もちろん抱きしめろ
俺は、
ゆっくりと白崎を抱きしめた。
ゆか「、、ぇ、」
浅木「、、ゆか、
、、暴力以外の愛を、
俺が全部教えてやる。
、、、、、、もう自分を傷つけないでくれ、」
白崎を強く抱きしめる。
もうどこにも行けないように。
浅木「、、もう俺から、離れないで、」
ゆか「ぁ、、」
白崎の目に涙が滲む。
ゆか「グスッ、、、ぅ、、」
ゆかside
僕は、生まれてからすぐに親に捨てられた。
そこから僕は孤児院に引き取られた。
僕がすごしていた孤児院では、「教育」が中心的だった。
孤児院側で都合の悪いことをすれば暴力を振るわれる。
暴力を振るわれるたびに毎回言われてきた言葉。
「これは愛だよ」
僕達は愛を完全に履き違えてしまった。
そのまま僕は孤児院つながりの幼稚園に送りつけられた。
そこで出会ったのが浅木だった。
そうだった、浅木と僕、幼馴染だったんだ。
どうして今まで忘れてたんだろう。
幼稚園の頃からいつも一緒に遊んでいた。
浅木が僕に好意を持ってくれていたのは薄々気づいていた。
けれど、本能的には抗えない。
僕は、たまに浅木のお迎えに来る浅木のお兄さん、優紀さんが好きだった。
中学生になっても、僕の気持ちは変わらないままだった。
そして中学の春の入学式。
僕が遅刻するかもしれないという理由で浅木の腕を引っ張って急かしている時
突然浅木が僕に話しかける。
浅木「、、ねぇ、」
ゆか「?なぁに??」
僕は振り返って首を傾げる。
浅木は少し戸惑ってからゆっくりと口を開く。
浅木「、、お前、まだ俺の兄のこと好きなの?」
僕は自信満々に頷く。
ゆか「もちろん。」
浅木「、、あいつのどこがいいんだ、?」
ゆか「、、うーん、優しいところ。
もうすぐ告白しようと思ってるんだ!」
僕の返答が気に入らなかったのか、浅木は少し俯いて話し続ける。
浅木「、、あいつは、やめておけ、」
浅木が放った一言に、僕は大きく目を見開く。
浅木「、、あいつ、あの、、そ、の、、」
僕は悲しかった。
浅木ならわかってくれると思ってたこの恋。
浅木はとっくに僕のことを諦めていると思ってた。
好きな人のことを「やめておけ」なんて誰にも言われたことなかったから。
ゆか「、、朋紀にとってはやばいお兄ちゃんかもしれないけど、
僕にとっては魅力的で、優しいお兄さんなの!!!
そんな事言わないでよ、、」
僕は目に涙を浮かべながら背を向けて走り去る。
ゆか「ッ、もう知らない、朋紀がそんなに友達の好きな人否定する人だと思ってなかった」
しばらくしてから、中学校生活が始まった。
僕は浅木に放った一言にひどく後悔していた。
無駄にプライドが高かった僕は浅木に謝ることができないままだった。
僕は優紀さんに告白をした。
スカートがシワだらけになりそうなほど、強く握って。
震える声で今までの自分の気持ちを伝えた。
すると、帰ってきた言葉は案外軽いものだった。
優紀「うん、いいよ。」
ゆか「ぇ、?」
僕が戸惑っていると、優紀さんはニコッと笑って答える。
優紀「僕も白崎さんのこと前から気になってたんだ。よろしくね。」
僕はゆっくりと頷いて微笑む。
ゆか「っ、はい、!!」
そうして、僕の幸せな生活が始まった。
一緒に帰ったり、一緒に遊びに行ったり、
毎日が楽しかった。
、、ある日の放課後、優紀さんと帰る約束をしていたけれど
係の仕事で遅くなってしまった。
僕は駆け足で正門に向かうと、まだ優紀さんは待っていてくれていた。
ゆか「優紀さんっ、!!」
僕が声を掛けると、優紀さんは振り返って僕に笑いかける。
ゆか「ごめんなさいっ、係の仕事d」
パァンッ
突然頬か熱くなる。
何が起きているのかわからない状態のまま優紀さんを見つめると、
優紀さんの視線は冷たく鋭かった。
優紀「ねぇ、一般人が俺のこと10分以上待たせるってどういうつもり?」
ゆか「ぇ、」
パァンッ
再び同じ痛みが頬に走る。
優紀「しかも係の人って男でしょ?俺という存在がいるのにどうして
平気で他の男の人と話せるのかな?わからないよ。君の神経が。」
こんなに怒られることなんて一度もなかった。
僕は怖くて言われたとおりに従うしかなかった。
ゆか「ッ、ごめんなさいっ、次からは、喋りません、」
優紀「、、うん、」
突然優紀さんが僕に手を伸ばす。
僕の体はこわばって目をぎゅっと瞑る。
すると頭に温かい感触が伝わってくる。
優紀「わかってくれたらいいんだよ。
白崎さん、これは「愛」なんだ。
僕が、僕が唯一伝えられるもの。」
孤児院で与えられた愛。
僕は納得してしまった。
孤児院で与えられ続けた愛のせいで
僕は暴力という名の愛を受け入れてしまった。
その日から僕の生活は180°変わった。
優紀さんが気に入らないことは、すべて「愛」で教えられた。
たくさん愛を与えてくれたあと、必ず僕を抱きしめてくれる。
僕はその生活に不満はなかった。
強いて言うなら、愛の跡が目立ちやすいこと、
青紫、赤黒い跡、愛にぴったりな赤い液体。
色んな人に心配された。
「ゆか、その傷どうしたの?」
「痛そう、何があったの、??」
優紀さんに事前に教えてもらった。
優紀さんがくれる愛は、一般人には伝えられないもの。
優紀さんしかくれない愛のカタチで、誰に言っても納得してもらえないって。
だからこの愛の跡たちは2人だけの秘密にするって。
誓った。
そこからは覚えていない。
中学3年生になったころ、僕は知らない天井を見て目を覚ました。
同い年らしき男の子は、僕の肩を強く揺さぶって悲しそうな顔をしていた。
なぜだか知らないけど、僕の体は、
青痣、生傷、古傷。
古くなったガーゼを剥がすと、真っ赤な鮮血が首まで流れ落ちていた。
ゆか「っ思い出した、」
突然、白崎がそう呟く。
ゆか「、、全部、全部思い出した、
浅木、浅木っ、、!!!」
白崎は抱きしめる力を強くして泣き出す。
浅木「っ、白崎、」
俺は「思い出した」という言葉だけで目に涙が溜まる。
ゆか「っ、好き、
僕も好きだよっ、、!!」
白崎は涙ぐんだ声で俺に伝える。
ゆか「、でも、
、、まだ、怖い。
「暴力」以外の、愛を知るのが、」
白崎は少し落ち着いた声で下を向く。
浅木「、俺は、いつでも待ってる。
許婚なんて契約じゃない。
約束だ。」
俺がそう言うと、再び白崎の目に涙が溜まる。
ゆか「っ、ぅああぁぁ、、、」




