「世界を、咲かせるぞ」
──ゴォォォォォォォ!!!
世界樹神装機が立ち上がる。
超巨大の鋼鉄の身体。
虹色の回路。
背中には、光の翼。
胸部には巨大な世界樹紋章が輝いていた。
深淵王の無数の目が見開かれる。
『……世界樹』
春は操縦席で拳を握る。
「うおおお……!」
少し動くだけで、空間が震える。
レオナが大興奮だった。
「ロボだぁぁぁ!!」
ミアがツッコむ。
「戦闘中だからね!?」
リリィも目をキラキラさせている。
「かっこいいですぅぅ!!」
ゼルヴァだけは冷静だった。
「騒ぐな。来るぞ」
その瞬間。
深淵王が黒腕を振り下ろした。
──ズドォォォォン!!!
巨大な闇が迫る。
春は咄嗟に操縦桿を握った。
「避けろぉぉ!!」
世界樹神装機が横へ跳ぶ。
黒腕が空間を削り取った。
もし直撃していたら、一撃で終わっていた。
ミアが叫ぶ。
「右からも来る!!」
無数の黒槍。
春は剣を構える。
「切り裂けぇぇ!!」
世界樹神装機の巨大剣が虹色に輝く。
──ズァァァァン!!
黒槍を一刀両断。
そのまま突撃する。
深淵王が咆哮する。
『愚かな』
巨大な黒球を放つ。
空間崩壊エネルギー。
オメガの声が響いた。
『左腕砲門、解放』
春が目を見開く。
「撃てるのか!?」
レオナが笑う。
「撃つしかねぇ!!」
春はレバーを叩いた。
──ガコン!!
世界樹神装機の左腕が展開される。
巨大砲。
虹色のエネルギーが集まった。
春は叫ぶ。
「ぶっ飛べぇぇぇ!!」
──ドォォォォォン!!!
虹色砲撃。
黒球と激突する。
凄まじい爆発。
衝撃波で空間が割れた。
だが。
深淵王は止まらない。
無数の黒目が光る。
『絶望せよ』
その瞬間。
春たちの頭へ、幻覚が流れ込んだ。
暗闇。
崩壊した世界。
仲間たちが倒れている。
ゼルヴァも。
ミアも。
ノアも。
全員が消えていく。
春は息を呑む。
「……っ」
心が折れそうになる。
怖い。
全部失うのが。
その時。
肩へ手が置かれた。
ゼルヴァだった。
「見るな」
黒花魔力が広がる。
幻覚が霧散する。
ゼルヴァは静かに言った。
「未来は決まっていない」
ユナも頷く。
「私たちは生きる」
レオナが笑う。
「負ける気ねぇしな!」
リリィが泣きながら叫ぶ。
「絶対帰りますぅぅ!!」
春はハッとする。
そうだ。
一人じゃない。
深淵王が苛立つ。
『何故折れぬ』
春は剣を握る。
「繋がってるからだ!!」
その瞬間。
世界樹神装機がさらに輝いた。
虹色の光が、仲間たちを包む。
オメガの声が響く。
『最終機構、解放可能』
ミアが目を見開く。
「まさか……!」
春も気づく。
操縦席の中央。
最後のレバー。
《WORLD BLOOM》
レオナがニヤリと笑う。
「切り札っぽい名前だな」
ゼルヴァが目を細める。
「使えば、この機体は崩壊するかもしれん」
静寂。
春はレバーを見る。
深淵王はどんどん巨大化している。
このままじゃ世界が呑まれる。
ノアが春を見る。
不安そうな瞳。
でも。
春は笑った。
「大丈夫」
仲間たちを見る。
みんな頷いていた。
春は深く息を吸う。
そして。
最後のレバーへ手をかけた。
「世界を、咲かせるぞ」




