ご案内。
挨拶を終えた俺達は、マチルダと子供達を敷地内へと迎え入れる。
「これからうちにいる人達を紹介するから付いてきてくれ」
うちで戦闘訓練している面々を紹介する為に、噴水横の庭に向かった。皆に一旦、訓練を止めて貰う。
敷地内の一番下にある広い庭で、魔障気と戦闘訓練をするメンツを紹介していく。
まずはエイムだ。
「この人は(人じゃないけどw)フラムの護衛でうちで戦闘教官してるエイムね。エイム、皆に挨拶してくれ」
「はい。皆さん良くいらっしゃいましたね。わたしはエイム。エイム・ヒトリゲンです。よろしくお願いします」
次にキャサリン、エミル、チャビーを紹介する。
「そこの派手派手おねぃさんは、ギャルのキャサリン。それからそこの法衣で軽装のおねぃさんは、真面目過ぎのエミル。それから身体の大きいそこのおにぃさんは、くいしんぼのチャビーくんね。皆、覚えたw?」
俺の紹介に笑う子供達。マチルダは苦笑いだw
「…ダンナ、その紹介はヒドくね(笑)?アタシは派手だけどギャルじゃないから(笑)?」
「…そうね。わたしもそんなに真面目じゃないわよ(笑)?」
…コイツら何言ってんだ?渋谷を闊歩してそうな何十年か前のギャルみたいな格好してるヤツと、毎日毎日休まずに朝にランニング、戦闘と魔障気の訓練してるヤツがよく言うよ…。
キャサリンとエミルに突っこまれたが、チャビーは否定しなかった。
「…お、オデは食べるのが好きだど(笑)!!」
チャビーの素直な言葉に笑う子供達。
「ちなみにそこのお姉さん二人は怒らせると怖いので注意ねw!!」
「ダンナ、怒らせると怖いのはエミルだけっしょ(笑)?アタシは全然怖くないからね~(笑)」
「…えッ?キャサリンッ!!何言ってんの!?わたしも怖くないでしょッ!?」
真剣な目でキャサリンに抗議するエミル。それを見て目を合わせて肩を竦めて苦笑いを見せるレイザとルドルフ。
…エミルは一々、真面目に反応するからな。そこが怖いんだよなw
次にキースPTの二人を紹介した。蜥蜴人のレイザ、そして犬獣人のルドルフだ。
キース達は王都ハンターギルドのAランクPTとして有名なので、マチルダと子供達はこの二人を知っていた。
マチルダと子供達にも挨拶をして貰った後、続いて丘の二段目に上がる。ここで、ティーちゃんとシーちゃんは先に本館の地下に戻った。
二人には診療室で使う薬草やポーションを作っても貰っているのだ。
ここまで結構な距離があるので、ここで一旦休憩とした。俺はアイテムボックスから清涼水を出して、皆に渡していく。
丘の二段目に上がると、王都北区の街並みが見える。その風景に、マチルダと子供達が感動していた。
休憩の後、丘の二段目で格闘、武術指導をしている逸鉄とそれぞれ訓練しているジョニー、キース、融真、クライを紹介する。
ジョニーとキースは王国の上位ハンターと言う事で子供達も知っているようだ。逸鉄もその格好のせいもあるが、Sランクハンターで王宮の戦闘教官として名を知られているらしい。続いて融真とクライの紹介をした。
マチルダと子供達にも挨拶をさせた後、逸鉄達が訓練している東側にある使用人、徒弟などが生活する宿舎に案内した。
◇
この敷地内にある宿舎は一番下の警備員宿舎を含めて、オランデール伯爵が業者に頼んで綺麗に整備してくれている。そこにレーナさん、セーナさん、憂子、ラニエ、ベルシオ爺、ライル達が生活道具や生活用品、寝具、着替えなど諸々を運び込んで準備していた。
俺は、ここの使用人宿舎に入るのは初めてだ。外観も業者によって綺麗にされていたので、西洋のマンションみたいだw
俺は宿舎の玄関ドアを開けるとホールの様な広間があった。俺に続いてマチルダと子供達が入って来る。
「…わぁ、凄いですね!!広いし、綺麗ですね~…」
驚くマチルダ。
「うわっ!!凄いな!!宿屋みたいだ!!本当にここに住んで良いんですか!?」
太っちょくんのジェムが嬉しそうに糸目を細めて俺を見る。
「あぁ、今日から皆にはここで生活して貰う。ちなみにラニエとベルシオ爺ちゃんとライル、リックもここに住むからみんな仲良くしてくれ」
マチルダと子供達は驚きつつ、俺の言葉に元気よく返事をしてくれた。使用人宿舎に初めて入った俺も驚いた。
本館程ではないが、この宿舎もかなり大きい。中央の玄関から入るとホールがあり、ホールの真ん中に階段がある。一階左に応接室、その奥にに調理場、その左に食事の出来る部屋がある。
玄関ホールから右に入るとトイレ、その奥に洗面所と続いて大風呂があった。それぞれの空間が大きく広い。集団で生活するからこれくらい広い方が良いだろう。
二階から上は居住部屋になっている。二階は玄関ホールから上に吹き抜けになっていて、テラスもあるので六部屋だけ。
三階は全て居住部屋だ。三階は八部屋あり、全部で十四部屋ある。各部屋は大体十二畳くらいあった。
真ん中にある階段を上まで上がると屋上があり、洗濯物などが干せるようになっている。
皆で宿舎を見て周った後、続いて俺達はマチルダと子供達を連れて本館に上がった。
一番上の本館のある庭に到着。館の玄関前に大きな花壇があり、その周りを馬車が通るロータリーがある。
「…正門からここまでかなり距離があるんですね…」
年長のアイルが額の汗を拭いながら呟く。
「あぁ、かなり歩くよ。けど皆は基本、下の使用人宿舎と本館の間だけの移動だと考えてくれ。しばらくは本館ホールの掃除、花壇の手入れ、庭の草むしり辺りから始めて貰おうかと思ってるからね」
俺の説明に明らかにホッとしている様子の子供達。そんな子供達に、ちなみにと言いつつ、続けて話をした。
「一番下にいたエミルおねぃさんは毎日、本館から正門まで走って更に敷地内をぐるり一周した後に戻って来て朝ごはん食べてますw」
俺の言葉に子供達がぎゃーっと悲鳴を上げていたw
「まぁ、エミルは真面目過ぎるんだよ。ダンジョン潜れるようにってさ、基礎体力付ける為に毎日走ってるんだよ。エミルはスキル持ってるから良いけど、皆はマネするなよw?」
俺の話に苦笑いするセーナさんとラニエ。二人は毎朝、起きるのが早いので走ってるエミルをよく見ているのだ。
その傍で、スキルというワードに驚いた様に反応するアイルとカイル。
「…走ってるだけでスキルが…付いてくるんですか?」
「それなら兄さん、僕達も…」
…やべっ、余計な事を喋っちゃったなw
俺は慌てて補足説明をする。
「エミルはスキルの適性が高いんだよ。普通はそうそうスキルが発現する事なんて無いんだ。それはエミルが召喚者だからって事もある」
実際、黒龍の里に行っている間に、エミルは新スキルを発現させていた。パッシブスキル『バイタルライズ』だ。
俺はリックも呼んで三人に言い聞かせた。
「慌てて無理してもいい結果が得られるとは限らないんだ。物事には段階がある。慌てず確実に成果を積み重ねていく事が大事なんだよ。勿論、その為に指導できる人達がここにはいるんだ。だから絶対、エミルのマネするのは止めてくれw」
俺の説得になんとか三人は頷いてくれた。納得したかは知らんがw
「そう言えばセーナさんも本館から正門まで歩いて仕事行ってますよね?」
「…え(笑)?ぁ、は、はい。そうですね…(笑)」
ラニエに言われて苦笑いのセーナさん。
「しかも仕事が終わったら王立図書館から正門を経由してここまで戻ってますよね?そう考えるとセーナさんも凄いんじゃないですか?」
…ラニエよ。なぜ余計な事を言うのだw?そんな事言ったら…せっかく、納得させたのに子供達が…。
アイル、カイル、リックの目が明らかに変わったのを感じた。しかし、そんな事よりもっとヤバいヤツを起こしてしまったw
ずーっと説明続きで、半分眠りながら付いて来ていたクレアがクワッ!!と眼を見開く。
「待てッ!!ラニエよッ!!それを言うなら第一夫人のわらわはもっと凄いぞッ!!」
そう言い放った瞬間、俺が止めるのも構わず、クレアが正門方向へと走る。そして皆が見ている前で、丘の一番上から飛び降りて二段目を経由し、正門まで飛び降りた後、再びジャンプして戻ってきた。
「どうだ(笑)!!これが第一夫人であるわらわの実力だッ!!子供達よ!!目指すならここまで出来るようになるのだ!!ワハハッ!!」
得意絶頂なクレア。苦笑いのセーナさん、ラニエ、マチルダ。更に子供達もドン引きしていた…。
そしてスキル獲得とハンターになるのが目標の三人の眼は先程の光が消えて死んだ魚のような目になっていた…。
◇
本館の隣に、馬などを繋ぐ厩舎がある。その向こうに大きな庭があり、そこで、フィーちゃんとアマナが、アイちゃん、未依里、瑠以と要に魔法の基本講座をしていた。
俺達が行くまでもなく、フィーちゃん達がこっちに集まって来た。
「…クレアよ。おんし何をやっとるんじゃ…」
クレアの突然の行動に、フィーちゃんが突っ込む。しかし、上機嫌のクレアは全く聞く耳持たなかった。
皆がこっちに来てくれたので、紹介する事にした。まずはフィーちゃんから。
「この子は魔族で魔法の先生なんだよ。フィーちゃん、皆に挨拶して上げて」
「うむ。わっちは魔族の…上位貴族フィーアでな?魔法とスキルについて教練する為にここに来ておるんじゃ。よろしく頼む」
目の前の幼児が魔族の上位貴族と聞いて驚くマチルダと子供達。アマナはキースPTの一員と言う事でマチルダも子供達も知っている。
続いてアイちゃんを紹介。
「この黒髪ツインテは暴走魔女ッ子です。危険な魔法ぶっ放しますw皆、覚えたかなw?」
「…ちょッ、ホワイトさんッ!!その紹介はなくないッ…!?」
「…えw?だって事実じゃんw!!」
俺達の遣り取りに笑う子供達。
「こう見えてこの黒髪ツインテさんは二十五歳のお姉さんです!!皆、アイさんと呼んであげてねw!!」
不満のままのアイちゃんをスルーして次は未依里を紹介した。
「この子は未依里。能力者だけど今はスキルのコントロールと魔法適正を確認している所なんだ。みんな仲良くして上げて」
「…し、心形…未依里…よろしくね…」
未依里の挨拶にミリィとリルが寄ってくる。フラムも反応してもぞもぞして三人を見てキャッキャッと喜んでいた。
ミリィとリルは年齢が近いから仲良くしてくれると助かる。
最後に、最近すっかり忘れていた瑠以と要だ。瑠以の事は鑑定を持っていて光学迷彩で消える事が出来る変人さんですと紹介。
しかし、瑠以は特に突っ込んでくる事もなく、むしろ誇らしげに光学迷彩スキル『カメレオン』を持ってる羽中 瑠以ね。よろしく!!と自己紹介していた…。
要は上位転移スキルを持っている、ちゃんとしたお姉さんですと紹介しといた。
◇
最後に、本館を案内する。
調理場で仕事をしていたレーナさんと憂子を、診療室の準備をしていたベルシオ爺とライルをそれぞれ、呼んで来て貰う。
まずはレーナさんの紹介から。セーナさんのお母さんで使用人と徒弟の指導をしてくれる人だと紹介。憂子はエミルのお母さんで使用人をして貰っていると紹介した。
ベルシオ爺とライルについてはマチルダも子供達も顔見知りなので、改めての紹介は省いた。
最後にうちには相談役としてリベルトというオジサンがいますと紹介。リベルトは今は東鳳で政策などの支援をしていると教えた。
リベルトの仲間達で、諜報活動をしてくれている人達もいて時々、情報を持ってここに来ると伝えておいた。
それから俺自身もハンターでとても忙しいからあちこちに出掛ける事があると話す。数日後には魔族の国に行ってくると伝えた。
最後に、何か意見がある時は執務室に要望書を出す事、みんな無理しない事を伝える。そして、マチルダと子供達をレーナさん、セーナさん、憂子、ラニエ、ベルシオ爺とライルに預けた。
その後、魔界へ行く時期を相談する為に、フィーちゃんがいる庭に出た。
いつもアクセス、ありがとうございます。少しづつですが最初の頃の繋がりのおかしなところを修正しています。更新情報が流れるかもですが、ご了承下されw




