第23話 虎吉、門田を語りすぎる
― 阪神ファンでも門田は別腹 ―
夕食後のリビング。
虎吉はスポーツ新聞を読みながら、
突然、何かを思い出したように立ち上がった。
虎吉
「なあ、美津子……
昨日の話、ワシずっと考えとってん」
美津子
「何の話?」
虎吉
「お前が“門田が一番好きやった”って言うたやつや!!」
遥香
「ああ、あれね」
虎吉
「ワシな……
あれ聞いてから、門田のこと語りたくて仕方ないんや!!」
美津子
「いや、語らんでええよ」
虎吉
「語らせてくれ!!
門田はな!!
語らなアカン選手なんや!!
語らずに死ねるか!!」
遥香
「パパ、落ち着いて」
■ 虎吉、門田の“伝説”を語り始める
虎吉
「まずな!!
門田は40歳で44本打ったんや!!
普通の選手は40歳で引退考えるんや!!
でも門田は違う!!
むしろ全盛期や!!」
美津子
「アンタの声が全盛期やわ」
虎吉
「さらにや!!
アキレス腱切って、
“もう走れません”って言われたのに、
“じゃあ走らんでええから打つわ”って言うて、
ほんまに打ちまくったんや!!
こんな選手おるか!!」
遥香
「それは確かにすごいな」
虎吉
「せやろ!?
門田はな、走らんでもええんや!!
打球が走るんや!!
打球が勝手に飛んでいくんや!!
あれはもう……物理法則を超えとる!!」
美津子
「物理法則は超えてへんと思う」
■ 虎吉、さらに暴走
虎吉
「門田のホームランはな!!
“ドーン!!”って音がするんや!!
普通の選手は“カキーン”や!!
でも門田は“ドーン!!”や!!
重いんや!!
魂が乗っとるんや!!」
遥香
「パパ、擬音語多すぎ」
虎吉
「門田の話になると擬音語しか出てこん!!
それくらい衝撃的なんや!!」
美津子
「アンタ、阪神の選手の時より熱量高くない?」
虎吉
「門田は別腹や!!
阪神ファンでも門田は好きになる!!
門田は宗教や!!
信仰や!!
人生や!!」
遥香
「パパ、宗教扱いはアカン」
■ ついに家族が止めに入る
美津子
「はいストップ。
もうええやろ。
アンタ、30分しゃべりっぱなしやで」
遥香
「パパ、息切れてるし」
虎吉
「まだ語れる!!
門田の魅力は無限や!!
あと3時間は語れる!!」
美津子
「語らんでええ。
明日仕事やろ」
虎吉
「仕事より門田や!!」
遥香
「パパ、それはアカン」
虎吉
「……すまん。
ちょっと取り乱した」
美津子
「ちょっとどころちゃうわ」
■ でも、最後に一言だけ
虎吉
「……でもな。
美津子が“門田が好きやった”って言うてくれて、
なんか嬉しかったんや。
ワシも門田好きやから」
美津子
「……ふふ。
そう言うと思った」
遥香
「パパ、結局嬉しかっただけやん」
虎吉
「せや!!
門田は家族をつなぐんや!!
門田は平和や!!」
美津子
「はいはい、もう寝なさい」




