“何か”に支配されていた。
──0。
その瞬間。
終焉砲が発射された。
──ギュォォォォォォォ!!!!
超巨大な赤い光が、空間を裂きながら放たれる。
世界を焼き払うための一撃。
春は目を見開いた。
「やばっ……!」
だが。
次の瞬間。
中枢空間全体へ、虹色の花びらが舞った。
──パァァァァ……
世界樹剣が、自動的に輝いていた。
フローラの声が響く。
──繋いでください。
セレスも続ける。
──世界を。
春は息を呑む。
その時。
春の脳裏へ、仲間たちの顔が浮かんだ。
ゼルヴァ。
リリィ。
ユナ。
レオナ。
アイリス。
ミア。
ガルド。
そして。
ノア。
みんなが戦っている。
誰かを守るために。
春は叫んだ。
「世界樹ぉぉぉ!!」
剣を振り上げる。
巨大な花の紋章が空間いっぱいへ広がった。
虹色の光。
そして。
終焉砲へ、巨大な“花の壁”が展開される。
──ドォォォォォン!!!
赤い光と虹の壁が激突した。
空間が揺れる。
歯車が悲鳴を上げる。
春は歯を食いしばる。
「ぐぅぅぅ!!」
強すぎる。
押される。
その時。
ノアが春の背中へ手を当てた。
青い光が流れ込む。
「春!!」
世界樹が共鳴する。
さらに。
遠くから声が響いた。
「踏ん張れぇぇぇ!!」
レオナ。
「春!!」
ユナ。
「負けないでくださいぃぃ!!」
リリィ。
次の瞬間。
中枢空間へ、黒い花が咲いた。
ゼルヴァだった。
「遅れたな」
春が目を見開く。
「ゼルヴァ!?」
その背後には、全員いた。
ボロボロだった。
でも。
ちゃんと来てくれた。
ミアが息を切らしながら笑う。
「一人で決着つける気?」
春は思わず笑った。
「そんなつもりじゃ……!」
レオナが炎槍を構える。
「なら、いつも通りだな!」
ユナが静かに剣を向ける。
「全員で倒す」
オメガが初めて表情を変えた。
驚き。
理解不能。
『何故』
その声は少し震えていた。
『何故そこまで繋がれる』
ゼルヴァが鼻で笑う。
「決まってる」
黒花魔力が広がる。
「仲間だからだ」
その瞬間。
全員の力が世界樹へ繋がった。
虹色。
黒。
蒼。
炎。
雷。
無数の光。
巨大な世界樹が、中枢空間へ咲き誇る。
オメガが後退する。
『……ありえない』
春は剣を構える。
「終わらせるぞ!!」
全員が叫ぶ。
「おおおおお!!」
世界樹剣が限界まで輝く。
そして。
春の背後へ、巨大な虹色の花が咲いた。
《世界樹奥義──》
空間そのものが光へ変わる。
《インフィニット・ブルーム》
その瞬間。
虹色の斬撃が、オメガへ放たれた。
──ズァァァァァァァン!!!
オメガの砲撃が砕ける。
機械翼が崩壊する。
そして。
虹色の光が、オメガの胸──“心臓コア”へ届いた。
オメガの赤い瞳が大きく揺れる。
『……あ……』
初めて。
その声に、“感情”が宿った。
悲しみ。
孤独。
そして。
小さな願い。
『……助けて』
春は目を見開く。
その瞬間。
オメガの胸部コアへ、無数の黒いコードが絡みついているのが見えた。
ゼルヴァが気づく。
「……違う」
ノアも震える。
「オメガも……」
春は息を呑む。
オメガもまた。
“何か”に支配されていた。




