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W×Ⅱorld gate ~ダブルワールドゲート~  作者: 白鷺
六章 裁き 十二神域なりし時

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四十六話 魔神竜開放

ツグミと八雷神たちの尽力で一分七秒もの貴重な時間を得た。

勝率皆無なイフとの戦闘は無意味ではない。

その間にやるべき事は済んだ。やれる事は全てやり尽くした。


「少し身体が鈍ったかな。

久しぶりにあんなに身体を動かしたよ」


Ⅲ席(サネル)ルシファーをも圧倒した八雷神の王オールと対峙したにも関わらず

イフは全くの無傷。疲労している様子も一切感じられない。

少し気だるそうにゆっくりとロードたちへと視線を移す。


「君たちのやりたい事はもう済んだかい?」


「ああ」


「そうか。なら……お仕置きの時間だね。

裁きの調停者(テスタメント)”としての自覚が芽生えるまで。

もうここを出ようなんて思えないほどに、君たちの尊厳を――――壊そうか」


イフが静かに足を進め、一歩一歩とロードに近づいてゆく。

ロードはイフの足の動きに合わせて一歩一歩と後退する。

イフがその気になれば一瞬で間を詰め、一瞬で片が付く。

ロードが出来る事は後は仲間を信じ、その時が来るのを一歩一歩とただひたすら待つのみだ。

気づくとロードの背には壁があり、もう後には下がれない。


「心の準備は出来ているかな?」


「そっちこそ。身体が訛ってるなら準備体操しておけよ。

これから大層な祭りが始まるぜ?」


ロードの意味深な言葉に表情を曇らせながらも

右の指を突き出そうとするイフ。

その時だった。

安寧の高天原の暖色の空が、突如として現れた闇に呑まれてゆく。

清らかに澄んだ空気は()せ返るほどの瘴気に変わり

過ごしやすい適温の環境は肌がヒリつくような熱さへと豹変した。


「ロード……君の狙いはこれか」


ロードは言葉にはせず不敵な笑みで返事をする。


「大変な事をしてくれたね。

これは四世界、全生命に対して破壊行為だ。

高天原創造以来の大問題だよ」


「それは大層名誉な称号だな」


巨大な複数の黒炎柱が天空を覆い

不滅の黒炎が高天原を無差別に、無慈悲に破壊し焼き尽くす。

破壊された高天原は即座に修復機構が働くが

未来永劫燃え続ける黒炎が世界の修復を阻む。

永遠の楽園は一変壊炎の孤島へと姿を変えた。


「君たちは戒律を破りⅡ席(セド)“魔神竜”ソロモンを開放したんだね。

アレを起こした目的は何だい?」


「決まってんだろ? 最強のⅠ席(ワールド)様」


「そうか。アレをあてに私を倒すつもりなんだね。でも、残念。

確かにソロモンは強い。けどね、僕が負けるなんて事はありえないよ」


瞬間、イフは追い詰めたロードに目もくれず

神速でソロモンを沈黙させに向かった。

イフが急ぐほどに高天原の被害は甚大。

黒炎柱の一撃で高天原の四割程が消し去られた。


「後はあの魔神竜が俺らの期待通りにしてくれれば御の字だが……」


ロードは気絶させられたツグミを“正常盤”まで運んで正す。

ツグミが早々に目を覚ますとすぐに口を開いた。


「この空と灼炎……計画は? どこまでいったの?」


「カウルが上手くやってくれた。事の顛末はあの怪物次第だ」


「勇者にアレを解放させるなんて鬼畜ね」


「あいつも覚悟のうえだろ。それに俺らもな。

腹を括れよ、ツグミ。この先の結末は俺らが背負う罰だ」


「言われなくても。この場に赴いた時点で既に覚悟はしている」


ロードはツグミの言葉に乾いた笑いを浮かべ頭上を見上げる。

そこには悠然と天空に蜷局(とぐろ)を巻く

六百六十六メートルの災悪の魔神が顕現していた。

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