結衣「なんで起きてるのルナ!?」
夜。
吹雪を越えた春たちは、
小さな宿へ泊まっていた。
木造の古い宿。
暖炉の火が、ぱちぱち鳴っている。
そして現在──
レオナが叫んでいた。
「肉だぁぁぁぁ!!!」
テーブルいっぱいの料理。
シチュー。
焼き魚。
パン。
雪国名物のチーズ鍋。
リリィはもう限界だった。
「幸せですぅぅ……」
ミアは呆れている。
「戦闘より元気じゃん」
春も久しぶりに気が抜けていた。
「うま……」
結衣は少し嬉しそうに笑う。
「よかった」
実は。
結衣が手伝って作ったらしい。
春がもう一口食べる。
「これ結衣作ったの?」
結衣が照れる。
「す、少しだけね」
春は素直に笑った。
「めちゃくちゃ美味しい」
結衣、停止。
顔が赤くなる。
「〜〜〜っ!!」
リリィが机を叩く。
「出たですぅ!!
天然好感度爆上げ発言!!」
春「?」
アリアは鍋を見つめていた。
『……美味しい』
その一言だけで、
結衣はちょっと嬉しくなる。
だが次の瞬間。
レオナが鍋へ大量の香辛料を投入。
ミアが絶叫。
「待って!?
何入れたの!?」
「ノリ」
「料理で一番危険な理由!!」
数秒後。
全員。
「「「辛ぁぁぁぁぁ!!!」」」
リリィ、涙目。
アリア、無言で水を飲む。
春は咳き込み。
結衣は涙目で笑っていた。
こんな時間が、
少しずつ増えていた。
その夜。
部屋割り問題が発生した。
宿屋のおばちゃんが言う。
「二部屋しか空いてないよ」
全員固まる。
春「え?」
結衣「え?」
レオナ、ニヤァ。
「ほぉ〜?」
ミアが即座に指示。
「男子部屋、女子部屋でしょ」
だが。
問題発生。
ルナが言った。
「我は猫だからどっちでもいい」
「めんどくさい存在!!」
さらに。
アリアが静かに言う。
『私はどこでも』
レオナが笑う。
「春んとこ行けば?」
結衣「!?」
春「!?」
アリア「?」
アリアは本気で意味が分かっていない。
『だめなの?』
結衣が真っ赤になる。
「だ、だめとかじゃなくて!!」
ルナが真顔。
「修羅場の匂い」
「違うから!!」
結局。
春・レオナ・ルナ。
結衣・ミア・リリィ・アリア。
で分かれることになった。
──深夜。
春は眠れなかった。
隣ではレオナのいびき。
「ぐごぉぉ……」
うるさい。
その時。
コンコン。
窓を叩く音。
開けると。
結衣がいた。
毛布に包まっている。
「……眠れなくて」
春は少し笑う。
「奇遇」
二人で廊下へ座る。
静かな夜。
雪が降っている。
結衣は小さく笑った。
「最近、毎日すごいね」
「だな」
「でも」
結衣は少し照れながら言う。
「楽しい」
春の胸が少し熱くなる。
その時。
ガチャ。
扉が開く。
アリアだった。
しかも寝ぼけている。
『……水……』
だが。
春と結衣を見て停止。
数秒後。
黒銀の羽根がぶわっと舞う。
ルナ(いつの間にかいる)
「嫉妬の羽根」
『違う!!』
結衣「なんで起きてるのルナ!?」




