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第31話 冷静な狂気

ギースはミリアの痕跡を追っていた。


まだ街の中に潜伏しているのか

すでに街をでているのか


ただの貴族令嬢だったものが、街の外で生きていけるわけはないが、ミリアは異端の術を使う。

可能性は無くはない。


未だ手掛かりは掴めていないが、数日前まで、この街にいたのだ。何かあるはずだと、街を巡り、声をひろう。


旅装の女、二人、銀髪、商業区、大通り、広場…


少しずつ情報を整理していく。


……フレアベット邸内にいるという可能性も捨てきれないが……、あの女はそんなことはしないな……

……ん?


ふと、ギースの意識に何かが引っかかった。

軽く鼻から息を吸う。


……花の香り……同じ香り……まだ、街にいるのか!


香りの元を探す。

微かに市場の方から流れて来ている。


あの路地で嗅いだ匂いに、ギースは昂ぶってくる。


……香りの元、もう遠くない……あれか!


そこにはメイド服を着た女が二人いた。

一人は15歳から17歳、もう一人は9歳から10歳といったところか。二人とも銀髪ではない。

だが確かに同じ香りがする。

年上のほうは、王都に花が咲いた日にフレアベット家でみた憶えがある。


……接触してみるか……


「あなた方、フレアベット家のメイドさんですよね?ミリア嬢について教えてほしいんですが…」


二人の顔がみえた。年上の方は、私を見て少し微笑んだようだ。年下の方は、少し怯えがみえる。

年上のほうが口を開いた。


「あの、どういったご要件でしょうか?」


そうとも違うとも言わない。よく教育されてる。

さて、どうするか……あれを使うか。


「いえ、先日の魔術について、王宮の方から、招聘の話がありまして、探しているのですが、フレアベット卿に会うことができず、困っておりまして。」


年上の方の反応はいい、が、微笑みで情報が読めない。

年下の方はまだ警戒が解けない


「とても名誉な話ですので、ぜひ、ミリア嬢にお会いしたいのですが……」


二人は顔を見合わせている

よく見ると、年下の方は身分に不釣り合いな髪留めをつけている。


ミスリル銀に……装飾に魔石だと?!

何かしらの魔導具だ、メイドが持っていていいものではない。


それに、花の香りはこの娘から色濃く感じる……


「お嬢さん、とても綺麗な髪留めをしているね。これはどうしたのかな?」


努めて優しく声をかける。


年下の方は訝しげに見てくるが、ポツリと言葉を漏らす。

「誕生日にいただきました……それとミリアさまは、こちらにはいらっしゃいません」


……ふむ。嘘ではないな。


年のため、年上の方を確認する。

一瞬真顔に戻ったようだが、再び微笑みが表情を埋める。が…


…否定の反応はない……


「そうですか……残念です。では、こちらで探すことにします。ありがとうございました」


礼をいって、その場をはなれた。


屋敷にはいない

誕生日……いただいた……

ミリアから貰ったか……

あの年下の目には悲しさ、寂しさが見えた

すぐ会える場所にいない

つまり、街の中にいる可能性は低い


「ローゼリア内全ての教会に捜索させるべきだな」


絶対に見つけてやるぞ、ミリア・フレアベット……


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