二人は一緒に空へ飛び上がった。
春と結衣の手が重なった瞬間。
──ドクン。
二人の紋章が、同時に脈打った。
虹色と金色の光が混ざり合う。
暖かい。
まるで、お互いの心が直接伝わってくるみたいだった。
春は結衣の想いを感じる。
怖い。
でも。
隣にいたい。
支えたい。
その気持ちが、真っ直ぐ伝わってくる。
春の胸が熱くなる。
結衣も感じていた。
春の孤独。
ずっと一人で頑張ってきたこと。
誰にも弱さを見せなかったこと。
そして。
本当は、少し怖かったこと。
結衣はぎゅっと春の手を握る。
「一人じゃないから」
春が息を呑む。
その言葉だけで。
心が軽くなる。
ヴェルナは静かにそれを見つめていた。
『……なるほど』
黒花がさらに増える。
空が闇に染まっていく。
『ならば試してやろう』
巨大な黒槍が生成された。
今までとは比べ物にならない。
空間そのものが悲鳴を上げている。
ミアが叫ぶ。
「まずい!! 街が消える!!」
リリィが涙目になる。
「止めないとですぅぅ!!」
だが。
春は逃げなかった。
結衣も。
もう震えていない。
二人の紋章が強く輝く。
《感情共鳴率──上昇》
《双花接続──深化》
結衣の魔導書が、自動でページをめくる。
そして。
新たな術式が浮かび上がった。
《双花覚醒術式》
《Bloom Heart》
レオナが目を見開く。
「名前もう強そう」
春が笑う。
「確かに」
結衣も少し笑った。
不思議だった。
さっきまで怖かったのに。
春が隣にいるだけで、前を向ける。
春も同じだった。
結衣が支えてくれる。
それだけで。
折れそうだった心が、また立ち上がれる。
春は剣を握る。
結衣は杖を構える。
そして。
二人は同時に叫んだ。
「「Bloom Heart!!」」
──パァァァァァァァ!!!
巨大な花が、夜空いっぱいへ咲いた。
虹色の世界樹。
金色の星花。
二つが絡み合い、一つの巨大な光となる。
その中心で。
春と結衣の身体が、光に包まれた。
春の服が、白銀と虹色の戦装束へ変わる。
結衣の魔法衣も、星と花を纏った神秘的な姿へ変化した。
リリィが大興奮する。
「かっこいいですぅぅぅ!!」
レオナも叫ぶ。
「主人公感やべぇ!!」
ヴェルナの巨大な瞳が細くなる。
『……愛か』
静かな声。
でも。
どこか寂しそうだった。
春は剣を向ける。
「これは、そんな大げさなもんじゃない」
結衣が少し赤くなる。
「えっ」
春は笑った。
「でも」
結衣を見る。
「大切なんだ」
結衣の胸がドキッと跳ねる。
顔が真っ赤になる。
でも。
嬉しかった。
ヴェルナは静かに目を閉じた。
『そうか』
次の瞬間。
巨大な黒槍が放たれる。
世界を貫く終焉の一撃。
だが。
春と結衣は、同時に前へ踏み出した。
二人の光が重なる。
そして。
巨大な“花と星の剣”が生まれた。
春が叫ぶ。
「行くぞ!!」
結衣も涙目で叫ぶ。
「うん!!」
二人は一緒に空へ飛び上がった。




