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ああ、愛しの阪神タイガース  作者: 泉水遊馬
第一章 今年も頑張るで

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第10話 母と娘、虎吉の“伝説の小学生時代”を語る

夕方のリビング。

美津子と娘・遥香は、夕飯の支度をしながら話していた。


遥香

「ママ、パパってさ……昔からあんな感じやったん?」


美津子

「“あんな感じ”ってどんな感じよ」


遥香

「阪神のことになると人格変わる感じ」


美津子は吹き出した。


「変わるんやないよ。

 あれが素や。

 あの人は天王寺小学校の頃から、近所で有名やったんやから」


遥香

「え、パパってそんな有名人やったん?」


美津子

「有名というか……“伝説”やね」


遥香

「伝説て」


美津子は包丁を置き、懐かしそうに語り始めた。


1. 天王寺小学校の制服無視事件

美津子

「天王寺小学校って、制服がきっちり決まっててね。

 夏は麦わら帽子が必須やったんよ」


遥香

「へぇ、今と違うんや」


美津子

「でもパパはな……

 一年中、阪神のキャップかぶってたんよ。

 冬でも夏でも、雨でも風でも」


遥香

「え、それ怒られへんの?」


美津子

「怒られてたと思うよ。

 おじいちゃんから聞いたけど、先生に“麦わら帽子は?”って聞かれたら、

 虎吉は胸張ってこう言うてた」


虎吉(当時)

『阪神の帽子の方が強いんです!』


遥香

「強いって何……」


美津子

「先生も笑ってたらしいわ。

 昔から、謎に説得力あったからね」


2. 近所の工場の大人と対等に阪神談義


遥香

「パパ、子どもの頃から阪神の話してたん?」


美津子

「してたどころやないよ。

 近所の工場の大人たちと“対等に”阪神談義してたんよ。

 小学生やのに」


遥香

「対等って……」


美津子

「“掛布のミートポイントが〜”とか、

 “バースの打球角度が〜”とか、

 大人と同じレベルで話すんよ

私見たことあるもん。」


遥香

「小学生の会話ちゃうやん」


美津子

「工場のおっちゃんらも、虎吉が来たら嬉しそうにしてたわ。

 “あいつは将来、阪神の監督になるで”って、坂井さんが昔いってたもん。」


遥香

「ああ、車の修理やさんの。

でも、パパ、監督どころかただのファンやん」


美津子

「でも熱量は監督級やね」


3. ホームレスを集めて六甲おろし事件


遥香

「あ、その坂井のおじいちゃんから聞いたんやけと、パパがホームレス集めて六甲おろし歌わせたって本当?」


美津子

「本当やよ。

 当時はこの辺、ホームレスの人が多かったんよ。

 虎吉はな……

 “阪神ファンはみんな仲間や!”って言って、

 ホームレスのおじさんらを集めて六甲おろし歌わせてたんよ。」


遥香

「えぇ……」


美津子

「しかも歌い終わったら、

 ご褒美に食パン配ってたんよ。 」


遥香

「それ怒られへんかったん?」


美津子

「大問題よ!

ホームレスと遊んでるんやから。

うちのお母さんもPTAで、山下さん家の子がホームレスと遊んでたら学校に連絡してください言われとったもん。


でもな、先生たちが

 “ホームレスと遊んではいけません!”って。

 そしたらパパがこう言うたんよ」


虎吉(当時)

『阪神ファンはみな平等や!』


遥香

「へぇ……」


美津子

「でもね……

 ホームレスのおじさんら、パパのこと大好きやったと思うよ。

パパのお母さんが亡くなった時に、ほら、この辺って今でも隣近所の情報って耳に入るやん。

ホームレスの人たちも、誰かが聞いたんやろな。

おばあちゃん乗せた霊柩車が通る時にパパのこと心配そうに見てたよ。

ママもその場にいたけど、幼いながらに覚えてるよ。」


遥香

「……なんか、パパらしいな」


美津子は微笑んだ。


「そうやね。

 あの人は昔から、

 阪神と、人と、困ってる人が好きな子やったんよ」


遥香

「パパ、変わってへんのやな」


美津子

「変わってへんよ。

 あの頃のまま、大きくなっただけや」


遥香

「……なんか、ちょっと好きになったわパパのこと」


美津子

「そらそうよ。

 あの人は“阪神の男”やからね」


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