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かぼちゃのパンツはもういらない~弱みを握ればこっちのもの!  作者: 星降る夜


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42 鉱山ゲットでしゅ!


 「ご足労ありがとうございました」


 ギルドマスターはそう言うと大事そうに書類をしまう。これで、あの鉱山は私のものになった。お父様が何かを言ってこようと、私のポケットマネーだから関係ないわよね。


 ポケットマネーとは言っても、実際は一銭も払っていない。預けてあった報奨金で払ったからちょうど差し引きゼロになった。


 ギルドマスターは私にこれ以上報奨金を払わなくていいし、いらない土地を売りつけた気でいるのよね。


 私は土地を手に入れられたし、ウィンウィンだわ。


 私はいつものように用意されたミルクティーを一口飲む。


 「ところで、ハンバーガーは食べましたか?」

 「いやぁ~なかなか手に入らんですな」


 ギルドマスターはそう言うと手でおひげを撫でている。


 これは試食を待っているのね。私にはお見通しよ。


 私はホルンに持ってきたものを出してもらう。


 「新作のチーズバーガーでしゅ。どうぞ」


 ギルドマスターはおひげを撫でていた手を止めると、サッと奪うように紙袋を掴んだ。そのお鼻がぴくぴくと動いていた。


 「いつも、お気遣いありがとうございます」


 ギルドマスターはそう言うと、紙袋を覗き込んだ。ポテトのいい香りが部屋に充満した。


 きっと、早く食べたいのね。


 ふふ、これで、上客ゲットだわ。私は口角を上げる。


 「では、また買いに来てくだしゃいね」


 挨拶もそこそこに、お皿にハンバーガーを出しているギルドマスターを横目で見ながら、私はレオンとホルンを引き連れてギルドを後にする。


 スキップしたいのを我慢して、優雅に去ったのよ。


 やったぁ~!


 お屋敷に帰るとスーザンが新しいお洋服を準備していた。


 んっ? めずらしいわね。


 「スーザン、なにかあるの?」

 「ご家族で王宮にご招待されているみたいですよ」


 ご家族って? 私も入るの?


 胸がきゅっとなって、お母さまの冷たい声とお父様の何の感情も映さない眼差しを思い出した。身体が強張って冷たくなる。これはルリアの記憶だ。ほとんど覚えていないけど身体は覚えているんだわ。


 「スーザン。お腹痛い」


 その場に屈みこむとスーザンは、ちょっと驚いたように私を見る。後ろにいたレオンがサッと抱き上げてくれた。


 「ギンに薬を持ってこさせる」


 レオンはそう言うと私をベッドまで運んでくれた。


 「お医者様を呼びますか?」

 「へーき。とうみんしゅる」


 そう言うとお布団をかぶった。お腹が痛いのは本当だけど、ちょっとだけだし、ギンならごまかせるけど、お医者様は無理だと思う。


 「おうきゅう、行けない」

 

 スーザンは大きくため息を一つつく。


 「わかりました。公爵様にはお伝えしますね」


 私はお布団をかぶりながらうなずいた。


 しめしめと思いながらお布団の中でいつの間にか眠ってしまった。


 しばらくすると、そっと誰かが額に手を当ててきた。


 んっ? 目を開ければギンが心配そうな顔で覗き込んでいた。


 「姫様、お腹はまだ痛いですか?」


 お腹はもう痛くないけど、弱ったふりはしておこう。「治ったんなら行くぞ」なんて言われた日にゃたまらない。


 「いまは、へいき」

 「姫様、お薬持ってきましたよ」

 「苦いの?」

 「甘いですよ」

 「はちみつ? りんご?」


 ギンはニッと笑う。


 「あたりです」


 そう言うとりんごの香りがする葛湯みたいなものをくれた。ちょっと、美味しい。


 「おいしい……」

 「また作りますよ」


 そう言うと今度は嬉しそうに笑った。


 「ギン、あのね、鉱山買ったの」

 「ああ、それで、緊張したんですね」


 違うけど、そういうことにしておこう。


 「うん。明日いこう」

 「明日……ですか?」

 「うん」

 「2人で?」

 「うん」


 頷きながら考えた。誰とでもいいんだけど、レオンがなんと言うかだよね。


 「俺も行こう」


 いつの間にかレオンが部屋の壁に寄りかかっていた。


 こういうところが、油断も隙もないって言うのかなぁ。壁に耳あり障子に目ありだから……。


 「じゃあ、みんなで行きましゅ」


 レオンが行くなら、皆で行くのも楽しいわ。この間もみんなで行ったもの。


 「お店は『めっ!組』に任せますか?」


 私は大きく頷いた。『めっ!組』雇ってよかった。『ひよこ組』もいるしね。


 「ルリア、あそこで何をするつもりだ」


 レオンが壁に寄りかかったまま聞いてくる。


 私がしたいのは石を拾うこと、後は探検? あそこは情緒があっていいと思うのよ。まるで古い遺跡みたいだもの。前世で見た遺跡の写真を思い出す。探せばお宝が眠っていそうだわ。


 「宝探しでしゅ」

 「宝?」

 「後は、変な人が来ないようにするでしゅ。ルリアの土地でしゅから」

 「なるほど、わかった」

 「姫様は宝の地図を持っていますか?」


 はっ、それは気が付かなかった。地図なんて持っていない。冷や汗が頬を伝う。


 「ないでしゅ」


 やっぱり地図がないとダメだよね? ギンの顔を窺った。


 「地図がないと……」


 ギンがちょっと考え込むように言う。


 「そ、そうでしゅよね」


 今回は宝は諦めよう。


 「石を拾いましゅ」

 「あの石か」


 レオンがベッドの脇を視線で指す。


 へへ、そうなの、大事にしている石達。皆が拾ってくれたんだ。もっと欲しくなっちゃった。たまご型で可愛いのよ。


 「もっと飾るでしゅよ」


 私が得意げに言うと、レオンは顔色も変えずに言う。


 「お前は安上がりだな」

 「姫様は、お洋服や宝石は好まないのですか?」


 ギン、3歳からそんな趣味、末恐ろしいわ。


 「お菓子も好き」


 私の言葉にギンは目を輝かせる。


 「姫様のお菓子は美味しいです」


 ふふ、皆、すっかり餌付けされたわね。悪い笑みが浮かんでしまう。


 頬をパンパンと叩く。


 「じゃあ、明日はよろしくでしゅ」









 お待たせしました。「かぼちゃのパンツはもういらない~弱みを握ればこっちのもの!」再開です!

シーズン4・第二部になります。


 投稿は水曜日と土曜日の週2回を予定しています。

 次回は水曜日です。


 そして、新作の「未来受信機」全25話も完結しました。

 夏休みのお話ですので、よかったらこちらも読んでみてくださいね。


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