四:帝都神域化現象(奇跡の連鎖)
「な、何事だァッ!?」
帝都中央広場で、市民たちが一斉に空を見上げた。
公爵邸から吹き上がった極光の柱は、帝都上空三千メートルでキノコ雲のように広がり、瞬く間に帝都全土を覆い尽くす巨大な光の天蓋へと変貌した。
そして、そこから降り注いできたのは――。
光の粉雪。
神代の純粋マナが凝縮された、奇跡の霊粒子だった。
パラパラパラ……。
「あ、足が……! 戦争で失った儂の右足が……生えてきた……!?」
杖をついていた元兵士の老人が、目を剥いてその場に崩れ落ちた。
欠損していた四肢が、降り注ぐ霊粒子の光を浴びて、瞬く間に細胞再生を果たしていく!
「私の肌のシミが……消えたわ!?」
「井戸の水が……全部、高級な霊薬水に変わっているぞォッ!?」
「見ろ! 街路樹の枯れ木から、黄金のリンゴが鈴なりに実をつけ始めたッ!!」
奇跡の連鎖。
帝都中に漂っていた馬車の排煙、工場の煤煙、下水の悪臭が、ソラの放った「摩擦ゼロの浄化魔力」によって一瞬にして分子レベルで分解・完全消滅。
空気が、深山幽谷の山頂よりも清らかに澄み渡り、呼吸をするだけで全身の細胞が若返っていく。
さらに!
病棟に収容されていた不治の病の患者たちが一斉にベッドから跳ね起き、
牢獄に囚われていた凶悪犯たちが「俺はなんて愚かだったんだ……」と涙を流して自ら改心し、
帝都中の野良猫たちが一斉に仰向けになって喉をゴロゴロと鳴らし始めた!
帝都ルミナリア全域が、わずか数秒で、「現世に顕現した不老不死の桃源郷」へと強制昇格させられたのだ!
皇宮のバルコニーでは、皇帝カルルが自らの王冠を取り落とし、震える手で自らの顔を撫で回していた。
シワが消え、白髪が黒髪へと戻り、二十歳も若返った自らの肉体に戦慄している。
「……ソラ様が……」
皇帝カルルは涙を流し、公爵邸の方角へ向けて膝をついた。
「ソラ様が……ただ一度、ベッドの上で寝返りを打たれただけで……千年の都が、神々の住まう神域へと浄化されたというのか……!!」




