表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
101/102

# エピソード ## 「世界樹の光」

# エピソード


## 「世界樹の光」


黒雪が空を覆う。


祭りの灯りは消えた。


人々は震えている。


子どもたちは泣いている。


誰もが空を見上げていた。


巨大な黒い魔法陣。


まるで夜空そのものが落ちてくるようだった。


ヴァルグは静かに言う。


──『終わりだ』


その声と同時に。


黒雪が降り始めた。


触れた建物が凍る。


花が枯れる。


光が消える。


絶望だった。


結衣が歯を食いしばる。


「こんなの……!」


リリィも震えている。


「止められないですぅ……!」


ミアが叫ぶ。


「街の人たちを避難させて!」


レオナは剣を握る。


だが。


誰の目にも分かった。


このままでは間に合わない。


その時だった。


春が一歩前へ出る。


静かに。


真っ直ぐ。


結衣が振り向く。


「春くん……?」


春は空を見上げる。


そして。


小さく呟いた。


「守りたい」


世界樹剣が反応する。


虹色の光。


優しい光。


暖かい光。


剣の中から声が聞こえた。


それは。


これまで春が助けてきた人たちの想い。


仲間たちの願い。


そして。


結衣の笑顔。


アリアの涙。


リリィの優しさ。


全部だった。


──ドクン。


剣が鼓動する。


ヴァルグが初めて表情を変えた。


『その力は……』


世界樹剣が空へ掲げられる。


春は叫んだ。


「俺は!」


「みんなと笑える未来を守る!!」


その瞬間。


世界が光った。


──ゴォォォォォ!!


巨大な世界樹の幻影が現れる。


祭りの街より大きい。


雪山より高い。


黄金の葉が舞う。


人々が息を呑む。


結衣の瞳が潤む。


「綺麗……」


アリアも見上げていた。


黒銀の羽根が揺れる。


リリィは涙目。


「春おにーさん……!」


世界樹の枝が広がる。


そして。


黒雪を受け止めた。


──バキバキバキ!!


黒雪が砕ける。


闇が裂ける。


ヴァルグの瞳が揺れた。


初めてだった。


深淵六王が。


驚いている。


春はさらに剣を握る。


「みんな!!」


仲間たちが頷く。


結衣が前へ出る。


「咲いて──Promise Bloom!!」


花が咲く。


アリアが羽を広げる。


『私は、ここにいる!』


黒銀の羽根が舞う。


リリィの光。


ミアの魔法。


レオナの剣。


全員の力が一つになる。


そして。


春は剣を振り下ろした。


「これが──」


「俺たちの未来だぁぁぁ!!」


虹色の光が天へ走る。


巨大な一撃。


世界樹の光。


それは黒雪を貫き。


空を裂き。


ヴァルグへ届いた。


──ズドォォォォォン!!


夜空が光に包まれた。


祭りの街。


雪の国。


すべてを照らす光。


やがて。


静寂。


雪が降る。


今度は黒雪じゃない。


白くて優しい雪。


誰もが空を見上げていた。


そして。


光の中で。


ヴァルグが静かに立っていた。


傷ついている。


だが倒れていない。


深淵六王。


その瞳は。


春だけを見ていた。


そして。


小さく笑った。


──『面白い』


その一言を残し。


黒狼と共に闇へ消えていった。


戦いは終わった。


祭りは守られた。


人々から歓声が上がる。


「助かった!」


「英雄だ!!」


「ありがとう!!」


春は力が抜ける。


その場へ座り込んだ。


結衣が駆け寄る。


「春くん!」


春は笑った。


「終わったな」


結衣も笑う。


でも。


次の瞬間。


ぽろっと涙が落ちた。


「よかった……」


怖かった。


本当に。


春は少し驚く。


そして。


優しく言った。


「ただいま」


結衣は泣きながら笑う。


「おかえり」


その様子を見て。


レオナはニヤニヤ。


ミアはため息。


リリィは号泣。


アリアは少し微笑む。


ルナだけが真顔だった。


「恋愛イベント成功」


「うるさい!!」


雪祭りの夜。


笑い声が戻る。


だが。


誰も気づいていなかった。


遠い深淵の玉座で。


さらに恐ろしい存在が。


静かに目を開いたことを――。


### 次回


## 「深淵王、目覚める」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ