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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 裁き 十二神域なりし時

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四十五話 神々の敗北

ロードは今は亡き“裁きの調停者(テスタメント)Ⅵ席(シスト) シエラユース

から託された宝具【残命(ざんめい)】で活路を見出し、四世界最強へと挑む。


「今のは神具かな?」


「神具?」


「今の世では、宝具と呼ぶんだっけ?

長い年月を経た物や、大切にされた物に八百万の神々が付喪神として宿った代物」


「なるほどな。だから宝具は神域に至る逸脱した力を持っていたのか」


「知らないで使っていたのかい? 現代っ子だなぁ。

まあ、その宝具のおかげで何かを得たみたいだね」


「あぁ。前任者から最大の答えを受け継いだ」


「前任者? ……あぁ、シエラか。

じゃあその答案を私に見せてほしいな。

まあ、“四界の法”を書き換えるぐらいの事をしない限り

僕を倒すなんて事は不可能だけどね」


イフは活路を見出したロードに期待している。

そんな視線を他所にロードはツグミに視線を向けた。


「ツグミ、アレをやるぞ」


「アレって……ロード、本気?」


ツグミはロードの言葉で察する。

最低最悪の悪手。最後で最終の手段。

取り返しのつかない愚行。


「ああ、どうやらあの方法以外俺らがここを出れる可能性はなかったらしい」


「分かった。ロードがそう言うのならそうなのでしょうね」


「何か悪巧みの相談かな?」


「ええ、前人未到世界滅亡級の悪巧み」


ツグミは懐から何かを取り出す。

それは以前ロードが人間界で朔桜と京都に行った時に買った

縦長の赤い布がポリ塩化ビニルで囲われた()したいことが成就するお守り。


「借りるぞ。ロード!」


ロードはツグミの能力《神降(かみおろし)》を知り

人間界の和神の加護があるお守りを事前に親和性が高いツグミへと渡していた。

ツグミの衣服が赤と黒の巫女服へと変わり、自身を囲むように九体の白狐が顕現。


「為したいことが成就する、か。随分と縁起がいいこと」


同時にロードは天に手を(かざ)す。


「現れよ、八雷神! 火雷神ブレイズ! 黒雷神クラウ! 土雷神ネザー!」


雷鳴轟き、電撃がロードの手に落ちて三柱の神々が顕現する。


「君が内に宿すのは、イザナミ様の生み出した“八雷神”か」


「全員であいつを食い止めろ」


「うるせぇロード! 命令するんじゃねぇ!」


ブレイズは怒り、人ほどの大きさの火炎となりイフへと向かうが、神雷炎の存在であるブレイズを素手で振り払う。

既にクラウの能力でイフの見るという概念を奪っており、視界は闇に閉ざされている。

エナで力を感知する事も出来ないイフは、感覚だけで戦っているのだ。


「まだ続けるかい?」


「当たり前だろうがっ!!」


再び食いついたのは軽々と払われたブレイズ。

怒りで更に大きさを増し、大樹と同じくらいの大きさへと変化していた。


災禍(さいか)!」


巨大な炎の渦がイフを取り囲む。


「生温いよ」


指二本で神が放った灼熱の渦を掻き消す。


「舐めんなぁ!」


余裕のイフの表情を見て、ブレイズは更に大きさを増す。


雷怒炎(ラグナ)!!」


両手を合わせ、雷鳴轟く深淵の業火。

万物を跡形も無く焼き消す回禄(かいろく)の雷炎を放つ。


「いい攻撃だ。でもね」


イフは神をも焼く炎を片手で振り払った。

それと同時に天が眩く光り轟く。

土雷神ネザーの世界震撼砲が天より落ちイフを穿つ。

神々の大術。並みの生物では塵一つ残らない。

神域に至った者でもただでは済まない。

現にイフの城は消え去り“高天原”にも大穴が空いている。

だが、イフは無傷。

ただ当たり前のようにこの世界に存在していた。


「まだ……やるかい?」


「当たり前だ!!」


ブレイズとネザーを天へと還し“正常盤”に乗って身体を正しい状態に戻す。

そして、再び天に手を翳した。


「現れよ、八雷神! 裂雷神クリムゾン! 伏雷神ライトニング!」


二柱の神々がイフへと攻撃を畳み掛ける。

クリムゾンの拳がイフへ触れる瞬間、イフは指一本で腕の軌道を逸らして拳をかわす。


「概念攻撃かな?」


勘でクリムゾンの“裂く”という概念の拳を理解して攻撃を受け流した。

拳の連撃を打ち出すも全てかわされ、指先一つでクリムゾンは吹き飛ばされる。

それをカバーするようにライトニングが神速の攻撃で攻めるも神速でかわされた。


「僕がこの神馬へ攻撃するのは無理みたいだね。それなら」


物理攻撃を受け付けないライトニングへの攻撃は諦め

標的を術者であるロードへ定めた。


「――――っ!」


ロードが危機を感じた時にはもう既にイフの間合い。

再びの敗北を覚悟するも、イフの攻撃を弾いたのはツグミの一太刀だった。


「一魂尾!」


九尾の神力で全ての基礎能力が跳ね上がった全力の一太刀がイフの指に届いたのだ。

そして、すかさず頭上から大振りの一撃を打ち込む。

だが、振り下ろすよりも前にイフの二本の指で刀を掴まれていた。

イフはツグミの愛刀『村正』をじっくりと隅々まで眺める。


「よく手入れのされた良い刀だね。折るにしては勿体ない」


イフにとって刀を折るのは至極簡単な事。

だが、貧乏性という性分に救われ

ツグミは愛刀を失わずに指一本で再び気絶させられた。

そのほんの些細な攻防は、ロードにとって大きなものだった。

やるべき事は済んだ。後はどれだけイフを食い止めておけるかの問題だ。


「何に期待しているんだい? さっき全方位に散った白狐? それとも神速で飛び去った神馬?」


「なんのことやら」


「誤魔化しが下手だなぁ」


一瞬で間合いを詰めたイフの指がロードの喉に突き刺さり

血がじわりと溢れ出す。


「もう戦いは終わりかい?

なら、そろそろ“裁きの調停者”としての自覚を叩き込むとしようかな」


「早とちり……すんな……まだ俺は……終わってねぇ……」


ロードはイフの腕を打ち下ろし後方へ退く。

そして、天に手を翳した。


「現れよ、八雷神! 大雷神オール!」


雷鳴轟き、稲妻から八雷神の王が顕現。

イフの前に立ちはだかった。

イフをその鋭い眼光で捉えると静かに目を伏せる。


「さて、我が主ロードよ。我はこやつを相手に()()稼げばいい?」


「何秒……だと?」


ロードは最後の頼みの綱が早々に吐いた

弱気な言葉に愕然とする。


「ああ。我でもこ奴は倒せん。勝利するのは不可能だ」


「流石イザナミ様の創られた“八雷神”の王。理解も判断も早いね」


「なら、お前の最大限の力を使って最大限の時間を稼いでくれ」


「承知した」


八雷神最強のオールは持ち前の黒い棍棒を持ってイフへと向かう。

天地がひっくり返るほどの神々の大激戦。

その攻防は言葉に表すに至れない。前人未到の領域。

天地が裂け、空間が揺らぐ。

時間にして()()()()の大激闘の末、八雷神の王は敗北した。

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