表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 裁き 十二神域なりし時

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

402/404

四十四話 五人目の協力者

創世神イザナミとの邂逅(かいこう)を終え、目を覚ましたロード。

一番最初に視界に入ったのは、今にも倒れそうな《神降(かみおろし)》したツグミの姿。

その後に汚れも傷もないイフの姿。

そして、周囲一帯が見渡せるほど見晴らしのよくなった崩壊したイフの居城だった。

ツグミが相当激しい戦闘を繰り広げたのだろうという事が垣間見える。


「遅い!!!!」


早々に大きな激励が飛び、ロードは即座に飛び上がる。


「悪い、加勢する!」


イフに攻撃を仕掛けるツグミと共にロードも即座に戦闘に加わった。

二人同時にイフへと魔術と気術を放つもイフに全ていなされる。


「ぐっすりおねんねしてる暇なんかないでしょ!

ここが最大の頑張りどころ! 死に物狂いで抗いなさい!」


ツグミの強い激励にロードはより一層の力込め攻撃を放つ。

しかし、イフは涼しい顔で攻撃をかわして、弾いていなす数分の攻防。

その果てに息を切らしているのはロードとツグミだけ。


「まったく意味のない行為を幾度繰り返せば気が済むんだい?」


「んなもん決まってる! お前を――――」


「倒すまでよ!」


ロードとツグミの息の合った攻撃がイフの両手を塞ぐ。

出し惜しみなく雷と風の上級魔術を連発で放った。


「困ったものだね」


二人の全力の攻撃をイフは易々と指一本の風圧で散らす。

指には傷すらなく、呼吸も乱していない。

羽根のような軽やかな動きで距離を取る。

距離を取ったのは、血の気の多い二人と会話をするためだ。


「頭の良い君たちはもう明確に理解しているはずだよ。

僕には絶対に勝てないって。力の差とかそういう安易な問題ですらないってさ」


「俺らの行動が意味のない行為かどうかは最後に分かる」


「最後なんてこないよ。私たちはここに居る限り永遠なんだ。

君たちもまだ信念や希望なんてものを胸に抱いているのかい?

ルシファーやティターニアのように理解できない“(しゅ)”なのかな?」


その言葉を放った瞬間全身が竦むような異様な緊張感が場を支配する。


「二人ともそんなに怯えなくても大丈夫だよ。

“戒律”がある限り、僕が君たちを殺す事はない。

せっかく神域に至った者を殺しては勿体ないしね。

だけど、“裁きの調停者(テスタメント)”としての自覚が芽生えるまで

何千、何万、何億と諦めるまで幾度となく死の間際を体験する事になってもらうけどね」


「なら、何千、何万、何億とお前が諦めるまで立ち向かうまでだ」


「いいよ。君の気が済むまで幾度でも付き合うさ。暇は持て余しているからね」


ロードの虚勢の言葉を素直に受け取ったイフは微笑みを返す。


「さあ、いつでも、どこからでも掛かって来るといい」


イフの戦闘は全て受動的。基本的に自ら仕掛けるという事はしない。

早々に仕掛けたのはロード。


「フレイレイド! アクアダーラ! 爆雷!

風衝! ツリーダーラ! ストーンニードル!」


火炎の小弾、水の柱、電撃、風撃、木の根、突き上げる石を放つ。

火水雷風樹地の“六適者(エレメンタル)”の力を存分に振るい、全ての属性攻撃を試みた。

イフは微動だにせず全てを受けた。攻撃は全攻必中。


「すごい。君“六適者”なんだ? 珍しいね。僕でも片手で数える程度しか見た事ないよ」


中級魔術ですら攻撃の次元に至っていない故、イフは避ける必要がなかったのだ。


「弱点属性は無しか。次はこれだ。ストーンアーマー!」


地の魔術で手に岩を纏い、そのまま殴り掛かる。


「…………」


メサは表情一つ変えず、指一本でロードの全力の拳を打ち砕く。

ロードの右手は見るも無惨にぐしゃぐしゃに潰れた。

想像を絶する痛みに耐えながらも


「風……造っ!」


左手で風の剣を創造。

間髪入れずに斬り掛かる。


「…………」


だが、結果など容易に目に見えている。

通用するはずがない。

剣はか細い棒切れのように指一本でへし折られる。


「ロードッ!!」


ツグミが瞬時にロードを抱えて後退。

“正常盤”まで運び、正しい状態に戻す。


「バカなの!? あんな低レベルな攻撃でイフに通用する訳ないでしょ!」


「んなもん知ってる。だが、無限に試せるなら0から試すまでだ。

幸い貧乏性なⅠ席様は俺を殺す事は絶対にないんだからな」


ロードは再び立ち上がりイフに対峙する。


「なるほど。0から僕の弱点を探そうとしているのかい?

なら、先に教えてあげるけど全て無駄だよ。

火、水、雷、風、樹、地、白、黒どの属性も効かない。

気術、精霊術、魔術、天術も効かない。

無論、打撃も斬撃も効かない。

どんな装備も、能力も、神格も、私には意味を成さない。

僕は特出した能力もエナも持たない。

だけどね、強いんだ。絶対的に強い存在なんだ。

それがⅠ席(ワールド)なんだよ」


ロードとツグミは言葉が出てこない。

全てを否定され、成す術も抗う意味すら失った。


「今の言葉に嘘偽りはないよ。全て本当さ。

深読みしないでくれ。僕が指一本だけ使っているのは、ただそれ以外を使う必要がないだけ。

表情を変えないのは、何も興味がないだけさ。特別な条件なある訳でもないよ」


勝つために試そうとした可能性の全てを本人から全て潰された。


「余計なお世話だったかな? ごめんね、口を挟んで。

さあ、次は――――何を試すのかな?」


残ったのは、絶望だけだ。

そんな逸脱した存在を相手に出来る訳がない。

全てが無駄。何をしても無駄だ。

ロードは虚ろな目で己を手を見て自身の無力さを悔やむ。

“負”が心を侵食してくる。膝が折れそうになる。

腕にもう力が入らない。脳が諦めを諭してくる。そんな時だった。

突然、一つの台詞が頭に浮かび、自然と口に出していた。


「みんな俺の帰りを待ち望んでいる」


ロードは大切な存在を親指から順に数えてゆく。

四人を数えたところで突き出された小指を見て思い出す。

大切な約束を。


「俺は帰らなきゃならねぇ」


ロードの目には黄金の輝きが戻っていた。


「(考えろ。俺は何をしてきた? 考えろ。俺はどう戦ってきた?

考えろ。俺は何を得てきた? 考えろ。考えろ。考えろ。俺が今、すべき事を)」


今までの記憶を、体験をロードを構成してきた

全てを回顧(かいこ)する。

そして、一人の言葉を思い出す。


「貴方が成す術なく打ちひしがれた時、この宝具は……必ずや貴方の活路になる事でしょう……」


裁きの調停者(テスタメント)Ⅵ席(シスト) シエラユースに残された言葉。

そして、託された宝具【残命(ざんめい)】。

ロードは思い出したかのように魔装『黒鴉の衣』の懐から

小さくて丸い透き通るような水色の硝子玉を取り出す。

そして、硝子玉越しにイフを覗き見た。


「――――っ!」


ロードが何かを掴んだと同時に【残命】に罅が入り、硝子玉はその能力を失う。


「ここまで視越(みこ)してたのか、シエラユース」


「え、シエラ? どうしてここで彼女の名を――――」


突然のシエラの名に困惑するツグミを他所に

ロードは笑みを浮かべていた。


「ツグミ。高天原を出るぞ。みんなで」


活路を得たロードは振り返りツグミを力強く見る。


「うん」


自身に満ちた頼もしいロードの背中を見てツグミは

レグルスと桜花二人の姿を重ねるのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ