第21話 虎吉と遥香、大逆転で大興奮
L― 0–7からの奇跡をリアルタイムで ―
5月20日、甲子園。 中日戦。
阪神は7回表を終えて 0–7。
テレビの前の虎吉は、ソファに沈み込んでいた。
虎吉
「……今日はアカン……
7点差は無理や……」
遥香
「パパ、まだ7回やで?」
虎吉
「野球は9回まであるけどな……
阪神は7回で終わる日もあるんや……」
美津子
「縁起でもないこと言わんとき」
■ 7回裏:反撃開始(4点)
テレビ
「坂本、センター前!タイムリー!!
阪神、まずは2点返しました!」
虎吉
「えっ……? 坂本……?
坂本が……打った……?」
遥香
「パパ、息して」
虎吉
「息してる!!
まだいける!!
阪神はここからや!!」
続いて――
テレビ
「代打・嶋村!タイムリー!!」
虎吉
「嶋村ァァァァァ!!
お前は救世主か!!」
そして――
テレビ
「中野、センター前!
これで4–7!!」
遥香
「中野!!
やっぱりすごい!!」
虎吉
「遥香が立ち上がったぁぁぁ!!
中野のタイムリーで立ち上がったぁぁぁ!!
これは奇跡の前兆や!!」
美津子
「アンタら、うるさい」
■ 8回裏:さらに3点で同点
テレビ
「坂本、今日2本目のタイムリー!!
阪神、6–7!!」
虎吉
「坂本誠志郎ォォォォ!!
お前は今日、何者なんや!!
4打点て!!」
遥香
「パパ、泣いてる?」
虎吉
「泣いてへん!!
目から阪神が出てるだけや!!」
そして、
テレビ
「代打・木浪!ライト前!!
阪神、ついに7–7!!」
遥香
「追いついた!!
ほんまに追いついた!!」
虎吉
「うおおおおおおおおおお!!
7点差追いついたぁぁぁ!!
阪神は死なへん!!
阪神は蘇るんや!!」
美津子
「アンタ、声でかい」
■ 9回裏:森下翔太、サヨナラホームラン
テレビ
「先頭は森下……
打ったぁぁぁ!!
レフトへ大きい!!
入るか!? 入るか!?
入ったぁぁぁ!!
サヨナラホームラン!!」
虎吉
「翔太ァァァァァァァァァァ!!
お前は阪神の太陽やぁぁぁ!!
未来の4番どころか今の4番やぁぁぁ!!」
遥香
「すごい……
ほんまに勝った……
阪神って……こんなことあるんや……!」
虎吉
「あるんや!!
阪神はな!!
しんどい時ほど強いんや!!
これが阪神や!!
これが野球や!!
これが人生や!!」
美津子
「はいはい、落ち着き」
■ 試合後、二人はしばらく立てなかった
虎吉
「遥香……
今日の試合は一生忘れたらアカン……
7点差をサヨナラでひっくり返すなんて……
阪神の歴史でも初めてなんや……」
遥香
「うん……
なんか……胸がずっとドキドキしてる……
阪神って……すごいな……」
虎吉
「せやろ……
これが阪神ファンの“沼”や……
もう抜けられへんで……?」
遥香
「……別に抜ける気ないし」
虎吉
「うおおおおおおおおおお!!
遥香が完全に阪神ファンになったぁぁぁ!!」
美津子
「アンタが一番うるさいわ」




