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無題/日記  作者: 岸 星煌
一章『その言葉の真■と確かな芸術について』
6/21

Log_5

星々の煌めきが、人の目に留まったのはいつから?

さぁ。人が産まれる前から、星は大地を見守ってたからさ


星に聞けば、わかるよ。



燃える星 散ったら、何処へ?_│



「な、にこれ」


鏡に写った自分の目には、先程諒や心の目と同じ白い光が、姿を表していた。


「夜だから、よく見えるでしょ」

そういった途端、自分の目を写していた手のひらサイズの鏡が割れる。


一枚の鏡が隔てていた。それが割れたことにより、景色が顕になる。

次に私の目に映ったのは、自分と"瓜二つな顔"の相手。

「ここの世界の私に申し訳ない。だっけ?」

「そうだね。でも、この世界線の私はもう居ない……いや、正確にはいるか。"私"が」


「説明するとややこしくなっちゃうな〜」と言いながら、相手は散らばった鏡片を一つ手に取った。

その透明は、周りの暗闇をひたすらに写した。


(わけが、わからない)

(なんで私にも才能()が?てか、ホントにあれば私なの?)

「ねぇ、説明して欲しいんだけど」

ていうか、なんでそんなことまで知ってるの?


「……そうだね。全部言っちゃったら面白くないから、少しだけ、教えてあげる」


「は?、いや全部教えて欲しいんだけど。そんな、考察の余地を残して何がおもしろ……」

「うるさい。お前の心境なんて考えるわけないだろ」

「……」

なんだこいつ。マジで。

こんなに性格が悪いやつが、自分とは到底思えない。

「てか、何?」

「なんで私がいるの?」


「だって、君は別の世界から来たんだから」

「私はここにいる岸星煌であって、正史でもある。そっちがイレギュラーだ」


「はぁ……?」


「わかんなくて結構。覚えておいてくれればね。この世界は、正確には『異世界』では無いってことを」


「はは、難しい話はもっと後にして、次は簡単に行こう」

私の顔を見て笑った。特に解説もないまま次の話題に移る。すごく馬鹿にされたような気分だ。とても憎たらしい。

思わず眉間に皺を寄せてしまった。


「さっきのが一つ目。次は、お前のキラキラ輝く才能について」

「_!」

その言葉に、反応してしまう。

そして相手は、その反応を待ってた!と言わんばかりに饒舌に喋りだす。


「お前は中々鋭い。さすが私だ」

「才能。いや、チャームと呼ぼう」

「今のお前みたいに、目が輝くと、そのチャームの発動合図だ」

「例えば諒のは、『万能』そう、なんでもできる。

が、彼はその才能が好きじゃないから、自分で発動するタイミングを考えている」


「心のは……まあ、本人に聞いた方が早い。私なんかが教えちゃつまんないからな」

「照井 穹。アイツのは、もうヒントがある。せいぜい自分で見つけ出すか、相手から教えてくれるのを待つんだな」

一人一人指を上げて名前を出す。


「……なんで、名前を、才能を知ってる?」

疑問。名前はもそうだが、なぜ才能まで……

私やみんなのことは知ってる素振りを見せるくせに、自分については何一つ語ろうとしない。対話するなら、情報を出すべきだ。

「あぁ、それは無しだ。ややこしくなるから」


「はぁ!? なにそれおかしいでしょ」

思わず苛立ちが表に出る。立場は相手の方が上だとわかっているけど、所詮は自分だ。どうあたってもいい。

「あぁ、おかしくて結構」

相手がどうでも良さそうな感じで、次の話を進めようとする

「……でも、少しだけならいいか」


「よく聞けよ」

私と同じ声で、同じ顔でしゃべる。

急に真面目になったその姿に、なんだこちらにも緊張が走る。


「私の名前は、岸 星煌」


「「……」」


「どう、満足?」


「…………はぁ」

ため息も出ます。

もう、怒りを通り越した。呆れだ。んな事わかってるに決まってるだろ。


ジョークだとしても笑えない。そういうのはTPOを弁えてやって欲しい。

しかもすっごいドヤ顔。

渾身のギャグだったのか、それともこのネタを一生貯めてたのか知らないが、腰に手を当ててカッコつけてまでやる意味は無いと思った。


「はぁ。それで、だ」

あぁ、諦めた。ため息をついて続きを話し始める。切り替えが早いのはどこのどいつに似たんだか。

でも、おかげで頭が冷えた。冷静にいこう。



「お前のチャーム。ずっと、光ってるだろ?」

「う〜ん……常に光ってる理由全部言うと面白くないから、一部だけ、且つ分かりやすく教えてやる」


「お前が無意識に、チャームを使っている。その詳細については言えないが、"私"から見たら結構分かりやすいな」

「……じゃあ、私からは?」

「そんなもんは知らん。お前視点が私に分かるわけないだろう」

正論を言われた。とてもムカついたが、ぐぅの音も出なかった。


「そして、二つ」

「目を閉じろ。はは、安心しろ。コツを教えてやるだけだ」

「……うん」

言われた通りにする。光が見えなくなった。



「次に説明するのは、チャームの発動。それに必要なのは二つ」

「一つ。自分の才能が絶対であるという『確証/自信』」

「二つ。それを扱うという、『覚悟/信念』」


「信じればいい。お前だけの、星を」



星。それは、絶対的な光。


私は、それを観る。

そして、星を宿す。

(――あ、)

暗いのに、いや、暗いから?

瞳を閉じたその先に、不思議と星が見えた気がした。



「頭に思い浮かんだスローガン(ことば)を詠唱しろ」



まだ、出てこない。きっと、足りてないのだろう。なにかが。

……でも、"星"が見えたなら、そちらへ進めばいい

そうだ。いつも通り、敷かれたレールの上を歩いて……


…………いや、そうじゃダメなのか。きっそうだ。

みんなが、チャームを輝かせる時、なにを思うんだろう。願うんだろう。

私は、そうだなぁ、私は……


……

私が、その"星"をも飲み込む、いや、写し出す

夜空に、なればいい。

うん。そうしたら、"みんな"輝けるから。


「『剣は錆び、花は咲く。して、巡る日々は―』」



刹那


疾った。誰かの/わたしの"記憶"が、/"未来"が。

反射的に、目を見開く。

黒い視界の中。突如として脳に、全く知らない記憶が流れ込んだ。

先生と、知らない人が、家の前に居た。

その一枚画だけ、一瞬だったけど、脳の裏に色濃く焼き付いた。

視点は、私だった。そりゃそうだけど……



目を開けた世界は、いつもの道に戻っていて。何故か玄関の前に立っていて。

相手()はもう、居なかった。



そして、ポケットに入っていた、小さな紙の切れ端。



「『お前は、これから何をしたいんだ?』」

急に現れた素っ頓狂な話題に、私は首を傾げることしか出来なかった。


木曜日。もっと色々あるけどとりあえず、日記はこれで終わり。


――次の日、朝7:00


side 岸 星煌 (私だから!!と、横に殴り書いてある)



「ねぇ!!!」

朝起きてすぐ、起きているであろう諒に話しかける。

「びっ……くりした、どうした? そんな急いで」

ソファーに座ってた相手は驚いた様子でこちらに振り返る。いつも通り、乱雑に本を置いて。


……まて、その前にとりあえず、昨日の出来事で、分かるを先に記そう


【メモ】


・もう一人の自分(長いのでアイツと呼称する)は、この世界の私?で、なんかよくわかんないことを色々知ってる。

・私にも能力がある←ここ重要!!

簡潔にまとめると、こう。考察は後回しだ。


話題を元に戻そう。

「諒ってさ、「才能は生まれながらに持つ物」って言ってたよね?」

「じゃあその『万能』って、どうやって分かったの?」

だいたい何でも出来るやつは、私の世界にだって稀に居る。

気付かないで一生を終える……なんてことになってないなら、何か気付くきっかけがあったはずだ。

「あぁ、俺の場合はそれ専用の病院に行って診断してもらった」

「ほら、証明書(ここ)にも書いてあるだろ?」

諒がポケットから証明書を取り出した。そこには、誕生日の下、名前の上に、はっきりと『万能』の文字が刻まれていた。


「まあ、人によって違うけどな。俺はこの名前、診断してから初めて知った。

診断しなくても分かるやつは居るし、亡くなった後に判明する…………

……どうした?そんな自分の証明書見つめて」


「あ、ああ、あ、…、……」


カードを持つ手が震える。偽造されたそれは、本物と同じ効果を持って、輝きを放っている。

「そんな薄ら笑いして何があっ、た……」


隣に来て覗き込んだ諒も思わず息を止める。

誕生日の下、名前の上に、空白に、はっきり刻み込まれた文字がある。


『観測』


その日の輝きを、一生忘れることは無い。



……


「わ〜お、ほんとだ。

どうしてだろうね?"コレ"」

「俺にもさっぱりです。才能を持って生まれる人だって多いわけじゃないのに、なんで星煌が……」

二人は私の証明書を持って話し合いをしてる。照井さんが作ってくれたそれにも刻み込まれていた通り、私はちゃんとチャームを、才能を持っていたのだ。

「俺が作ったやつだから、偽物ではない……いや、偽物なんだけどさ」

「……星煌、お前チャーム使った事あるか?」

「…………星煌?」


ふふ、ふふふ。なんて、なんて素晴らしい日なんだ!

いや〜ついに平凡から抜け出す時が来ちゃったか!確率は収束するってやつ?今まで右肩下がりだった運勢が、右肩上がり!素晴らしい逆三角形だ!


「おい」

「あっはい、すいませんなんでしょうか」

「……話聞いてなかっだろ。まあいい」

諒につつかれて正気を取り戻す。

本当にごめんなさい。内なる自分がはしゃいでました。

「チャーム、使ったことあるか?」

「今までよく見てなかったけど、星煌ちゃん、今も目が光ってるから、無意識に使ってるんじゃない?」

「あぁ、本当だ。昼だから太陽光と混じって余計わかりにくい……」

「色々話すと長くなるんですけど、昨日…………」



「……お前、それ絶対騙されてるぞ」

昨日の夜起きた出来事をかくかくしかじかで話した。自分に会ったことと、その時才能を初めて使ったこと。

「えぇ!? だって、顔もそっくりだったし……」

「う〜ん、写真とかも無い?」

「スマホ置いて行ったので……」


沈黙が場を支配する。確かに、今思えばスマホを持って行っておけば良かったと、今更後悔する。

「……怪しい」

「いや……たしかに怪しくはあったけど!」

すごく怪しかった。なんなら、今でさえ信じる材料が顔しかない。

「"もう一人の自分に会った"かぁ……」


「まあ、その星煌ちゃん(二人目)の事は置いておいて、チャーム、使った感じどうだった?」

「なんか、記憶が流れてきたんです。でも、それには全然見覚えが無くて……」

あの一枚画を思い出す。それは簡単に表面まで浮き上がってきて、すぐに言葉にできた。


「私と、照井さん。あと、知らない女の人がいました」

「声とかは何も聞こえなかったんですけどね」

「あれ、私もいたのか」

「そうなんです」

そうだ、照井さんが居たんだ。私の横に立ってて、女の人の方を見てた。

「その女はどんな感じだった?」

諒が問いかける。

「え〜っと、"サイドテール"の、"背が高い"女の人……」

距離が遠くて全部は見えなかったが、その位は覚えている。

「あぁ、あと、インナーカラー……

"オレンジ色のインナーカラー"が入ってました」

「う〜ん、先生その人見覚えないな……

でも、私と一緒にその場にいたんでしょ?」

「そうですね、向かい合って……あぁ、場所は、家の前のすぐ近くの森辺りでした」

「なるほどな……」


……照井さんも知らないとなると、完全に手詰まりだ。

『観測』した結果がこんな意味不明だったら、やる意味が無い。やる気も下がるし……


「そもそも、それは何時の出来事なんだ?」

諒がまた疑問を出す。

確かに、結果が知らない物だった。までならまだいいけど、それがいつか来るものだとしたら……


「う〜ん、どっちかと言うと、『未来視』に近いのかな」

照井さんが答える。

「星煌ちゃんも、私も誰も知らない出来事。

だとしたらそれは過去や今ではなく"未来"で起こりうる結果なんじゃない?」

「あぁ、なるほど。それは確かに……」

諒も、私も納得した。

「"いつかくる出来事"を切り取って観測する」

照井さんが立ち上がってホワイトボードに図を書きはじめる。

「それがいつおこるのか。その結末は変わるのか」

キュッキュ。黒いペンが擦れる音が響く。

「そういった類の事は分からないけど、とりあえずの仮説はこうかな」


「いつかくる未来の一つを、先に観測する」

ホワイトボードに、黒い字で書かれたそれは、ほかの図より、よく目立っていた。


「俺もそう思います。星煌、さっき観測した結果のやつ、忘れるなよ」

「うん。覚えておく」

だって、私が現像したんだから、忘れるわけが無いよ。


時刻は、いつの間にか10:00になっていた



「え!? 星煌も才能あった!?」

「も〜ちょっと早く連絡してよ!!見せて見せて!!」

午後13時。早めに帰ってきた心に報告したら、自分より飛び跳ねて喜んでいる。

諒と先生は遅めの昼食を取って、私は心に抱きつかれた。

「うわ〜すっご〜い!!」

とはしゃいでいる心を横目に、(そんなに喜ばしい事だったとは……)と、逆に冷静になる。

そういえばあの二人とも、どちらも(「おめでとう」)なんて言ってくれなかった。

他人の幸運を喜べるなんて、いい人だ。


ふと、気になった。そういえば、心にも星があるなら、チャームがあるはずだ。

「心にも、あるの?才能」

興味津々にカード見つめていた顔がこっちを向く。

「あるよ! けど、忘れた!!」

「え、忘れた?」

「うん!!」

……底なしの明るさだ。自分の才能を忘れているのなんか気にしてませんよと、言われているようだった。

それにしても、忘れた?忘れてるのに、チャームは使えている?

なぜ忘れたのか……記憶喪失、或いはただ単に記憶力が悪いのか……

いや、それないか。私じゃないんだし。


「ほら、ここのチャーム欄」

そう言って心は自分の証明書をを手に取って見せてくれる。

「ちゃんと枠があるんだけど、黒塗りになっちゃってるの」

「ほんとだ……」

文字が、黒い███で隠されていた。

これは、心が忘れたから黒い塗りになっているのか。それとも、忘れさせるように黒塗りにしているのか。前後が分からなかった。

そもそも誰がやったのかすら、分からないのに。


「でも、ちょっとならわかるよ!敵と戦う時に使えるから、私のチャームは戦闘向きって事!」

「あ〜たしかに。使えるなら、いいのか……」

「そう!いいのいいの!

て、言うか『観測』ってカッコイイ!」

……本当に気にしていないようだ。

自分より私の才能の方が気になってるし、使えない訳では無いのだから。

まあ、本人がいいなら、よしとしよう。

そう言って、私は久しぶりに心とお喋りをした。


時間は、おやつタイムを忘れさせる程短かった。



――夜、18:20


「わ、これ凄い美味しい」

「まじ!? 一口ちょうだい!」

「いいよ、ほらここの部分」

「…………本当だ!私も次それ頼も!」

ご飯の時間になると、必然と会話が盛り上がる。

……まあ、一人を除き。

「ごちそうさま。じゃ、先生寝るね」

「おやすみ! 先生!」

「「おやすみ」なさい」

そう言って照井さんは2階へと階段を登る。

……早い。あまりに食べるのが早すぎる。

早食いでもこんなすぐ食えねぇよ。一口で食ってんのか?とツッコミたくなる現象。

でももう慣れた。こういうのは適応力が大事だから。


そんな事を思いながらもう一口齧る。昨日とは違うお店のハンバーガーだった。



「は、あぁ〜」

自室で大きな欠伸をする。なんだか今日……いや、昨日の夜……は、怒涛の一日だった。

疲れからか興奮からか知らないが、今横になれば直ぐに寝れそうな気がした。

まあ、無理もない。むしろ、今までこんな馴染んでた方がおかしかったのだ。

ここは、"違う世界線"

ほかの世界も、行けるのだろうか……

まあ、またあの穴に入るのはごめんだから、私にはもう無理だろう。


日記を閉じて、席を立つ。

静かに、眠りに入る。


……


『お前は、何をしたいのか?』だって?

今は、ただ協力してるだけ。行くあても無いし、帰れもしないから。

才能もわかった。委員会にも所属して、そこそこ馴染み始めた。

ただ、目標がない。わたしは、隠蔽のために連れてこられて、ここにいる。


私はこの日記を、なぜ書いている?


「そんなの、わたしが聞きたいよ」

心の中でつぶやいた一文は、誰にも聞かれることなく闇へ消えていった。


そしてそんなことよりも、自信が才能を手に入れた喜びを、噛み締めていたかった。


記入 記録 : 星煌 ?

Q 諒くんの万能は、本当になんでもできるの?

A たぶん!この前、それと一言一句全く同じこと聞いたら、皿回しをやってくれたよ!足で!


回答 : 心

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