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ああ、愛しの阪神タイガース  作者: 泉水遊馬
第一章 今年も頑張るで

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第2話 虎吉、鳥谷を語る

WBCベネズエラ戦の中継。

テレビ画面には、落ち着いた声で解説する鳥谷敬の姿。


虎吉は姿勢を正し、テレビの前で正座した。


「……トリさんや」


妻・美津子がキッチンから顔を出す。


「アンタ、急にどうしたん」


虎吉は真剣な目で言う。


「トリさんが喋ってるんや。

 これはな、拝聴せなアカンやつや」


「宗教か」


虎吉は胸に手を当てる。


「鳥谷敬はな……阪神の歴史そのものや。

 あの人の言葉は全部、金言や」


娘・遥香がソファに座りながら言う。


「パパ、鳥谷さんの解説そんなに好きなん?」


虎吉は即答した。


「好きとかやない。

 尊敬や。

 いや、崇拝や」


美津子「やっぱり宗教やん」


テレビの鳥谷

「ここは外角のスライダーを見せて、次にインコースを使えるかどうかがポイントですね」


虎吉は感動して震えた。


「ほら見てみ!

 この落ち着き!この知性!

 現役時代からずっと変わらん!」


遥香「普通に野球の解説してるだけやん」


虎吉は首を振る。


「ちゃう。

 トリさんの解説は“野球の授業”や。

 あの人の言葉にはな、

 “守備職人の哲学”が詰まっとるんや」


美津子「アンタ、鳥谷さんの授業受けたことないやろ」


虎吉「心で受けとる」


テレビの鳥谷

「森下選手はスイングの軌道が安定してますね。

 あとはボールの見極めができれば、もっと打てます」


虎吉は立ち上がった。


「ほら来た!

 トリさんが翔太を褒めた!

 これはもう“出世確定”や!」


遥香「なんでそんなに影響力ある設定なん」


虎吉は真剣に言う。


「トリさんに褒められるってのはな……

 阪神の未来を託されたってことや」


美津子「勝手に託すな」



テレビの鳥谷

「佐藤選手は守備範囲が広いので、あとは一歩目の反応が安定すればもっと良くなります」


虎吉は涙ぐんだ。


「トリさん……

 テルのこと、ちゃんと見てくれてるんやな……

 ああ、ありがたい……」


遥香「パパ、泣くほど?」


虎吉「トリさんに指摘されたらな、

 選手は絶対伸びるんや。

 あの人は“阪神の家庭教師”や」


美津子「誰がそんなこと言うてんの」


虎吉「ワシや」


試合が劣勢になっても、虎吉は鳥谷を信じる



美津子「アンタ、鳥谷さんに人生導かれてるやん」


虎吉「トリさんはな……

 ワシの心のショートストップや」


遥香「意味わからんけど、なんかカッコいいなそれ」


虎吉は満足げにうなずいた。

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