お仕事開始
午後の授業を適当に済ませ、帰宅。
正直言って、帰りたくない。
嫌な予感というか、なんというか。
胸騒ぎがするのだ。
「ただいま・・」
「あ、虹花ちゃんっ!ちょっと、いいかなぁ?」
ああ、やっぱり。
私の出番らしい。
私の仕事、存在意義。
この世界での、私という存在の理由。
ヒロインの、お手伝い。
いわゆる情報収集。
服は何系が好みだとか、何色が好きだとか。
和食が好きか、洋食が好きかとか。
ヒロインの得になること、それを情報として収集する。
「あ、あのね・・・」
「言わなくてもわかるよ!お姉ちゃん、気になる人できたんでしょ」
「え!?な、なんで分かるの!?」
「もー・・何年姉妹してると思ってるの?お姉ちゃんのことなら、なんでもわかるよ!」
へらりと笑えば、満足そうな笑顔を浮かべた。
おぉ、悪い顔。
情報か。
どう集めようか。
ひとまず、手に入れやすい猫実からにしようか。
それとも、のせやすい双子から?
会長は・・・たぶん、今は無理だろう。
「それで・・今一番気になる人は誰?」
「え、えっとね、優羽くんと・・霧生くんっ」
「・・・へぇ」
じゃあそいつらからか。
気乗りがしない。
むしろ嫌悪しか感じないのは仕方がないと思うのだが。
姉はわかってないだろう。
私は転生してここに来ていて、自分のことを良く思ってないだなんて。
きっと私の事を、残念で哀れで可哀想な妹だと思っているのだろう。
知らない。
勝手に思っていればいい。
私は、
「じゃあ、その二人を中心的に集めていくね!
お姉ちゃん頑張って!」
ただ、自分の役目をまっとうするだけなんだから。
(一年だけ。一年だけの我慢だから。)
攻略対象になんて惚れないし
姉さんに危害を加えたりなんてしないし
ライバルキャラの邪魔だってしない。
ただ情報を集めるだけ。
それだけ。
「じゃあ、お姉ちゃん、ちょっと待っててね!」
私の生きる意味
存在価値。
今、この世界は、私にとってゲームではないけれど
それでも、姉を中心に回っているという事実は消えない。
消えなくてもいい。
「もしもし。あのさ、好きな食べ物とか、好きな色とかおしえてくれない?」
ねぇ、お姉ちゃん。
次回から情報集めスタートです




