『世界樹継承者』
──ドォォォォォン!!
ブレイブ・ブルームがアーク・ギア外壁へ突入した。
金属の扉を突き破り、火花を散らしながら内部通路を滑走する。
警報が鳴り響く。
──WARNING WARNING.
『中枢区画へ侵入者確認』
『排除部隊、出撃』
春は操縦桿を握りながら叫ぶ。
「止まるなぁぁ!!」
後方では機械兵たちが追撃してくる。
浮遊ドローン。
機械騎士。
レーザー砲。
まるで巣の中へ飛び込んだみたいだった。
ノアが前方モニターを見る。
「左!!」
春が急旋回する。
──ズガァァン!!
直後、巨大レーザーが通路を貫いた。
壁が溶ける。
熱風。
春は歯を食いしばる。
「怖すぎるだろこの城!!」
ノアは震えながらも必死に道を示す。
「この先に中枢エレベーターがあります!」
その瞬間。
通路の天井が開いた。
──ガコン!!
巨大な影が落ちてくる。
四本腕。
黒い重装甲。
胸に巨大コア。
赤いマントみたいな機械布。
春が目を見開く。
「またデカいの来た!?」
機械の声が響く。
『機械四天王、《殲滅卿ディアボルト》起動』
巨大兵器が着地する。
衝撃で通路が揺れた。
ディアボルトの赤い瞳が春を捉える。
『世界樹継承者確認』
四本の腕が、それぞれ武器へ変形した。
剣。
砲台。
チェーン。
巨大ドリル。
リリィがいたら絶対泣いてるレベルだった。
春は苦笑する。
「ほんと趣味悪いな……!」
ディアボルトが高速で迫る。
──ドゴォォン!!
巨大ドリルが振り下ろされる。
春はギリギリ回避。
ブレイブ・ブルームが壁スレスレを滑る。
ノアが叫ぶ。
「このままじゃ追いつかれる!」
春は周囲を見る。
狭い。
この速度じゃ戦えない。
その時。
世界樹剣が光った。
──パァ……
春の視界へ、通路の構造が浮かぶ。
上部パイプ。
蒸気圧。
エネルギーライン。
春はニヤッと笑った。
「……使える!」
ノアが驚く。
「春?」
春は操縦桿を倒す。
ブレイブ・ブルームが急上昇。
ディアボルトも追ってくる。
その瞬間。
春は剣を振った。
「はぁっ!!」
風の斬撃。
上部パイプを切断。
──ブシュゥゥゥ!!
超高温蒸気が噴き出した。
ディアボルトへ直撃。
『高熱異常』
動きが止まる。
春はさらに突っ込む。
「今だぁ!!」
ブレイブ・ブルームの加速。
一直線。
ディアボルトの胸部コアへ。
『迎撃──』
「遅ぇぇ!!」
世界樹剣が虹色に輝く。
──ズバァァァァン!!
コアを貫いた。
ディアボルトの赤い瞳が激しく点滅する。
『機能……停止……』
巨体が崩れ落ちた。
──ドォォォン!!
爆炎が通路を埋める。
春は息を切らしながら前を見る。
「やった……!」
だが。
その瞬間。
アーク・ギア全体が赤く点滅した。
ノアの顔色が消える。
「まずい!」
終焉砲のエネルギー反応が急上昇する。
『発射シークエンス最終段階へ移行』
春が青ざめる。
「間に合わない!?」
その時。
前方の巨大扉がゆっくり開いた。
──ゴゴゴゴ……
その先。
巨大な円形空間。
無数のコード。
回転する歯車。
そして中央に。
銀色の玉座があった。
そこへ座る、一人の存在。
銀色の長髪。
機械の王冠。
赤い瞳。
半分機械の身体。
オメガ。
静かに、春を見下ろしていた。
『ようこそ』
冷たい声。
でも。
どこか悲しそうでもあった。
『世界樹継承者』




