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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 裁き 十二神域なりし時

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四十三話 歪な法

「起きて。ロード」


か細い透き通るような声で俺は目を覚ます。

影すらない白い虚無の空間で女が俺を見下ろしていた。

その女は風すらない空間で真っ白い長髪を(なび)かせる。


「誰だ、お前?」


不思議と軽やかな身体を起こし、女の正体を問う。


「祖は……いや、私は……創世神イザナミだよ」


「創世神……イザナミ……?」


「そう。この“世界”を、“高天原”を創世した二神の一神です」


「なるほど。じゃあ、お前が俺を閉じ込めた元凶ってわけか」


「……そうだね。貴方たちの“物語”の元凶には違いないかな」


その妙な言い回しが少し気になったが、深くは追及しない。


「で、その創世神が俺になんの用だ? これはどういう状況なんだ?」


この異様な空間とこの異様な状況の説明を求める。


「先に状況から説明すると、貴方はイフにやられて死ぬ寸前にまで陥ったところかな」


「俺が負けた?」


「負けた事にすら気づいてないよね。

先に忠告しておくとイフと“戦う”というのは無理だよ。

あれは私たちが創り出した“法”の具現化みたいなもの。

魔界の生物より強く、天界の生物より硬く

精霊界の生物より速く、人間界の生物より賢い。そんな法内な存在」


「それがなんだ。俺らが今更退くなんて事はない。

俺らは何を言われようが、どんな手を使おうが、お前が創ったこんな歪な法の世界をぶち壊してここを出る!」


俺は自分の意思をはっきりと伝えた。

女は表情を変えず俺の言葉に頷く。


「君たちの大儀は間違っていない。

間違っているのは、創世時に私たちが定めた“四界の法”の中でも、今や“裁きの調停者”は歪な法。

大悪を退けるための法が、大善すらも組み込む機構になってしまった。

それは、役目を放棄した私のせい。

そして、改善を放棄した彼のせい。

根本から壊さない限り修復されない“四世界の法”。

いつか、誰かがやるべき四世界の、生命の課題。

それを貴方がしてくれるのは、私にとって喜ばしく、心苦しくもある。

過酷な運命を背負わせた私たちを、貴方たち兄妹は恨んで然るべきだよ」


「突然なんの話だ?」


「気にしないで。こっちの話だよ。一人の胸に収めておくにはどうにも苦しくてね。

どうせ話してもほとんど忘れちゃうから独り言として聞き流してくれて平気だから」


「じゃあ一人で勝手に一人で喋ってろ。俺はもう行く。早く出せ」


自称神の独り言に付き合ってられん。


「ちょちょちょ! 待って、待ってよ! 用はまだあるんだよ!

一つだけ記憶を持ち帰らせてあげる! それが本題だから! 報酬あげるから! ね?」


「要らん」


「なんでも答えてあげれるよ!? なんでもだよ!?

何が知りたい? “高天原”の壊し方を知りたい? イフの欠点が知りたい?

それとも――――」


「こっちは仲間が待っている。戯言を聞いてる時間はない。早急にこれだけ答えろ」


「はいはい、じゃあそれでいいよ~。どんな記憶をご所望かな?」


不満そうな神を前に俺は一番聞きたい事だけを問う。


「俺の妹、並木朔桜は今も元気か?」


「――――」


問いかけに女は目を大きく開き

半口を開けたまま数秒間硬直した。


「ぷ」


そして


「あははははは!!」


盛大に笑い出した。


「なんだお前」


「いやいやいやいや! なんだはそっちでしょ!

はぁ~~~おっかしい! 絶望的な状況でなんでもどんな事でも聞けるのに

今一番聞きたいのが妹の状況ってどんなシスコンよぉ~もうおかしぃ~~」


なんか見た目も仕草も話し方も若干朔桜に似てるのが嫌にイラつく。

ぶち殺していいかこいつ。


「そんな顔しないで、答える、答えるよ!

朔桜は今もちゃんと元気だよ! それに君の仲間たちもね」


「雑多共の情報は聞いてないが?」


「これは笑わせてくれたサービスだよ。

創世神には内緒ね。私がその創世神なんだけど」


なんだこいつ。


「あいつが無事ならいい。早く俺を元の世界に戻せ」


「そうだね。みんな君の帰りを待ち望んでいるもんね」


みんな待ち望んでいる、か。この世界に時は流れていない。

俺は体感一年近くこの世界で過ごした。

向こうの世界の時間だと一年近く待たせてる事になるはずだ。

なら一分一秒でも早く戻って朔桜との約束を果たし

この世界に送り付けたメサ・イングレイザの野郎に借りを返さないと気が済まない。


「ロード・フォン・ディオス。どうか、この世界を壊して。

“四界の法”を正し“裁きの調停者”たちを救ってあげて――――」


「言われずともそのつもりだ」


「なら頑張って。そして、ごめんね」


憂いた表情で言葉を残すとイザナミは眩い閃光と共に消えた。

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