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第38話 正統な魔術を使う貴族

目を閉じてドルテンの小麦畑の匂いに浸っていたとき、微かにマナの動きを感じた。


街道の先、小麦畑を抜けた辺り。


ここに魔術を使う者がいるのか…


アサルカではない、マナの収束の速度も密度も、

遅い、薄い。

さらに、ここ数日襲われたマナの気配、魔獣だ。

魔獣に何者かが、襲われているかもしれない。


ミリアは目を開いてその方角を注視する。


3人いや4人。

見える範囲に人がいる。

少なくとも1人は魔術をつかう。

それだけではない。


魔獣をつれている。

襲われながら、街の側まできたのか。


アサルカから教わったハンターの流儀

『街に魔獣を引っ張ってはいけない』

農民や商人を巻き込みかねないからだ。


ミリアは駆け出した。


今は人が見ている。

派手な魔術、いや、手品は使わないほうがいい。


ミリアは、手足の動きをマナで補助する。


やっぱり、これ、気持ち悪い……


そんな事を気にするまもなく、一団の近くまできた。

やはり人は4人、魔獣は……、3匹。


「助け、必要?!」


1番近くにいた武器も持っていない男が応える。

「助けてくれ!頼む!」


他の2人はこちらへ走ってくる。もう1人が魔術を放とうとしている。


聖言、マナ収束、変質、薄い!


練度が足りない!それじゃ無理!倒せない


今まさに襲ってくるブッシュウルフを風の魔術が襲う。しかし、毛皮を削った程度で魔術が消える。


もっと練習しなさいよ!


心の中で毒づきながらナイフを抜き、飛びかかろうとしているブッシュウルフの下に潜り込み、無防備な首から腹を一気に裂いた。避けきれなかった後ろ足の爪が、頬を裂く。


痛い!!


痛みを我慢しながら、続いて2匹、首を切り、背骨にナイフを突き立てる。


頬から肩を血が流れる。

ムッとする血と内臓の匂いがあたりに立ち込める。

魔獣が倒れ伏す音とともに、

雲が日の光を遮り、ミリアを影にした。


血塗れたミリアの姿に、尻もちをついた男は恐れ慄いた。足の付け根を、暖かいものが流れる。


先に逃げていた男達が駆けてきた。

「すまない、危ないところを助けていただき感謝する」


よく聞いた言い回し。貴族家の者だな。多分倒れてるやつの從者。

頬の血を拭いながら、ミリアはそう思った。


「我々はジェルナー伯爵家の者、礼をしたい。対価を提示してくれ」


と言うことは、そこに転がって、股間を濡らしているのが、伯爵家の子息なのだろう。貴族の矜持もなにもあったものではないな。


ミリアは、唾を飲み込みながらいう。

「倒した魔獣の魔石、それと、ハンターの流儀を学べ。あとそこの漏らしてるやつは、魔術の研鑽。それで対価にしてやる」


その後、ミリアは解体されたブッシュウルフの魔石を受け取り、その場を離れた。


人助けの値段は、今日の宿代。


……うん、だめ

そして、見えない場所で、抑え込んでいた吐き気を解放した。


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