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ああ、愛しの阪神タイガース  作者: 泉水遊馬
第一章 今年も頑張るで

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第6話 栄光の架け橋やで

虎吉、映画10回目を観に行くと言い張る

(家族、ついに止められなくなる)


日曜日の朝。

虎吉(51)は、阪神ユニフォームの上にジャケットを羽織り、

玄関で靴を履きながら宣言した。


「よし、今日は映画館行くで。

 『栄光のバックホーム』、10回目や」


妻・美津子が台所から顔を出す。


「アンタ……もう9回観たやろ。

 なんで10回目なん」


虎吉は胸に手を当て、真剣な顔で言う。


「横田慎太郎の魂はな……

 10回観て、ようやく“心に定着”するんや」


娘・遥香(22)が呆れた声を出す。


「パパ、それ完全に個人の感想やん」


虎吉はうなずく。


「せや。個人の感想や。

 でもな……ワシの人生には必要なんや」


美津子は腕を組む。


「アンタ、映画館のポイントだけ貯めたいんちゃう?」


虎吉「ちゃう。

 横田のバックホームはな……

 観るたびに“生き方”を教えてくれるんや」


遥香「パパ、昨日も同じこと言ってたで」


虎吉「昨日は9回目の感想や。

 今日は10回目の感想になるんや」


美津子「意味わからん」


車の中でも虎吉は熱い


家族で車に乗り、映画館へ向かう。


虎吉は助手席で語り続ける。


「横田のバックホームはな……

 ただの送球やない。

 “人生の全力疾走”なんや」


遥香「パパ、今日だけで3回目やでそのセリフ」


虎吉「何回でも言う。

 あの一球はな……

 ワシの心の中の“1985年のバックスクリーン”と同じや」


美津子「また1985年出てきた」


虎吉「1985年はワシの原点や。

 横田のバックホームは“第二の原点”や」


遥香「パパの原点、多すぎ」


映画館に到着


映画館の前で、虎吉は深呼吸した。


「よし……10回目、行ってくるわ」


美津子「アンタ、一人で行くん?」


虎吉「そらそうよ。

 ワシは集中して観たいんや

お前らは買いもんでもしとれ。」


遥香「パパ、10回目で集中力残ってるん?」


虎吉は真剣に言う。


「横田の映画はな……

 何回観ても涙が出るんや。

 あれは“阪神ファンの儀式”や」


美津子「儀式言うな」


上映前、虎吉の“準備運動”


虎吉は席に座り、タオルを膝に置く。


「よし……今日は泣く準備万端や」


隣の客がチラッと見る。


虎吉は小声で言う。


「横田のバックホームはな……

 泣かん方が失礼なんや……」


隣の客「(怖い)」


上映後、家族と合流


映画館のロビーで、虎吉は目を真っ赤にして戻ってきた。


美津子「アンタ……また泣いたん?」


虎吉「泣くに決まっとるやろ……

 横田の走り方、投げ方、笑顔……

 全部が“生きる力”や……」


遥香「パパ、10回目やで?」


虎吉「10回目でも泣くんや。

 むしろ10回目が一番泣いたわ」


美津子「なんで」


虎吉「横田の姿がな……

 ワシの人生と重なって見えるんや……

 “諦めんかったら、まだ走れる”って言われてる気がするんや。

しかし、何回聞いてもあの歌は染みるなぁ。」


家族は少しだけ黙った。


虎吉は照れくさそうに笑う。


「よし、なんか食って帰ろか。

 明日からまた頑張るで。

 横田に恥じんようにな」


美津子「はいはい。

 でも次は11回目行く前に相談してや」


虎吉「……相談はする。

 行くのは確定やけどな」


遥香「結局行くんかい」


虎吉は満足げにうなずいた。


「そらそうよ。

 横田の映画は、ワシの心の栄養や」


こうして虎吉の“10回目の鑑賞”は、

家族のツッコミと、少しの涙とともに幕を閉じた。

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