第十二話 「集う光、ルミナスガーディアンズ」
これは、“魔法少女”の物語。
世界は一度、大きな戦いを越えた。
人々は平穏を取り戻し、日常は何事もなかったかのように続いている。
けれど、その裏側で。
世界には、誰にも知られない“ほころび”が生まれていた。
それは、いつから存在していたのかもわからない。
気づいたときには、そこにあった。
“エラー”——
そう呼ばれるそれは、形を持たず、理由もなく、人を襲う。
まるで世界そのものが、壊れ始めているかのように。
そして、その脅威に対抗できるのは——
異界から来た存在、“フェルル”と契約した少女たちだけ。
力を手にした少女たちは、“魔法少女”として戦う。
誰かを守るために。
日常を守るために。
あるいは——
自分自身のために。
まだ、誰も知らない。
これは、逃げることしかできなかった一人の少女が、
世界の“バグ”に向き合う物語。
翌朝――
星宮家のリビングには、やわらかな朝日が差し込んでいた。
「……ん……」
ましろはゆっくりと目を覚ます。
「おはよ、ましろ」
声の方を見ると、フェルルがふわりと浮かんでいた。
「おはようございます……」
昨日の出来事が、頭に浮かぶ。
願いの力。
ヤミの過去。
ひかりの想い。
そして――
「……私、ここで戦うんだ」
小さく、そう呟いた。
そのとき。
「ちょうどいいところに来たね」
リビングの扉が開き、ソラが入ってくる。
「ましろちゃん、少し話があるの」
テーブルには、すでにヤミとひかりが座っていた。
ましろも席につく。
ソラは、静かに口を開いた。
「ましろちゃん」
「あなたに、正式にお願いしたいことがあるの」
「……はい」
「私たちのチーム――」
「ルミナスガーディアンズに、入ってほしい」
一瞬、時間が止まったように感じた。
「……チーム……」
ひかりが嬉しそうに笑う。
「一緒に戦えるんですね……!」
ヤミは腕を組んだまま、そっぽを向く。
「……まあ、戦力にはなるでしょ」
「ヤミさん……」
ましろは少し戸惑いながらも――
「……私でいいなら」
「よろしくお願いします!」
深く頭を下げた。
ソラは優しく微笑む。
「ありがとう」
「これで、全員が揃う」
「……え?」
ましろが顔を上げる。
ソラは、少し楽しそうに言った。
「他のメンバーも、もう来てるよ」
そのとき――
ガチャッ、と扉が開く。
「おはよー!!」
元気いっぱいの声と共に、一人の少女が飛び込んできた。
ショートヘアに、明るい笑顔。
「しずく……朝から元気すぎ」
その後ろから、静かに入ってくるもう一人。
長い髪に、眼鏡。
手には一冊の本。
「……騒がしい」
ソラが紹介する。
「この子たちが、チームのメンバー」
「天羽 しずく」
「運動神経抜群で、街でも有名なスポーツ少女よ」
「よろしくね!新人ちゃん!」
しずくがぐいっと顔を近づける。
「ち、近いです……!」
「で、こっちが――」
「夜凪 クロエ」
「知識担当。とにかく本が好きで、分析が得意」
クロエは本から目を上げる。
「……夜凪クロエ」
「よろしく」
短い一言。
だが、その瞳はどこか鋭かった。
「ましろです!よろしくお願いします!」
しずくがにやっと笑う。
「いいねいいね!元気そうじゃん!」
「これで全員集合ってわけだ!」
ソラが一歩前に出る。
「改めて――」
「私たちは、“ルミナスガーディアンズ”」
「願いによって生まれた歪み――エラーから、この世界を守るチーム」
「そして――」
一瞬、言葉を区切る。
「誰かの願いを、正しく導く存在」
その言葉に、全員の視線が集まる。
「今日から、本格的に動き出すよ」
しずくが拳を握る。
「おっしゃー!久しぶりに暴れるかー!」
「……脳筋」
クロエがぼそっと呟く。
「なんか言った!?」
「事実」
軽いやり取りに、空気が少し和む。
ましろは、その光景を見て。
胸の奥が、じんわりと温かくなるのを感じた。
(……ここが、私の居場所なんだ)
だが、そのとき――
クロエが、ふと顔を上げる。
「……来る」
「え?」
「エラー反応」
クロエの手元の端末に、異常な波形が表示されていた。
「規模……大きい」
空気が一瞬で変わる。
ソラの表情が引き締まる。
「場所は?」
「市街地……人、多い」
「最悪ね……」
ヤミが立ち上がる。
「行くよ」
しずくが笑う。
「初任務だね、新人ちゃん!」
ましろは、一瞬だけ息を飲み――
「……はい!」
強く頷いた。
その瞬間。
それぞれの体が、光に包まれる。
戦いが、始まる――
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




