夏休み
浅木side
ゆか「えっと、、、言いたくなかったらいいんだけど、、、幼稚園の頃に比べて全然笑わなくなったし、、喋ったりしないから、、」
浅木「、、お前は、、昔の俺のほうが好きか?」
ゆか「えっ、、、っと、、」
またやってしまった。
俺はネガティブ思考がすぎるんだ。
白崎を困らせてしまった。
やっぱり俺はだめな人間だ。
勉強も運動も、何もかもを完璧にしたら少しはこの気持ちが楽になるかなって思ったのに。
それが、重荷になってしまった。
母「朋紀はすごいわね。でも、90点か、、お母さんは毎回100点だったわよ?だから、、"もうちょっと"がんばって。」
親戚「朋紀くんはすごいねぇ。うちの息子と取り替えてほしいくらい。」
ちがう。俺は誰かに期待されるためにやっているわけじゃない。
親のステータスとしてやっているわけじゃないはずなのに。
みんなの期待に答えるたびに、自分が何なのか分からなくなってきた。何もかもが、嘘に見えてきた。
誰も信じられなくなった。
浅木「、、、昔の俺のほうが好きだったから、そういったんだろ。」
ゆか「ちがうよっ、、」
わかってる。白崎はただ俺との沈黙が長く感じて怖かっただけだって。わかってるのに。
浅木「じゃあなんでそんなこと言ったんだよ。前の俺に戻って欲しいからだろ、?
無理だよそんなの、、俺の何を知ってるんだよ。」
だめだ。止まらない。
ゆか「浅木っ、落ち着いて、」
白崎はパニックになっている俺の肩に手をおいた。
服越しに白崎の手の冷たさが感じられる。
浅木「、、、、今の俺なんか、いらないよな、ごめんな。 質問攻めしてお前を責めるとか、どうかしてるよな。」
さっきまでうつむいていた俺は、平然を装ってお前に微笑んだ。
何も知らないくせにって言ったけど、ただ俺がお前に言ってないだけだよな。ごめんな。
ゆか「、、、そんなことっ、、思ってないよ、」
浅木「、、、口だけではなんとでも言えるよな。」
は??
ゆか「は、、??」
白崎はショックで目を見開く。
浅木「本当は俺のことうざいとか、めんどくさいとか思ってるんだろ、?」
俺はいたたまれなくなって再び下を向く。こんなの、、、
ゆか「、、そんなことないってば、、!!」
浅木「、、、めんどくさいだろ。俺。」
だめだ。止めたいのに。
嫌われたくないのに、、、
白崎はしばらく黙ってから顔を上げた。
ゆか「ッ、、無理やり信じてとは言わないッッ!!だけど、、!!
浅木が自分のこと追い詰めて僕に言うのはなんか違うと思うっ!!!!」
白崎の大きな声が教室中に響いた。
浅木「、、、は?」
クラスメイトからの視線が痛い。
??「え、、まじ?」
??「あの人を困らせたんじゃね、、?最低」
??「女の子可哀想」
??「気持ち悪」
っ、、だめだ。幻聴だ。幻聴。
俺は慌てて耳をふさぐ。
??「死ね」
??「可哀想」
ちがう、、
ちがうっ、、、!!
ゆか「ヒュッ、、、、、ゲホッゴホ、、」
ハッとしたときには、白崎がうずくまって咳をしていた。
俺はしゃがみこんで白崎の背中をさすった。
白崎の咳が段々少なくなっていく。
落ち着いたかと思って覗き込むと、白崎のまぶたがゆっくりと落ちていく。
浅木「あっ、、!!」
俺は慌てて白崎を支え、救急車を呼んだ。
、、、ごめん、、、
ゆかside
浅木と喧嘩(?)してから数ヶ月が経った。
僕の体の脆さは悪化して、人との会話にストップがかかった。
退院はいつできるかわからないと言われた。
あれ以来、浅木はお見舞いに来なくなった。
、、うん、でしょうね(
僕は一人寂しく本を読んでいた。
春なんかとっくに終わり、梅雨が開けそうな時期で、夏休みが近くなっていた。
ゆか「、、、、」
窓の外を見ると、グループの女子中学生が下校していた。
いいなぁ、、
僕は体が脆いせいで、笑うことも、はしゃぐこともできない。
どうして僕だけ、、こんな目に合うんだろう。
涙が頬を伝う。
あれ、、??
どうして僕、泣いてるの、、??
ピコンッ
泣いている間、突然スマホの通知がきた。
ゆか「、、??」
誰だろうと思ってスマホを手に取ると、浅木から連絡が来ていた。
僕は恐る恐るメッセージを開いた。
浅木『夏休み、暇?』
その一言が送られてきていた。
僕はびっくりしてむせてしまった。
、、どうしよう。
仲直り、、したいし、
僕は少し考えてから返信をした。
ゆか『空いてるよ』
ゆか「はぁ、、、」
たった5文字打って送信するだけで数分はかかった。
なんて返信されるかわからなくて、ソワソワしていた。
ピコンッ
すると、再び通知が来た。
すぐさま確認すると、
浅木『じゃあ、7月✕日、駅前集合な』
え、、??
僕は連絡の意図がわからず、フリーズしてしまった。
、、、お出かけかな。
僕はどこに連れて行かれるのか緊張しながらスマホの電源を切った。
、、なんだか最近、手が冷たいし、食欲がない。
、、、??指先が、、なんか変な感じする、、、
寝たら治るかなと思って僕は慌てて布団を頭から被った。
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4輪「告白」
当日
ちょうど退院ができたので僕は待ち合わせ時間より一時間も早くに来てしまっていた。
浅木くんに先にお話はできないと報告しての約束だった。
心の奥底から楽しみという感情が溢れてきた。
けれど、、、あのときのこと、怒ってるかな。
少し不安を抱えながら、浅木を待った。
数十分後、後ろから誰かに肩をたたかれる。
ゆか「?!」
驚いて僕は後退りをしてしまった。
浅木「、、わるい。」
なんだ。浅木か。
ゆか『久しぶり。』
僕はメッセージを浅木に送る。
浅木「!、、、おう。電車、乗ろうか。」
浅木は僕の腕を引っ張った。
その手はとても暖かくて、なんだか嬉しくなった。
電車に乗っているとき、僕がスマホをいじっていると、メッセージが来た。
浅木『この間はごめん。どうしても早く言いたくて文面になったけど、、後で直接言わせて。』
、、え
思わず僕は目を見開いてしまった。
まさか浅木から謝ってくれるなんて、、なにも悪いことしてないのに、、
僕は申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも、返信した。
ゆか『浅木は何もしてないじゃん。こっちこそごめんね。踏み込んだりして。』
僕は返信してから浅木の顔色を伺う。
浅木も驚いて目を見開いていた。
その光景が少し面白くてくすっと笑ってしまう。
笑い声が聞こえたのか、浅木はこちらを振り向いて目が合う。
いつもだったらすぐに目を、逸らしてくるのに、今日はなぜか逸らされなかった。
数十秒見つめ合っていたら、浅木もくすっと笑った。
笑った顔、、めちゃくちゃ久しぶりに見た。
仲直り、、できたのかな。
電車を降りて、伸びをする。
浅木『長かったな。』
ゆか『うん。ちなみに今日、どこ行くの?』
浅木はまた無言になって僕の腕をつかんで引っ張った。
しばらく歩くと、潮の匂いがかすかにする。
ここって、、海?
ゆか『ここって、海??』
浅木は頷く。
ゆか『初めて来た、、、どうして連れてきてくれたの??』
僕は首を傾げてメッセージで聞く。
浅木「、、謝りたかったから。」
浅木は申し訳無さそうに頬を掻く。
ゆか『浅木は何も悪くないよ、!ただ僕が踏み込みすぎただけで、、』
浅木「そんなことないっ、!」
浅木は僕の手を握る
ゆか「え、、」
時間が止まったような気がした。
浅木「、、ごめん」
手をぱっと離す。
ゆか『とにかく、この話はもう終わりっ、』
浅木「、、分かった。
でも、、一つだけ聞いてくれないか。」
ゆか「??」
僕は振り返って再び首を傾げる。
浅木「、、俺、
病気があるんだ。」
ゆか「、、は」




