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第6話:無痛の朝と、視線(ターゲット)の数

【賭市村康介の味覚と痛覚が、今日元に戻る可能性:0.00%】――五感を失い続けるモブと、完璧な世界(100%)を失った元・死神の少女。最悪で最高の相棒となった狙厨ねらいず ろうが、なぜか俺のクラスに転校生として潜り込んできた。激辛デスソースを無痛で啜る俺の、ちょっとイかれた学園生活が始まる。――そう思った矢先、俺の『可能性の眼』が視界を黒く塗りつぶした。【学校から生きて脱出できる可能性:4.21%】壁から、床から、そしてクラスメイトの瞳から。世界中の『視線』が俺たちをロックオンする、最悪の包囲デスゲーム(第2章)が幕開け

「お前、本当にそれ食ってんの……?」翌朝の教室。俺の席の横で、狙厨ねらいず ろうが心底引いたような声を漏らした。長い黒髪を制服のブレザーに揺らし、片目を包帯で隠したまま、彼女は俺の手元を凝視している。俺――賭市村かけいちむら 康介こうすけが口に運んでいるのは、購買で買った激辛カレーパンに、マヨネーズをこれでもかと塗りたくり、仕上げにデスソースを丸ごと一本ぶっかけた『地獄の塊』だった。「味がしねえんだから、せめて視覚的に派手なもん食わねえと、飯食ってる実感が湧かねえんだよ」ガブリと齧り付く。本来なら舌が焼け付き、のたうち回る激痛が襲うはずの劇物。だが、味覚も痛覚も失った今の俺にとっては、ただの「温かくてドロドロした有機物の塊」でしかない。【康介がこの『デスソースカレーパン』の辛みを感知する可能性:0.00%】視界の端のカウンターが、相変わらず冷徹な現実(詳細テキスト)を告げていた。「バカじゃないの……。痛覚がないってことは、胃に穴が空いても気づかないのよ? 自己管理くらいまともにしなさいよ、相棒」楼は呆れたようにため息をついた。加護を失って命を狙われる立場になった彼女は、今日から俺のクラスに『臨時の転校生』として潜り込んできたのだ。完璧な100%の世界を失った彼女は、今や俺の「痛覚の空白」を補うための、最も頼れる観察眼(相棒)だった。「心配すんな。俺の身体が内側からぶっ壊れる可能性は、毎日自分でチェックして――」言いかけた、その時だった。ゾクッ。痛覚はないはずなのに、魂の奥が冷え切るような強烈な違和感が走った。教室の空気が、一瞬にして粘り気のある泥のように重くなる。「……康介、前髪を上げなさい。たわ」楼の声のトーンが、一瞬で冷徹な『元・死神』のそれに切り替わった。彼女の片目が、教室の窓の外を鋭く睨みつけている。俺は前髪を乱暴に跳ね上げ、両目を見開いた。瞳の中でデジタルカウンターが爆発的に逆回転を始め、『可能性の眼』が起動する。だが、次の瞬間、俺は自分の目を疑った。「なんだよ、これ……っ!」いつもなら半透明の青や赤の文字がズラリと並ぶはずの視界。それが、真っ黒な『人の目』のマークで埋め尽くされていたのだ。校庭、校舎の壁、廊下、クラスメイトたちの背中――。ありとあらゆる場所に、おぞましい数の『目』のホログラムが浮かび上がり、その全ての視線が、正確に俺と楼の心臓をロックオンしていた。【康介と楼が、今日この学校から生きて脱出できる可能性:4.21%】(詳細:対抗能力者【集団凝視】の包囲網。視線の数が100を超えた瞬間、因果の呪いにより心臓が物理的に握り潰される)「おい神様! アイツはどこにいる!?」俺が心の中で叫ぶと、教室の教壇に(他の奴らには見えない姿で)腰掛け、黒板消しをジャグリングしていた与廼輪年能神(よのわ としの かみ)が、楽しそうに指をさした。『あそこだよ。学校の屋上。今回は大人数だねぇ。君たちの命を狙う視線の数、現在「87」。あと13個の目に“見つかった”ら、君たちの生存率は0%に固定されるよ』「あと、13個……!」楼が素早く俺の袖を引いた。「康介、教室の奴らがこっちを見てる! 視線が合ったら終わりよ!」見ると、さっきまで普通に雑談していたクラスメイトたちが、まるで操り人形のようにギチギチと首を回し、虚ろな目で俺たちを見つめようとしていた。街中の、学校中の『人間の目』をジャックして、視線の数で圧殺してくる最悪の集団デスゲーム。現在、視線の数:89。残り、11。「走るわよ、康介! 視界を遮る場所へ!」楼が俺の手を掴んで教室を飛び出す。廊下の曲がり角、窓ガラス、あらゆる場所から『視線』が迫る。痛覚のない俺の身体。完璧な武器を持たない彼女。逃げ切る可能性は、たったの4.21%。「ハッ、4%もあるじゃねえか……!」俺は走りながら、瞳の奥の文字を高速でスクロールさせた。「おい相棒、お前のその『100%の観察眼』で、学校中の防犯カメラと窓の位置を全部割り出せ! 1%でも勝率が上がる『バグの隙間』を、俺たちでこじ開けるぞ!」運命のカウントダウンが始まる。世界の視線に包囲された学校の中で、俺たちの命がけの第2ゲームが、今度こそ幕を開けた。(第6話・了)

第6話をお読みいただき、ありがとうございました!ここからいよいよ新章(第2章)に突入です!敵だった狙厨ねらいず ろうがまさかの転校生としてクラスにやってくるという、ラブコメ(?)日常の欠片からスタートしました。無痛なのをいいことにデスソースカレーパンを貪る康介に、楼がドン引きする温度感が個人的にお気に入りです(お腹は壊すので自己管理は大事ですね……笑)。しかし、そんなのんびりした空気を切り裂いて現れた次なる敵の能力【集団凝視】。学校中の『目』に囲まれ、見つかった瞬間に心臓が握り潰されるという、逃げ場ゼロの絶望的な状況です。生存確率はわずか「4.21%」。痛覚のないモブと、武器のない元狙撃手。この2人が学校という巨大な檻からどうやって脱出するのか、これぞ本作ならではの「世界のハッキング頭脳戦」を次回からフルスロットルでお届けします!「この新章の始まり方、ゾクゾクする!」「康介と楼のバディ、可愛くてかっこいい!」と思ってくださった方は、ぜひ応援をよろしくお願いいたします。下にあるブックマーク追加や、いいね(評価の★★★★★)をポチッと押していただけると、作者のモチベーションが100%に固定されて、第7話の更新が爆速になります!それでは、視線渦巻く校舎でのデスゲームが本格化する第7話でお会いしましょう!

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