第3話 WBC敗退
虎吉、2026WBCベネズエラ戦でテルと森下翔太を応援しすぎて家が揺れる
2026年3月15日。
WBC準々決勝、日本 vs ベネズエラ。
虎吉(51)は朝から落ち着かない。
阪神ユニフォームの上に作業着を羽織り、
頭には虎柄ハチマキ。
完全に“戦闘態勢”である。
テレビが試合開始を告げると同時に、虎吉は正座した。
「よっしゃ……今日はテルと翔太のための日や。
世界に見せたれ、若虎魂!」
妻・美津子が呆れた声を出す。
「アンタ、今日は仕事どうすんの」
「テルが打ったら行く」
「毎回それ言うてる」
1回表:アクーニャJr.の先頭打者ホームラン
テレビ「ホームラン!ベネズエラ先制!」
虎吉「……え?」
静まり返るリビング。
娘・遥香が言う。
「パパ、まだ1回やで」
虎吉は震える声で言う。
「アクーニャJr.はな……バースの親戚みたいなもんや……
しゃあない……」
1回裏:大谷翔平の同点ホームラン
虎吉は突然立ち上がり、天井に拳を突き上げた。
「翔平ィィィィィ!
お前はもう“世界の岡田”や!!」
美津子「誰がわかんねんその例え」
3回:森下翔太、逆転3ラン
テレビ「森下翔太!レフトへ大きな当たり!入ったー!」
虎吉は絶叫した。
「翔太ぁぁぁぁぁぁぁ!!
お前は今日から“世界のモリシタ”や!!
見たか世界!これが阪神の未来や!!」
遥香「パパ、近所迷惑」
虎吉は涙を流しながらテレビに向かって叫ぶ。
「翔太……お前はな……
ワシの若い頃の夢を全部叶えてくれてるんや……!」
美津子「アンタ、野球部ちゃうかったやろ」
虎吉「心はずっと4番や」
5回:ガルシアの2ラン
テレビ「ベネズエラ、1点差に詰め寄ります!」
虎吉「ガルシア……お前もバースの親戚か……?」
遥香「パパ、バースの親戚多すぎ」
6回:アブレイユの3ランで逆転
テレビ「逆転ホームラン!」
虎吉は崩れ落ちた。
「アブレイユ……
お前はバースの兄弟やろ……
強すぎるわ……」
美津子「アンタ、もう阪神関係ないやん」
8回:牽制悪送球で追加点
虎吉は頭を抱えた。
「なんでや……なんでやねん……
阪神の選手は悪くない……
全部、地球の重力が悪いんや……」
遥香「意味わからん」
試合終了:日本 5–8 ベネズエラ
虎吉は静かにテレビの前に座り込んだ。
「翔太の3ラン……
テルのタイムリー……
あれだけ輝いとったのに……
世界は厳しいなぁ……」
美津子はそっと隣に座る。
「アンタ、ほんまに阪神の子らが好きやな」
虎吉は涙を拭きながら言う。
「好きとかやない。
あの子らはな……
ワシの人生の希望や」
遥香が優しく言う。
「パパ……テルも翔太も、また打つよ」
虎吉はゆっくりうなずいた。
「せやな……
阪神の若虎は、負けてもまた立ち上がるんや……
1985年のバックスクリーン3連発みたいにな……」
その瞬間、虎吉の脳内に1985年のバース・掛布・岡田が現れる。
バース「トラキチ、元気出せ。翔太はまだ若い」
掛布「テルはこれからや。心配すんな」
岡田「そらそうよ」
虎吉は笑った。
「よっしゃ……明日からまた応援するで……
阪神の未来は、まだまだこれからや!」




