事情
ゆか「は、、なん、で、、」
僕は突然頭が痛くなる。
優紀「ゆか、これじゃないよ。本当使えない。」
痛い
優紀「はぁ、何回言ったらわかるの?男の連絡先消しなよ。」
痛い
優紀「次俺以外の男と喋ったら殺すから。」
痛い
ゆか「っぅ”、」
僕はあまりにもひどい頭痛にしゃがみ込む。
浅木「白崎ッ、、!!!」
浅木は僕に駆け寄って顔色をうかがう。
あ、やばい、これ意識飛ぶ。
僕はそのまま意識を手放した。
ゆか「、、ん、?」
目を覚ますと、知らない天井だった。
僕はゆっくりと起き上がる。
浅木「、、白崎、!!!
よかった、、、生きてた、、
お前、急に倒れたんだぞ、??」
ゆか「、、あ、の、、
誰、ですか、??」
浅木「は、?」
浅木「た、他人行儀かよ、冗談きついって、w」
ゆか「、、、え、、あ、」
浅木「ッ、、また忘れたのかよッッ!!!!!」
彼は悔しそうにテーブルを強く叩く。
僕はそれをすごく恐怖に感じた。
ゆか「っ、怖い、やだ、、、」
浅木「お前ッ、、また、、、また最初からっ、!!!!!」
彼は悲しそうな顔をしていた。
どんな関係だったのか、わからない、この人、?
浅木「、、悪い、」
彼は乱暴に扉を開け、病室から出ていく。
、、何だったんだろう。
浅木side
俺と白崎は、幼馴染だった。
幼稚園の頃からいつも一緒に遊んでいた。
俺は、白崎が好きだった。
俺にはない、明るい笑顔を見せてくれた。
幼稚園時代の俺にとって、白崎は太陽みたいな人だった。
けれど、白崎は時々俺のお迎えに来てくれる俺の兄ちゃんが好きだった。
小さい子供ながらに失恋という言葉を理解していたつもりだった。
そのうち白崎も兄ちゃんのこと好きじゃなくなるだろうと思いながら、様子見をした。
すると、小学校6年になっても白崎の気持ちは変わらなかった。
俺は、薄々自分の兄がとんでもなくやばいやつだということに気づいていた。
中学に入っても、まだ白崎が兄のことを好きならば、
真実を教えてやらないといけないと思った。
そして春の入学式。
浅木「、、ねぇ、」
ゆか「?なぁに??」
白崎は振り向いて俺に微笑む。
新品の制服を身にまとった彼女は、桜が背景の
1枚の絵のように見えた。
浅木「、、お前、まだ俺の兄のこと好きなの?」
俺が恐る恐る聞くと、白崎は不思議そうな顔で首を傾げて答える。
ゆか「もちろん。」
浅木「、、あいつのどこがいいんだ、?」
ゆか「、、うーん、優しいところ。
もうすぐ告白しようと思ってるんだ!」
白崎は自慢げに言うが、本来のあいつは優しくなんて無い。
自分勝手で、世界が自分中心に回っていると思ってる異常者だ。
それを早く白崎に知らせてやりたかった。
浅木「、、あいつは、やめておけ、」
俺が小さな声で呟いた瞬間、白崎は大きく目を見開く。
浅木「、、あいつ、あの、、そ、の、、」
俺は、白崎が危険な目にあってほしくないという気持ちと同時に、
白崎が幸せであればそれでいいんじゃないかという気持ちが出てきた。
兄が、白崎を大切にしてくれるはずだろうし。
けれど、一度言った言葉は、もう戻せない。
ゆか「、、朋紀にとってはやばいお兄ちゃんかもしれないけど、
僕にとっては魅力的で、優しいお兄さんなの!!!
そんな事言わないでよ、、」
白崎は初めて俺に悲しそうな顔を見せる。
やってしまった。
心のなかで後悔したのもつかの間、白崎はとある一言を放って走ってしまった。
ゆか「ッ、もう知らない、朋紀がそんなに友達の好きな人否定する人だと思ってなかった」
振り返る瞬間の白崎の目には涙が溜まっていた。
家
優紀「、、俺、彼女できたんだよね。」
浅木「は?」
浅木ママ「あらま」
優紀の一言に俺は食事をする手を止める。
浅木「、、、誰」
冷たい態度で聞くと、兄はニッコリと微笑んで答える。
優紀「白崎さん」
わかってた。
けれど、悔しかった。
兄に負けた気がして、
けれど、兄ならきっと白崎を幸せにしてくれると信じて、
浅木「ふーん、おめでとう。」
口から出てきそうな弱音を必死に抑え込んで、
祝福の一言を放った。
けれど、
白崎との関係は治らないままで。
ゆか「おはよー!!」
クラスメイト「おはよゆか!!!」
白崎が色んな人と挨拶を交わす中、
俺と目があったときだけ気まずそうな顔をして背を向ける。
白崎の体には、傷ができていた。
クラスメイトとの会話が聞こえてきたときには、
ゆか「ちょっと階段から落ちちゃって。」
ゆか「ぼーっと歩いてたら電柱とぶつかった。」
ゆか「走ったらころんだ。」
なんてことばっかり言っていた。
当時の俺はドジだな。としか思っていなかった。
けれど、後々あんなことになるなんて、、
冬の日、白崎が入院していると聞いた。
俺は大雪にも構わず病院へ走って向かった。
浅木「ッ白崎!!!!!」
今日、学校で絶対謝ろうと思ったんだ。
だから、白崎の安全確認が大切だった。
俺は起き上がって雪を見つめている白崎に駆け寄って肩を触る。
浅木「っ、中学の入学式の時、ご、ごめん、
あの、えっと、、白崎に、嫉妬、してて、、」
俺は息を整えながら必死に言い訳を並べていると、
頬にガーゼを貼っている白崎が小さな声で呟いた。
ゆか「、、誰、ですか、?」
浅木「は、、???」
俺は白崎の呟いた言葉に耳を疑った。
そして強く肩を掴む。
浅木「覚えてねぇのかよっ、、!!!喧嘩したからって、!!!
他人行儀はなしだろ!!!!」
大きな声を出して強く揺さぶる。
すると、白崎はひどく怯えた様子で俺と距離を置こうとする。
ゆか「や、、だ、、こわ、い、、」
俺は我に返って深呼吸する。
浅木「、、悪い。」
あとから聞いた話。
白崎はストレスでの記憶喪失だった。
そして白崎は大きな病院へ行くために地元から離れた。
俺はただ、白崎が幸せに生きてくれればそれでいいと思った。
数年後、白崎が地元に戻ってくるという話を聞いた。
けれど、記憶は戻っていないため、初対面のように振る舞ってほしい。
とお医者さんから頼まれた。
高校生になった俺は白崎に会えることが心底楽しみだった。
そして、当日。
先生「はーい席について。今日は転校生を紹介するよ。」
教室では先生が落ち着いた声で話す。
周りが少しざわついて、
「女の子かな?」
「イケメン求む!!」
など、それぞれの願望を口に出していた。
俺はようやく白崎と会えることがすごくすごく楽しみだった。
ガラッ
白崎は緊張して肩を震わせ、下を向いて慎重に歩いている。
、、昔とぜんぜん変わっていない。
先生「はい自己紹介してー。」
ゆか「、、あ、、え、、と、、」
白崎がふと前を向くと、俺と目が合う。
が、すぐに逸らされてしまい自己紹介を続ける。
ゆか「、、えと、、ずんだ高校から来ました、、し、白崎、ゆかです、、、」
だんだんフェードアウトしていく白崎の声に懐かしさを感じる。
先生「白崎さんねー。はい。じゃあ、、浅木のとなりね。」
え、がち?
浅木って、、?とあたりを見回している白崎に挙手をする。
浅木「、、、」
俺は白崎の顔をまじまじと見つめる。
ゆか「えと、、ゆ、ゆかって言います、、よろしくね、、??」
白崎は首を傾げながら俺に話しかける。
俺は、白先が本当に俺のことを覚えていないのか確かめるための一言を放った。
浅木「、、、おまえ、どこかで会ったか?」
ゆか「、、へ?」
一瞬、時間が止まったような気がした。
ゆか「、、ひ、人違いじゃないかなぁ、、あはは、、」
白崎の愛想笑いに俺は肩を落とす。
、、本当に覚えていないんだ。
俺は、思い出してほしいという気持ちを心の奥にしまい込み、白崎の高校生活を
全力でサポートしようと心に決めた。
思い出してくれるかもしれないという期待を胸に。




