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第37話 叛骨の目

「………」

目の色はかわらない


「えーと、何歳かな?見たところ10歳くらいかな?」


「………」

微動だにしない。


「お名前、聞いてもよろしくて?」


「………」

そろそろ怒ってもいい?


「何か…、話してくれないかな?」


「……、顔隠すような怪しい奴に?」


あー、うん、もっともだ。……しかたない、子供だし。


ミリアは仮面を取る。

碧い目が少年を見つめる。


少年は、仮面を取ったことが意外だったのか、表情をかえる。

警戒から驚きへ、そして…、羞恥?

女性には慣れてないらしい


「これで…、いいかな?目、あまり強くないから、日の光が強いとキツイのよ。また着けていい?」


少し微笑みながら、少年に聴く。


「……、いいよ、着けろよ」

少し目を逸らすように俯いてから言った。


よかった。やっと素が出たようだ。

仮面をつけ直す。


「もう一回聞くね?お話、できる?」


これで、また黙ったら怒ってもいいかな?


「……何が聞きたいんだよ」

ん、一歩前進。不機嫌そうだが、目に力がある。

無力よりはよっぽどいい


「私、手品師見習いのミリアっていうの。あなたのお名前は?」


訝しげな目

いつでも逃げるという意思を隠さない姿勢

感情が出てきている、困惑…かな?


「……ジル。手品師がなんの用だ、施しならいらない。失せろ」


我ながら勝手な言い分だとは思うけど……。


「ジル。施しするつもりはなんて、さらさらないわ。私が聞きたいのはそんなことじゃないの」


ジルの同じ高さに目を合わせる。


「あなた、これからも草たべていくの?」


「ああ!?恵まれたヤツが何言ってやがる!!お前らは、気まぐれで恵んで!施して!放置だ!」


ジルの目の光が強くなる


「俺らは、もう自分の力で生きてるんだよ!!憐れんだような目で寄ってくるんじゃねぇ!!」


ちょっとだけカチンときた。

「もっとマシに生きていきたいなら、利用できるものは何でも利用しなさい!!」


ジルの目が揺らぐ、でも逸らさない。


「で?!ここに、利用できそうなのがいるけど?!利用すんの?逃がすの?!」


何もいわない。ただ、睨み合う。

逸らすもんですか!


「……わかったよ…で、何させるんだよ…」


ジルの瞳を見据える。まだ、勘違いしてる

「何させるじゃない。私を利用して、どうなりたいか、よ」


鼻先が触れそうな距離で向かい合う。

ジルの目に強い色がある、感情はわからない、それでいい。


「……!!」

表情が目まぐるしく変化する。

何を考えているのか。


「……また、明日くるわ。その時にもう一度きく」


ジルをその場に残して、この場を離れることにした。ジルは、悔しそうな顔をしている。それでいい、少なくとも、感情が感じられないよりは。


ジルの元を去ったあと、ミリアは街の外にでた。

柄にもなく昂ぶった心が沈んでいく。


金色の波

心地よく肌をなでる風

土の匂い

物乞いの声


こんなに外は豊かなのに


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