世界最後
深淵王が咆哮する。
──グォォォォォォォ!!!
音だけで空間が砕けた。
アーク・ギアの歯車が吹き飛び。
空に巨大な亀裂が走る。
リリィが耳を押さえて涙目になる。
「うるさいですぅぅ!!」
だが。
笑っている余裕はなかった。
深淵王の姿は、あまりにも巨大だった。
黒い惑星みたいな身体。
無数の赤い目。
その周囲では、空間そのものが崩壊している。
ミアが震える声で呟く。
「……こんなの、どうやって」
ゼルヴァが静かに前へ出る。
「倒すしかない」
レオナが笑う。
「シンプルで助かる!」
「助かってないだろ!?」
春がツッコむ。
だが。
その瞬間。
深淵王の目が、一斉に開いた。
『滅べ』
無数の黒光線。
──ズドドドドドド!!!
空間が消し飛ぶ。
春たちは散開した。
ユナが超高速で斬り払い。
ミアが雷で軌道を逸らす。
ゼルヴァが黒花結界を展開。
だが。
防ぎきれない。
「ぐっ……!」
レオナが吹き飛ばされる。
アイリスが結界を張る。
リリィが必死に回復光を飛ばした。
深淵王が笑う。
『脆い』
その時。
オメガがゆっくり立ち上がった。
銀色の瞳。
もう赤くない。
オメガは深淵王を見上げる。
『……終わらせる』
深淵王の目が細くなる。
『器風情が』
オメガの身体が光り始めた。
アーク・ギア全体と共鳴する。
ミアがハッとする。
「まさか……!」
オメガは春を見る。
『世界樹継承者』
春も気づいた。
「お前……!」
オメガは静かに笑った。
初めて、人間みたいに。
『私は、この世界の管理者』
巨大な歯車が回転する。
『ならば最後まで役目を果たそう』
その瞬間。
アーク・ギア全体が変形を始めた。
──ガコン、ガコン、ガコン!!
巨大都市そのものが動き出す。
空間が震える。
リリィが口を開ける。
「へ?」
レオナが目を輝かせる。
「おいおい……!」
アーク・ギアの外壁が展開。
無数の砲台。
巨大な機械腕。
翼。
そして。
超巨大な人型機械へ変形した。
ミアが叫ぶ。
「機械神形態……!」
オメガの声が響く。
『搭乗してください』
春たちは固まる。
レオナが爆笑した。
「ロボットきたぁぁぁ!!」
「テンション上がってる場合か!?」
でも。
春もちょっとワクワクしていた。
ゼルヴァが呆れ顔をする。
「男という生き物は……」
ガルドの通信が入る。
『乗れぇぇぇ!!』
スカイライン・ゼロも合流する。
仲間たちが次々と機体内部へ飛び込んだ。
春は最後にオメガを見る。
「お前は?」
オメガは静かに答える。
『中枢から支援します』
その瞳は、もう孤独じゃなかった。
春は頷く。
「一緒に戦おう」
オメガが少し驚く。
そして。
小さく笑った。
『……了解』
その瞬間。
深淵王が巨大な黒腕を振り下ろす。
『消えろ』
春は操縦席へ飛び込んだ。
世界樹剣を掲げる。
すると。
巨大機械神の胸部へ、虹色の世界樹紋章が浮かび上がった。
オメガの声。
『世界樹神装機──起動』
巨大な瞳が光る。
機械神が立ち上がった。
春は叫ぶ。
「行くぞぉぉぉぉ!!」
巨大ロボット対、深淵王。
世界最後の戦いが始まった。




