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第55話 起死回生

迫る光の奔流。

ミリアは必死に左手の中指を回し、抱えるほどの水玉を次々と作っていく。


……なんで見えてないのにこんなに正確に!?


水玉が光に飲まれ、弾けていく。

少しずつ光が拡散していくが、防ぎきれず、ミリアの体を穿つ。

纏ったマナが火花のように散って剥がされていく。


「グッ!!……ガッああああ!」


悲鳴と共にミリアは、麦畑の外に弾き出された。

乾いた土がむき出しになった道にうずくまる。


……殺される……何もできずに……


麦を掻き分けて歩いてくる足音。

ミリアは顔だけで見上げる。


赤毛の男。

金の眼。

見下ろしながら声を発する。

「ミリア・フレアベット。王都の路地での借りは返しましたよ。」


……王都、路地……。

あの時の……!


嬉しそうな声だ。

「今でも砕かれた脇腹が疼きます」


マナが男を包み光を放って視界から消えた。

背後でマナが揺らぐ。

咄嗟に背中に水玉を置く。


振り抜かれる脚

弾ける水飛沫

蹴り飛ばされるミリア


ミリアは再び麦畑の中に飛ばされた。

息が荒い。左腕一本で這う


「私はね、獣人族の血が混じっててね……」


迫る足音


「貴方の匂いは、忘れません」


ミリアは膝立ちになり、再びマナを纏う。

「淑女を蹴り飛ばすなんて、躾がなってないんじゃなくて?!」


強がりを吐き捨てながら中指を回す。

マナが線上に展開する。

ミリアと男の間に、青い火の壁が立ち上がった。


目の前に拡がる火の壁に、ギースは驚愕する。

同時に匂いが、麦が燃える匂いにまぎれ、ミリアの位置を捉えられなくなる。


……認識を改める必要があるな


高度に魔術を使いこなしている

自分以上

仕留めきれていない

護衛の気配がない

ミリア自体の強さ

だが甘さも残っている

まだこちらの方が有利


……狩れる


一瞬の判断。

位置を捕捉するべきだ

ギースは火の壁に飛び込んで行った。

熱風に肌を焼きながら、炎の先へ消えた。



麦畑の方で火が上がった。

ジルは怯む足を叱咤し、駆ける。

あの男、ギースが言った。


……ミリアさんが異端者?市民の安全?

ミリアさんが危険な人のはずはない!


自分達に生きて行く力と道を示してくれた。

教会は何もしてないじゃないか!


ジルは胸に手を当てながら決意する。


……ミリアさんは俺が守る


火の壁。手前には誰もいない。

揺らぐ炎の先に、仰向けに倒れたミリアと、見下ろすギース。


ジルは腰高に剣を構え、力を溜める。


……教えられた通りに、突き。

声は絶対にだすな!


ジルは力の限り地面を蹴って、炎の壁につっこむ


肌が、髪が焼ける

でも足は止めない

ギース、こっちをみた。

俺のほうが早い!


突き出された剣が、ギースの右足を切り裂いた。


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