お守り
いじめシーンが含まれています。
翌日
僕は飴ちゃんを片手に教室のドアを開けると、厚化粧トリオが立っている。
デジャヴじゃん。と口に出しそうになりながら、首を傾げる。
ゆか「な、なんのようですかぁ、、??」
麗華「決まってるじゃない。あんたのこといじめるのよ。」
ゆか「は?」
平然といじめ宣言をされた僕は戸惑って言葉が出なくなる。
瑠奈「あんた調子乗ってるから、現実教えてあげなくちゃと思って!!!」
そう言って麗華は僕の腹部を足で思いっきり蹴る。
ゆか「ゔッ、!?」
僕は突然の衝撃に身を丸め、咳き込む。
必死に息をしようともがく僕を見て嘲笑する3人組。
亜由「何飴なんか食べながら学校来ちゃってんのぉ??飴可愛そうだわ。」
バキッっと音と共に飴は粉々に砕け散る。
僕はただ、その光景を見守ることしかできなかった。
麗華「まじでキモいんだよお前。放課後残れよ。」
そう言って麗華たちは僕に背を向けてゆっくりと歩き出す。
僕はようやく落ち着いてきた頃、ゆっくりと立ち上がって
ふらついた足取りで自分の席についた。
今日はいつも以上に授業に集中できる気がしなかった。
授業中
浅木は机に突っ伏している。
先生「白崎ー浅木起こせ〜〜。」
ため息をつきながらシャープペンシルで浅木をつつく。
浅木はゆっくりと体を起こす。
先生「お前いくらなんでも居眠りはだめだぞー。」
軽く注意された浅木を見て僕は笑いをこらえる。
先生が黒板に向き直った瞬間、浅木が小さな紙飛行機を投げてきた。
何事かと少し驚きながらも恐る恐る紙飛行機を開く。
「朝から元気無いけど。どうした?」
浅木の几帳面な性格がにじみ出ている手書きの文字だとすぐに分かる。
僕は文字の近くに「なんにもないよ」と書いてから折り目に沿って
紙飛行機を作ってバレないように投げる。
浅木はすぐさまキャッチしてまじまじと見つめる。
しばらくすると浅木はこちらを見て口角を上げる。
浅木「ないわけないだろ。ずっと下向いてさ。
、、おい、手、出せ。」
浅木に言われた言葉を一瞬理解できなくて、うろたえていると
僕の腕を掴んで自分の方へと引き寄せる。
そして手に何かを握らされる。
浅木「お守りな。なくすなよ。」
そう言って浅木は前を向く。
僕は顔が熱くなっているのを気にしながら手を開いてお守りを見つめる。
お守りは、少し縫い目が粗いが、頑張って縫ってくれたことは感じ取れる。
浅木の手をよく見ると、絆創膏だらけだった。
あくびをして、眠たそうだった。
夜遅くまでこれを作ってくれていたのかと考えると、なんだか心があったかくなった。
放課後
3人組に呼び出されていたことを思い出し、僕は教室に残る。
浅木は僕を不思議そうに見つめていたが、なにか用事があるのかと
察してくれてそのまま1人で帰っていった。
僕は何をされるのか全く考えもしないで放課後を迎えてしまったことを後悔している。
すると3人組が乱暴に教室のドアを開けて入ってくる。
麗華「あー!!待っててくれたんだぁ!!」
ゆか「あの、、なんの、用、ですか、??」
亜由「決まってるじゃん?早く浅木くんから離れなさいよ。」
僕は戸惑って言葉が出なかったが、自分の制服のスカートをぎゅっと握りしめて
口を開く。
ゆか「ど、どうして、、?僕、なんにも悪いことしてないのに、」
瑠奈「存在が悪なの。お前。」
そう言って瑠奈は僕を強く平手打ちする。
ゆか「いッ、、たぁっ、、、、???」
頬がヒリヒリして熱い。
一瞬の出来事で何が起きているのかわからない状態のまま話を続けられる。
亜由「あんた、最近調子乗ってるよね??
この間も言ったけど、体育祭で浅木くんとダンス踊れたからって
浮かれてんじゃないわよ!!このドブスが!!!!」
亜由は大きな声を出して金属バットを上に振りかざす。
ガツンッ、と鈍い音がする。
僕はゆっくりと倒れて、動けなくなる。
殴られた箇所がずきずきとする。
手足の感覚が無く、僕は必死に抵抗することを選んだ。
僕は起き上がって麗華に飛びかかる。
麗華「触んじゃねぇよ!!!汚たねぇのがうつるだろうが!!!」
もちろん1人では勝てず、残りの2人に引き剥がされた。
意識が朦朧とする中そのまま腕を拘束され、麗華は突然僕の鞄をあさり始める。
ゆか「っ!!?やだっ、、やめてっ、、」
僕は必死に足をばたつかせて振りほどこうとしたが、無駄だった。
すると麗華の腕はピタリと止まり、ゆっくりと鞄から手が抜けていく。
麗華が手に持っているものは、浅木がくれたお守りだった。
僕は人から何かをもらうことが少なかった。
だから余計に嬉しかったのに。
こんな形で壊されちゃうなんて絶対に嫌。
僕は思いっきり2人を突き飛ばして麗華に走って近づく。
ゆか「っ、やめて、っ!!!!!!」
僕がお守りに手を伸ばすと、思いっきり髪を掴まれて揺さぶられる。
麗華「ねぇ、これ、何???」
あまりの痛みに僕は顔をしかめながら抵抗する。
ゆか「ゃ”、、、めて、それだけ、は、、」
僕はお守りを取り返そうと必死に腕を動かすが、結局は空振るだけだった。
麗華「これさぁ、浅木くんがお前みたいなクソブスゴミ女にあげたやつだよねぇ??
何必死になって取り返そうとしてんの????」
僕は目に涙を浮かべながら声を出そうと口を開くと、
後ろから強く腕を捕まれ、麻縄できつく縛られる。
麗華「もしかして学年で一番モテてる人から物もらっちゃって嬉しくなっちゃった??
脈アリだと思った???はっ、馬鹿じゃね???」
屈辱的な嘲笑が針のように心に突き刺さる。
麗華「じゃ、お守りにばいばいしようねーー」
そう言ってお守りを持つ手に力を入れる。
ゆか「や、、だ、、っ、、やめてっ、、!!!」
布と糸がちぎれる音だけが教室に響く。
ゆか「いやぁぁ”ぁぁ”ぁぁっ、、!!!!!」
ぼろぼろになった布切れを足で踏み潰し、3人はスマホを構えて
シャッターを切った後、大爆笑する。
瑠奈「あはははっ!!!本気すぎない??」
亜由「あっはは!!!まじ!!おなかいたいwww」
麗華「帰ろ。時間が無駄だよ。」
笑いながら去っていく3人をただ見つめながら、僕はゆっくりと布切れを拾い上げる。
ゆか「、、、ごめんなさい、、」
ただ、その言葉だけが教室に残った。




