「雪熊チェイスと恋の吊り橋」
「雪熊チェイスと恋の吊り橋」
橋を渡り切った春たちは、
雪原へ倒れ込んでいた。
「はぁ……はぁ……」
全員ボロボロ。
リリィは完全に雪へ埋まっている。
「もう動けないですぅ……」
レオナは笑いすぎで腹筋が痛い。
「お前ら最高すぎるだろ……!」
ミアが怒鳴る。
「笑ってる場合!?」
その時。
ぐぅぅぅ〜……
静寂。
全員が止まる。
音の主。
春だった。
春、真顔。
「……腹減った」
レオナ、爆笑。
「タイミング!!」
結衣も思わず吹き出す。
「さっきあんな危なかったのに!?」
春は真剣だった。
「命の危機でカロリー消費した」
アリアがぽつり。
『ちょっと分かる』
「アリアさんまで!?」
すると。
ルナがドヤ顔で前へ出た。
まだ魚を持ってる。
「ふっ」
春、呆然。
「まだ持ってたの!?」
ルナは誇らしげ。
「この魚が我らを救う」
ミアが頭抱える。
「元凶なのに!?」
その後。
雪原で即席キャンプ開始。
レオナが火を起こす。
春は魚を焼いていた。
すると。
結衣が隣へ座る。
「……ありがとね」
「ん?」
「さっき」
結衣は少し照れながら言う。
「橋で助けてくれて」
春は少し笑った。
「当たり前だろ」
結衣の心臓が跳ねる。
また自然にそういうこと言う。
ずるい。
その時。
春が突然。
「あ」
「え?」
春は結衣の頬へ手を伸ばした。
結衣、停止。
顔真っ赤。
「!?!?!」
だが。
春が取ったのは。
ほっぺについてた焼き魚の炭。
「ついてた」
結衣。
数秒固まる。
レオナ、爆笑。
「また天然発動してる!!」
リリィが転げ回る。
「これは重症ですぅぅ!!」
結衣、真っ赤。
「もぉぉぉ!!」
アリアは少し不思議そうに見ていた。
『……今の、照れるところなの?』
ミアが即答。
「照れる」
ルナが頷く。
「恋愛教科書レベル」
春だけ分かってない。
「???」
その時。
魚が焼き上がった。
ルナが超真剣。
「いただきますの構え」
「構えって何!?」
だが次の瞬間。
アリアが魚を見つめて言う。
『……それ、頭から食べるの?』
全員止まる。
春。
「え?」
アリア。
『深淵ではそうだった』
沈黙。
レオナ。
「ワイルドすぎるだろ」
アリアは少し困る。
『変?』
結衣が慌てて首を振る。
「へ、変じゃないよ!」
春も笑う。
「好きに食べればいいだろ」
アリアの瞳が少し揺れる。
“好きにしていい”
その言葉。
彼女には、まだ少し慣れなかった。
でも。
嫌じゃない。
アリアは小さく魚をかじる。
その時。
熱かった。
『あつっ』
春たち。
「「「あっ」」」
アリア、無表情のまま涙目。
口を押さえてる。
結衣が慌てる。
「だ、大丈夫!?」
アリアはこくこく頷く。
でも。
黒銀の羽根が大量に舞っていた。
ルナ、真顔。
「恥ずかしさ大爆発の羽根」
『言わないで……』




