第二十一話 森の中を進む
父上から森へ行く許可が下りたのは数日後のことだった。
ただし、魔物を探して森の奥へ入るわけではない。俺が行くのは冒険者たちが森の帰りに利用する道とその途中にある広場だった。危険がないと確認できた場所までしか行かず、何かあればすぐに帰る。それが父上との約束だった。
森へ行けると決まってから俺は屋敷にあった魔物の図鑑を少し読んでみた。
飛竜以外にもいろいろな魔物が載っていた。見た目だけなら前世の動物とあまり変わらないものもいれば、どう見ても普通の生き物とは思えないものもいる。絵を眺めているだけでも面白かったけれど実際に見たらどんな姿をしているのだろう。
戦っているところを見られるかどうかは分からない。それでも冒険者の姿を近くで見られるのは楽しみだったし、今回は別に確かめたいこともある。
街で馬を止めた、あの盾を持った男の力だ。
生力というものを使えば普通の人間では考えられないほど力が出せるらしい。その辺りを実際の冒険者に聞いてみたかった。
出発する朝、屋敷の前には馬車が用意されていた。
同行するのは護衛二人とベルタだった。
ベルタは赤茶色の髪を後ろで束ね、厚手の上着に外套を重ねている。普段は台所で前掛けをつけていることが多いのでこうした姿はまだ少し見慣れなかった。
馬車へ乗り込むとベルタも向かいの席へ座った。護衛の一人が扉を閉め、やがて馬車が動き始める。
外を眺めていると向かいに座るベルタの手が目に入った。革手袋をつけたまま膝の上へ置かれている。
あの手から炎が出るのか。
飛竜と戦っていた時のことを思い出すと今でも少し不思議だった。
「ベルタ、前から聞こうと思ってたんだけど」
「はい。何でしょう?」
「飛竜の時に使った魔法ってどこで覚えたの?」
「魔法都市でございます。若い頃にそちらで学びました」
「魔法都市?」
「はい。火の適性が見つかりまして旦那様のお許しをいただいて学びに行ったのです」
そういえば、この世界には魔法を専門に学ぶ場所があると聞いたことがある。けれど、ベルタがそこへ行っていたとは思わなかった。
「台所で働く人も行けるんですか?」
「もちろんです。貴族家に仕えている者でも適性があれば学ぶことがございますよ。護衛や侍女を務めている方もいらっしゃいました」
「へえ……。じゃあ、ベルタは魔法を覚えてから台所へ戻ったんですか?」
「はい。もともと料理が好きでしたので」
ベルタは当たり前のように答えた。
魔法を学んだのなら魔法使いとして働くものだと思っていたけれど、どうもそういうわけではないらしい。
考えてみれば料理人が火魔法を使えれば便利だ。屋敷では薪に火を移す時にも役立っているし、俺が頼んだ飲み水の煮沸もベルタがいたから簡単にできた。
「でも、あんなに大きな炎を使えるなんて知らなかった」
「普段は使う必要がございませんから」
「それはそうだけど……。魔法都市で学べばみんなあんなふうになれるの?」
「人によりますね。適性も違いますし同じ属性でも得意なことはそれぞれです」
そう言われて、自分の適性水晶を思い出した。
最初は四つの色が光っていた。それが最後には金色になった。フェルナー先生はずいぶん喜んでいたけれど俺としてはあまり嬉しくなかった。
土属性だったからだ。
しかも、古い記録に似た例がある程度だというのだから余計に困る。そんなに珍しい適性なら水であってほしかった。
「アルノ様は土属性への適性が大変お強いと伺っております」
「……そうなんだよね」
「フェルナー先生も驚いていらしたそうですね」
「俺は水の方がよかったんだけど」
水も光っていた。土の次に強かったはずだ。
それなのに先生はまず土から学ぶように言った。実際に出してみれば思っていた以上の量の土ができたし植えた植物まで元気になった。
でも、土は土だった。自分の魔力から出したものだと分かっていても触りたいとは思えなかった。
「……水から習っちゃ駄目なのかな」
「最も適性の強い属性から始めた方が魔力を扱う感覚を掴みやすいのは確かでございます。ただ、アルノ様はまだお小さいですから」
「やっぱり土からなんですね」
ベルタが少し笑った。
結局、誰に聞いても同じことを言われるらしい。
魔法を使いたい気持ちは今でもある。ベルタの炎を見ればなおさらだった。
土だって何か便利な使い道があるのかもしれない。
でも、地面へ手をついて魔力を流す練習を思い出すとどうにも気が進まなかった。
「魔法都市では貴族家に仕える魔法使いたちが腕を競う催しもございますよ」
「……魔法で戦うの?」
「戦うものもございますが技量を競うのでございます」
「ベルタも出たことあるの?」
「ございますよ。もうずいぶん前のことですけれど」
思わずベルタを見た。
いつも台所で鍋を見ている人が魔法使いの大会に出ていたらしい。本人は何でもないことのように話しているけれど、俺にはそちらの方が不思議だった。
その時の話をもう少し聞こうとしたところで窓の外の景色が変わっていることに気づいた。畑が少なくなり、道の向こうには木々が続いている。
屋敷から見ていた森とは違い、近くで見ると一本一本の木がずいぶん大きかった。その奥は暗く、どこまで続いているのか分からない。
あの中に魔物がいる。
そして冒険者たちは普段からあの森へ入っているのだろう。そう思うと自然と窓の外へ目が向いた。
馬車は森の手前で止まった。
護衛が先に降り、周囲を確かめてから俺を呼ぶ。御者は馬車と一緒にここで待つらしい。
馬車を降りると木々の間から湿った土と草の匂いが流れてきた。
今日は顔に布を巻いていない。その代わり、長袖の服と革手袋をつけ、靴もいつもより丈の高いものにしてもらった。
これなら多少の泥は防げるはずだ。けれど、森へ続く道を見たところで少し考えが変わった。
道には落ち葉が積もっていた。乾いているものもあるが、木陰には黒く湿った葉が重なっている。踏まれた部分は土と混ざり、その端を小さな虫が動いている。
「アルノ様……どうかなさいましたか?」
「……ここを歩くの?」
「はい。この先までは道がございますので」
「これでも道なんだ」
護衛の一人が先へ進み、もう一人は俺の後ろにつく。ベルタもすぐそばを歩いていた。
歩き始めてから、すぐ横の草が揺れた。葉の間から細長い虫が出てきて落ち葉の下へ潜っていく。
思わず足を引いたところで背中の近くに枝が触れた。服へ何かついていないか確かめたが見える範囲には何もなかった。
よかった。
そう思って顔を上げると今度は少し先に蜘蛛の巣が見えた。木と木の間に細い糸が張られ、中央には蜘蛛がいる。
「……ベルタ」
「はい」
「ちょっと帰りたくなってきた」
ベルタが俺を見た。
「まだ森へ入ったばかりでございますよ」
「それは分かってる」
「何かございましたか?」
「……いろいろと」
足元を見た。湿った落ち葉も、虫も、枝も、全部説明するのは面倒だった。ベルタは俺の視線を追い、少し困ったような顔をした。
「この辺りはまだ歩きやすい方なのですが」
「……これで?」
「はい。奥へ入りますと道のない場所もございますので」
それは聞きたくなかった。
冒険者はこんなところを普通に歩いているのか。
俺には少し難しそうだ。
しばらく進むと道が広くなった。
木々の間から空が見え、片側には荷物を置けそうな平らな場所がある。護衛が周囲を確かめ、ここまでだと言った。
俺が思っていたよりずっと森の入口に近い。道の奥を見ると木々がさらに密集していた。あそこから先へ進むと言われても素直に頷けたかどうか分からない。
広場ではすでに何人かの冒険者が荷物を整えていた。
大きな皮を丸めている者もいれば、角や骨らしいものを束ねている者もいる。背丈ほどの荷枠に袋を積み重ね、その両側へさらに荷物を括りつけている男もいた。
その男が荷を背負ったところで思わず目を見張った。立ち上がる時にほとんどよろめかなかった。そのまま街へ続く道を歩いていく。
馬がいなくてもあれほどの量を運べるらしい。
ほかの冒険者たちも重そうな荷物を持っている。
その時、広場の向こうから何かを打ちつけるような音が聞こえた。続いて男の声が響く。
「そっちへ回せ!」
護衛の一人がすぐに俺の前へ出た。もう一人も森の奥へ目を向け、ベルタが俺のすぐ横へ近づいてくる。
「アルノ様はこちらから動かないでください」
言われた通りに立ち止まったが目は声のした方へ向いていた。
木々の向こうは少し低くなっているらしい。その間から茶色い大きな背中が見えた。最初は倒れた木かと思ったが違った。
身体を覆っているのは硬そうな茶褐色の毛だった。大きな頭が木々の間から現れる。長く突き出た鼻先。その両側から湾曲した太い牙が伸びていた。
「……あれは大猪だ!」
思わず声が出た。
図鑑で見たことがある。猪によく似た魔物で大きな牙と頑丈な身体を持っていると書かれていた。
目の前にいる大猪は肩の高さだけでも大人の男を超えている。あれだけ太い脚で踏みつけられたら人間など簡単に潰されてしまいそうだった。
その足元で一人が大きな盾を構えていた。
大猪が頭を下げると次の瞬間、巨体が動く。激しい音とともに盾が押され、男の足が地面を滑った。それでも男は倒れず、大猪の進む向きを少しずつ横へ逸らしていく。
その隙に横から槍が伸びた。
大猪がそちらへ顔を向けると今度は反対側から矢が飛んでくる。矢が当たったのは胴ではなく頭の近くだった。
大猪は苛立ったように頭を振り再び盾の男へ向き直った。大猪の方がずっと大きいのに冒険者たちはその巨体を自分たちの動きに合わせて誘導しているようだった。
やがて大猪が大きく身体を振ったところで別の男が動いた。長い柄の先に鉄の塊がついている。ハンマーだ。
振り下ろされた一撃が大猪の頭を打ち、大きな身体がぐらりと傾いた。そのまま地面へ倒れ込むと木々の間から土埃が上がった。
そのあとも冒険者たちは慎重に動いていたが枝に隠れてよく見えなかった。
「……すごい」
もう少し近づけばもっとよく見えるだろうか。
そう考えたところでベルタと目が合った。
「これ以上は近づけませんよ」
「……はい」
言われる前から分かっていたけれど少し残念だった。
先ほどまで足元の落ち葉や虫ばかり気にしていたのに気づけば森の奥ばかり見ていた。もう戦いの音は聞こえてこない。それでも、あの大きな魔物が動いた時の様子や冒険者たちがその周囲を走っていた姿が頭から離れなかった。
飛竜の時にも見たはずなのにもう一度見られただけで嬉しかった。
しばらくして森の奥から四人の冒険者が戻ってきた。先頭の男が背負っている大きな盾に目が止まった。
「あっ、あの人たちは!」
その後ろには槍を持った女と弓の男、それにハンマーを担いだ男が続いている。
飛竜を倒した四人だ。
しかも、盾の男はこの前、街で俺を助けてくれた人だった。
今日は四人とも大きな荷物を持っている。盾の男は厚い布に包まれたものをいくつも背負って槍の女も丸めた皮らしいものを肩へ担いでいた。
男がこちらに気づいた。最初は少し不思議そうな顔をしていたがベルタを見ると笑って手を上げた。
「おお、あの時の炎使いじゃないか。こんなところでどうした?」
「今日はお供でございます。皆様もお戻りのところですか?」
「ああ。ちょうど仕事が終わったところだ」
男がベルタと話している間も俺は四人の荷物を見ていた。今は武器に加えて大量の素材まで背負っている。あれだけ持って歩けるのならやっぱり相当な力があるのだろう。そう思っていると男がこちらを向いた。
「……こんなところに子ども?」
「この前、街で助けてもらいました」
男は俺の顔を見た。少し考えたあと、何か思い出したように笑った。
「ああ! あの坊主か。領主様のところの。今日は布を巻いていないんだな」
「あれは街でだけです」
「……そうか」
男は背負っていた荷物を下ろし、肩の紐を緩めた。それから俺に向き直る。
「それにしても領主様の御子息が森まで来るとはな。今日はどうしたんだ?」
「冒険者を見に来ました。父上にも許可をもらってます」
「そうか。領主様がお許しになったなら、ここまでは大丈夫なんだろうな」
男はベルタと護衛たちへ一度目を向けた。さっきまでと同じように笑っていたけれど俺が領主の息子だと知って、少し畏まられるのは変な気分だった。
「それと――生力のことも聞きたくて」
「生力か。そういや、あの時に少し話したな」
「魔法の適性とは違うんですよね?」
「ああ。魔法は適性水晶で調べるんだろうが生力はそういうものじゃない。身体の中にある力を自分で感じ取って扱うんだ」
「……感じ取る?」
男は少し考え、隣にいた槍の女へ目を向けた。女は何を考えているのか分かったらしく腰につけた道具入れから小刀を取り出した。鞘に収まったままの小さなものだった。
「これなら分かりやすいかもしれませんね」
女がそう言って見せてくれたのは淡い黄色をした柄だった。金属ではなく、何か硬いものを削って作ったように見える。表面は滑らかで使い込まれているのか指の当たる辺りだけ少し色が違っていた。
「ホーンラビットの角で作った小刀です。普段は薬草を採るのに使っています」
「ホーンラビット?」
「小さな魔物ですよ。角は硬いので、こうした道具にも使えるんです」
魔物の角で作った小刀。
思わず女の手元へ目が向いた。前世ならゲームや小説の中だけのものだ。それが今、目の前にある。しかも普段から薬草採取に使っているというのだから少し変な気分だった。
「これを握ると生力が分かるんですか?」
「ええ。ホーンラビットの角にも生力が宿っていますから。握ればその力が伝わってきて自分の身体を巡る生力にも気づきやすくなるんですよ」
女が小刀を少し下げ、柄をこちらへ向けようとしたところでベルタが声をかけた。
「少々お待ちください」
これまでにない強い口調だった。女が手を止める。
「アルノ様。生力を扱うことについて旦那様のお許しはいただいておりません」
言われて初めてそこまで考えていなかったことに気づいた。
父上が許してくれたのは冒険者の見学だけだった。生力について話を聞くことはできても実際に試していいとは言われていない。けれど、今の話を聞いたらどうしても気になる。身体の中にある力を感じ取る。魔力とは違うらしい。
「……これを握ると危ないの?」
ベルタは小刀を見た。
「ホーンラビットの角であれば生力の巡りを感じ取るだけで身体を傷める心配はございません。ただし、それと旦那様のお許しをいただくことは別でございます」
「……強い魔物の素材だと危ないってこと?」
「はい。扱いに慣れていない者が強い素材の武具を使えば、身体に負担がかかる場合もございます」
「じゃあ、これは大丈夫なんだね?」
「……アルノ様」
「危なくないかどうかだけ教えて」
ベルタは少し困った顔をした。それから、もう一度小刀へ目を向ける。
「その小刀なら危険はございません。ですが、触って良いことにはなりません」
ベルタの言葉に盾の男も女の手元へ目を向けた。
「……そうか。領主様のお許しがないなら俺たちが勝手に勧める話じゃなかったな。悪い」
男が女へ目配せすると小刀を持っていた手が引かれた。
ベルタが止める理由も、父上に許可を取らなければならないことも分かっている。
危険だと言われたなら諦めるつもりだった。けれど、ベルタは危険ではないと言った。
女は小刀を腰の道具入れへ戻そうとしていた。
「……ごめん、ベルタ」
「アルノ様?」
俺は革手袋を外した。ベルタがこちらを向く。その横を抜けるように一歩近づき、鞘から出ている柄へ手を伸ばした。女が手を止めた。その瞬間、俺の指先が小刀の柄に触れる。
最初は何も起こらなかった。
角で作られた柄は思っていたより滑らかで少しひんやりしている。硬いものを握っているという感覚しかなかった。
――何だ。
これでいいのだろうか。
そう思いながら指に少し力を込めて握ると、掌の奥で何かが動いた気がした。
最初は小刀の感触だと思った。けれど、違う。握っている指ではなく、その内側にあるものだった。掌から手首へ、手首から腕へ。何かが細くつながっている。温かいというほどではない。痺れているわけでもなかった。
ただ、さっきまで何も感じなかったところに何かが通っている。意識を向けると今度は腕だけではなく肩の辺りにも同じような感覚があった。魔力を流した時とは違う。あの時は、自分の身体の奥から魔力を探して掌へ集めた。今は何も動かそうとしていない。それなのに何かが巡っている。
俺は小刀を握った手を見た。見た目には何も変わっていない。指も腕もいつもと同じだ。
「……これが生力?」
思わず口にすると盾の男が俺の手を見た。
「……いいのか? 領主様の許しはないんだろう?」
「はい。勝手に触ったのは俺です。父上にはちゃんと話します」
男は少し目を丸くした。それから俺とベルタを見比べ、何がおかしいのか小さく笑った。
「……そうか。いや、そういう話でもないんだがな」
そう言われても、もう触ってしまったのだから仕方がない。それよりもまだ腕の中に残っている感覚の方が気になった。
「……何か、腕の中を通ってるみたい」
言いながらもう一度意識を向けた。身体の奥の方で何かが巡っている。
今までずっと自分の身体の中にあったのだろうか。
そう思うと不思議だった。魔力の時だって教えてもらうまでは気づかなかった。今度も同じだ。自分の身体なのに知らないことがまだあるらしい。
もう少し確かめようとしたところでベルタが俺の手に触れた。
「アルノ様。そこまででございます」
顔を上げると、ベルタがすぐそばまで来ていた。
仕方なく柄から手を離す。女が小刀を引き、腰の道具入れへ戻した。
指先に残っていた硬い感触がなくなる。同時に、さっきまで分かっていた身体の中にある流れも急に曖昧になった。
俺は掌を開いた。指を曲げ、もう一度開いてみる。何となくまだ腕の奥にあるような気がする。でも小刀を握っていた時ほどはっきりしない。
そう思って女の方を見かけたところでベルタと目が合った。
「……アルノ様」
さっきよりもずっと困った顔をしていた。いつものベルタなら何かを頼めば少し笑って答えてくれる。でも、今は笑っていなかった。
「旦那様には私からもご報告いたします」
「……はい」
それは仕方がない。
父上に許可をもらっていなかったのは事実だ。盾の男ももう一度、俺を見てからベルタへ目を向けた。
「悪かったな。俺たちも先に確かめるべきだった」
「いえ。お止めいただいたことは分かっております」
ベルタはそう答えたあと俺へ視線を戻した。
俺はもう一度だけ自分の手を見た。
さっきまであの小刀を握っていた。
ただそれだけで今まで知らなかったものを感じた。
掌を握り直してみる。
今度は何も起こらなかった。
それが少し残念でもう一度指を開いた。
ベルタはまだ俺を見ていた。
どうやら帰ってからは父上に叱られそうだった。




