中で腐敗したのだ。




