表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
78/102

どこか、安心したみたいな声へ。

虹色と金色の光が、激しく重なり合う。


──ドクン。


春と結衣の心が、直接響き合った。


結衣の苦しさ。


怖さ。


そして。


“春を失いたくない”という想い。


全部、春へ流れ込んでくる。


春は息を呑んだ。


こんなにも。


自分のことを想ってくれていたなんて。


結衣は涙をこぼしながら、春の服を握る。


「……もう嫌なの」


声が震えていた。


「春くんが傷つくの見るの」


春は胸が締め付けられる。


結衣は泣きそうな顔のまま続けた。


「一人で無茶して」


「平気な顔して」


「でも本当は、ちゃんと痛いのに……!」


春は言葉を失う。


見抜かれていた。


ずっと。


結衣は春を見ていた。


誰よりも近くで。


結衣は涙を拭う。


「もっと頼ってよ……」


その言葉が。


まっすぐ春の心へ刺さった。


春はずっと、“守る側”でいようとしてた。


一人で抱え込んで。


誰にも心配かけないように。


でも。


結衣は違った。


傷ついた春を見るたび、苦しくなっていた。


春はゆっくり笑う。


少し困ったみたいに。


でも。


すごく優しい顔で。


「……ごめん」


結衣は首を振る。


「謝ってほしいんじゃない」


涙目のまま、春を見る。


「隣にいてほしいの」


静かな声。


でも。


その一言だけで、春の胸が熱くなる。


春はゆっくり、結衣の頭へ手を置いた。


「……いるよ」


結衣の瞳が揺れる。


春は続けた。


「ちゃんと隣にいる」


その瞬間。


結衣の涙が、ぽろっと落ちた。


嬉しかった。


怖かった心が、少し軽くなる。


その時。


水竜が再び苦しそうに暴れた。


──グォォォォ!!


黒いコードが、さらに侵食していく。


ゼルヴァが叫ぶ。


「限界だ! 完全暴走するぞ!」


ミアも焦る。


「今止めなきゃ、第二の鍵ごと壊れる!!」


春は剣を握る。


結衣も杖を構える。


そして。


二人は自然に手を重ねた。


今度は、迷いなく。


暖かい。


お互いの鼓動が伝わる。


《感情共鳴率──最大到達》


《新術式解放》


結衣の魔導書が、まばゆく輝いた。


ページへ浮かぶ文字。


《Twin Bloom》


《Heart Resonance》


エリシアが目を見開く。


「心の完全同期……!?」


春は結衣を見る。


結衣も、春を見る。


怖い。


でも。


今なら、乗り越えられる。


一緒なら。


春が笑った。


「行こう」


結衣も涙を拭いて笑う。


「うん!」


その瞬間。


虹色と金色の光が、水面いっぱいへ広がった。


花が咲く。


星が舞う。


優しい光が、水竜を包み込む。


水竜の黒い瞳が揺れる。


『……ア……』


春が叫ぶ。


「もう苦しまなくていい!!」


結衣も叫ぶ。


「絶対助けるから!!」


巨大な光が、空へ駆け上がった。


そして。


水竜を縛っていた黒いコードが、少しずつ砕け始める。


──パリン。


──パリン。


光の粒が、水面へ落ちていく。


水竜の咆哮が、少しずつ変わった。


苦しみじゃない。


どこか、安心したみたいな声へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ