金色
巨大な光が、夜空を覆った。
──パァァァァァァァ……!!
闇が押し流されていく。
深淵王の巨大な黒い眼が、激しく揺らいだ。
──『馬鹿な……』
アリアの身体を縛っていた黒い鎖が、次々と砕け散る。
──パリン。
──パリン。
黒翼から、闇が零れ落ちていく。
アリアは春の手を握ったまま、呆然としていた。
暖かい。
怖くない。
誰かが、自分を拒絶していない。
そんな感覚。
もう二度と得られないと思っていた。
アリアの瞳から、涙が溢れる。
『……なんで』
声が震える。
『私はいっぱい壊したのに』
『いっぱい傷つけたのに』
春は笑った。
「これから、やり直せばいい」
アリアが息を呑む。
結衣も優しく笑う。
「一緒に進めばいいよ」
その言葉に。
アリアの心の奥で、何かが崩れた。
ずっと凍っていた場所。
ずっと、孤独だった場所。
そこへ。
暖かな光が入ってくる。
深淵王が怒りで空を震わせる。
──『くだらぬ』
巨大な黒雷が、再び集まり始めた。
世界を消し飛ばすほどの闇。
ミアが青ざめる。
「こんなの防げない!!」
ゼルヴァも剣を構える。
「来るぞ!」
だが。
春は前へ出た。
結衣も隣へ並ぶ。
そして。
アリアも、二人の隣へ立った。
リリィが目を丸くする。
「アリアさん……」
アリアは涙を拭う。
まだ怖い。
でも。
もう逃げたくなかった。
アリアは小さく呟く。
『……私も、守りたい』
その瞬間。
黒翼が変化した。
闇だった羽根へ、虹色の光が混ざっていく。
深淵と光が、共鳴していた。
エリシアが驚愕する。
「深淵融合……!?」
春は笑う。
「いけるな?」
アリアは少しだけ笑った。
壊れそうだった笑顔。
でも。
確かに、暖かかった。
『……うん』
三人の紋章が、同時に輝く。
虹色。
金色。
黒と銀。
光が混ざり合う。
《新共鳴確認》
《Tri-Bloom》
空間そのものが震えた。
結衣の魔導書が、新たなページを開く。
そこへ浮かぶ最後の言葉。
《希望は、孤独を越える》
春が剣を掲げる。
結衣は花を咲かせる。
アリアは黒翼を広げた。
そして。
三人は同時に叫ぶ。
「「「Tri-Bloom!!」」」
──ズァァァァァァァァァ!!!!!!
巨大な光の樹が、空へ咲いた。
虹色の幹。
金色の花。
黒銀の翼。
それはまるで、“世界そのもの”みたいだった。
深淵王の黒雷と激突する。
──ドォォォォォォン!!!
世界が白く染まる。
川が揺れる。
空が割れる。
でも。
光は止まらなかった。
春が叫ぶ。
「一人じゃない!!」
結衣も涙を流しながら叫ぶ。
「だから、前に進める!!」
アリアも声を重ねる。
『孤独なんかに、負けない!!』
その瞬間。
巨大な黒い眼へ、亀裂が入った。
──パキン。
深淵王が初めて苦しそうな声を漏らす。
──『……ありえぬ』
光が、闇を貫いた。
──パァァァァァァァァ!!!!!!
そして。
巨大な黒い眼が、完全に砕け散った。




