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第7話 旅人、魔法使いの少女とパーティを組む

「まあ……気を失っているわ」


リリアは倒れているユウマを見下ろした。


「どうしましょう」


しばらく考える。


このまま置いていくわけにもいかない。


でも、自分一人で村まで運ぶのも難しい。


「……まずは起こしましょう」


リリアは少し考えた。


そして、魔法を使う。


「目覚めの鐘よ鳴り響け――モーニング・ベル」


チリン――。


小さな鐘の音のような魔法が森に響いた。


「……うっ」


ユウマがゆっくりと目を開ける。


「ここは……?」


「気がついた?」


目の前に、先ほどの少女がいた。


「……君は?」


「私?」


リリアは胸を張った。


そして、少し考える。


このままでは困る。


自分は旅をするために、この村へ来た。


でも冒険者登録はできなかった。


一人で旅を続ければ、野宿になる可能性もある。


それに――


「私は、もっといろいろな場所を見てみたいの」


古代遺跡。


魔法。


歴史。


本で読んだことなら、いくらでも知っている。


でも、自分の目で見たことはない。


「このまま一人で旅をしていたら、勉強もできないし……」


リリアはユウマを見る。


すると、ある考えが浮かんだ。


「……そうだ」


これは、もしかしたらチャンスかもしれない。


リリアは少し背筋を伸ばした。


そして、できるだけ偉そうな顔を作る。


「そうよ」


「……?」


「私があなたを助けたのよ」


「……ああ」


「感謝しなさい」


かなり背伸びをしている。


ユウマはしばらくリリアの顔を見る。


そして――


「……すまん」


「え?」


「助けてくれて、ありがとう」


ユウマがクスッと笑った。


「……」


リリアは固まった。


そして、少し頬を膨らませる。


「あー……笑った」


「いや、悪い」


ユウマは慌てて謝る。


「すまん」


「……まあ、いいわ」


リリアは少しだけ顔をそむけた。


そして、もう一度ユウマを見る。


「それで?」


「ん?」


「お礼は?」


「お礼?」


ユウマは考え込む。


「助けてもらったし、何かお礼をしたいとは思ってるけど……」


「だったら」


リリアはユウマの前に立った。


「私をパーティに入れなさい」


「……え?」


ユウマは驚いた。


「パーティ?」


「そうよ」


「いや……」


ユウマはリリアを見る。


さっきの魔法。


あの巨大な炎の竜巻。


どう考えても、普通の魔法使いではない。


「俺は旅人だぞ」


「知ってるわ」


「しかも……たぶん最弱職だ」


「そうなの?」


「ギルドでも笑われたくらいだからな」


ユウマは苦笑する。


「君みたいに、あんな強い魔法が使えるなら、俺なんかと組むより、もっと強いパーティに入ったほうがいいと思う」


そこまで言ったときだった。


「……嫌」


「え?」


リリアの目に涙が浮かんでいた。


「私も……来たばかりなの」


「……」


「冒険者登録もできなかったし……」


ぽろっ。


涙が一粒、頬を伝う。


「一緒に旅してくれる人がいないの」


「……」


ユウマは困った。


少女を泣かせてしまった。


しかも、自分を助けてくれた相手だ。


「……参ったな」


ユウマは頭をかいた。


「俺は本当に弱いぞ?」


「大丈夫」


「本当に?」


「大丈夫よ」


即答だった。


ユウマは少し考える。


そして――


「まあ……俺もまだこの世界に来たばかりだしな」


「……!」


「もし途中で、別のパーティに入りたいとか、気に入った人ができたなら抜けてもいい」


リリアの表情が少し明るくなる。


「とりあえず……お礼ってことで」


ユウマは手を差し出した。


「パーティ、組むか?」


リリアの顔が一気に笑顔になった。


「うん!」


小さな手が、ユウマの手を握る。


「よろしくね、ユウマ」


「こちらこそ」


こうして――


無能と呼ばれた旅人、ユウマ。


そして、謎の少女リリア。


二人はパーティを組むことになった。


「じゃあ、村へ戻ろうか」


「ええ」


二人は並んで歩き始めた。


少し離れた木の陰から、その様子を見ている者がいた。


セシリアだった。


「……パーティを組みましたか」


セシリアは小さくため息をつく。


「魔王様に報告しておきましょう」


二人はまだ知らない。


この出会いが、世界の運命を大きく変えていくことを。


――そして。


イルティ村へ戻る二人を待っていたのは、いつもの穏やかな村ではなかった。


「……なんだ?」


村の入口に、人が集まっている。


「苦しい……」


「熱が下がらない……」


「誰か、薬を……」


咳き込む人。


顔色の悪い人。


不安そうに見つめる村人たち。


ユウマは足を止めた。


「何か……あったのか?」


リリアも村の様子を見つめる。


「……これは」


イルティ村にも――


疫病が広がり始めていた。


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