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戦闘スキル無しの元・狂戦士 ~案内人は最短の矢印で最強の異世界騎士団を導き現代ダンジョンを無双する~  作者: くるまAB
第4章:過去と未来の遊戯盤

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93. ただ真っ直ぐに

「そろそろ俺等も行こうか」


 悠馬は西の方角へと足を向ける。


 他パーティーは、それぞれ担当した方角へと既に出発していた。

 聖天の双翼は東へ。

 バーニングライクは北へ。

 バーニングオクトパスは南へ。


「悠馬お兄さんはなんで方角が分かったんですか? 目印とかないですよね?」


「あぁ、それなら簡単だよ。【赤の矢印】が出てるんだ、真っ赤なやつがキッチリ4つ」


 悠馬の視界には、真紅の様な深い【赤の矢印】が表示されている。

 それを元に各パーティーへ目指すべき方向を指示していたのだ。


「スキル『道標ガイドポスト』だったかしら? 相変わらず便利なもんだね」


「たしかに便利だが、ヴィの魔導具も負けてないだろ」

「ふふっ、素直に受け取っておくわ」


 既に全員がヴァレンタインの魔導具を装着している。

 

 通話とメッセージのやり取りが可能な『シグナル』。

 深層の魔素を放出する『ストック』。

 自由に物体を出し入れできる『カフ』。


「立ちふさがる敵は全てブチのめしてよいのだろう? 腕がなるのう!」

「もちろんだ。ただ、速度も維持したい。後発組でも対応できそうなら無視して進むぞ」


 各方角に進む特級パーティー以外の探索者達、いわゆる上級ホルダーが約160名ほど残っている。

 悠馬はその探索者達を5分割し、特級パーティーの後発組として出発させることを提案した。


 今回は初動での高速探索が目的のため、いちいち殲滅している時間が惜しいのだ。

 ある程度は後発組に任せ、探索を最優先に進行する。

 

 残りのメンバー達は安全地帯で待機、負傷者の治療と交代要員として動いてもらう。

 当初は上級探索者達も渋ってはいたが、オグリ家騎士団を除く特級3チームは有名らしく最終的には従う事となった。


「とはいえ、『オグリ家騎士団』の名を知らぬとは、何とも度し難い事でございますね……」

「ノーラの言う通りです! 『で、お前はなんで偉そうなんだ』って! 許せません!」


「まぁそう言うなって。仕方ないだろ特級なったのだって最近だし、史上最短で特級ホルダーだぞ、そりゃ認知が遅れるってもんだ」


 話しながら準備を進めていると、後発組が近づいてくる。


 

「おい! 一体いつになったら出発するんだ! 他のやつらは姿すら見えなくなってんだぞ!」

 

「えっと……誰だっけ?」

「もう忘れたのか! 上級パーティー『メガソニック』の速水はやみだ!」


「そうそう速水くん! もう出発するからそんなに怒らないでくれ」

「ったく、なんで俺がこいつらの後ろなんだよ。 俺らのほうが速いってのに……」


 他3パーティー達が出発しているのにも関わらず、いまだ動かない悠馬達に速水は苛立ちをぶつける。

 聞いたこともないパーティーが、自分たちを率いる事にも納得していない様子だった。


「えっと……メガソニックだっけ? って速そうな名前だな」

「そうだよ! 攻略速度だけじゃない、移動速度だって全パーティーの中でもナンバーワンだ!」


「そっかそっか、じゃあ本気で行っても大丈夫そうだな」

「けっ! あんたらを追い抜かないか、余計な気を使うことになりそうだよ!」


 自分たちの足に絶対の信頼を置いている速水。

 その自身が打ち砕かれる事になるのは、ほんの数分後の出来事だった。


 

 ――――



「ゼェ、ゼェ……ハァ……っ、なんなんだアイツら。 速いってレベルじゃねぇ……」


 速水は悠馬達になんとか食い付いているものの、見失わないようにするだけで精一杯であった。


「しかも速いだけじゃねぇって……これが特級パーティーってやつなのか?」


「ノーラはF2へ氷柱3つ! ヴィはB6へ範囲3メートル!」

「仰せのままに!」

「はいよっ」


 方向と高さをアルファベットと数字で事前に共有。

 それを元に指示出しすることで、殲滅速度の高速化を可能にしていた。


「アリスとドルは打ち漏らしを叩けっ! 振り抜いたらそのまま進行!」

「はいっ!」

「おうよっ!」


 魔法組が後方から先制、その後前衛がトドメを刺す。

 悠馬の正確無比な指示が、魔物の初動を全て封じ込める。


 それを速度を維持したまま実行する。

 オグリ家騎士団にとっての『いつもの』攻略、それは他人にとっての『異常』という事に本人達は気づかない。


「ハァ、ハァ、……っ、あーもうなんなんだ! 意味が分からねぇ!」

「速水くん、なかなかやるじゃないか! さすが言うだけの事はあるって感じか?」


「――うるせぇよ! こんくらい何でもねぇ!」

「若いねぇ。じゃあ速度上げるから、ちゃんと付いて来いよ!」

「えっ!」


 悠馬は言葉通り速度を上げる。

 速水の視界から悠馬達の背中が一瞬で消え去る。


「くっそ! 付いていきゃいいんだろ! やってやるよ! メガソニックなめんなー!!」


 ――――


「なんかデカいのがいるな。ノーラ、ヴィ魔法届くか?」

「うーん、ちょっと厳しいね」

「私も同じです。走りながらで無ければ可能ですが」


 直線距離で約200メートル先、大型の魔物の姿が見える。

 この距離で確認出来るという事は、実サイズは相当なものだろう。


「魔法は無理か……。とはいえ、速度は落としたくないしなぁ」

「悠馬お兄さん。それなら私が先行してきましょうか?」

 

 アリスは並走しつつ、片手間で魔物を斬り伏せながら悠馬へ提案する。


「いや、出来るだけ体力は残しておきたいから――ドル!」

「なんだ? ワシが行けばいいのか?」


「溜め攻撃って、ジャンプしながらでも出来るのか?」

「もちろん出来るぞ。まぁ、技にもよるがな」


 ドレイヴンの言葉を聞き、悠馬は不敵に笑う。


「じゃあそれで行こうか。ドル、待たせたな――『アレ』行くぞ!」

「おぉ! 『アレ』か! ようやくではないか! 待っておったぞ!」


 悠馬の『アレ』の提案にドレイヴンも笑みを浮かべる。


「悠馬お兄さん『アレ』って――」

「今だ! ドル飛べ!」


「――おうよっ!」


 前方に向かってドレイヴンは高く飛び上がる、そしてそのまま攻撃体制へと移行。


「ガードルドの誇り……我が魂を持って、不浄を断たん!」


 ドレイヴンの身体が黄金に輝き始める。

 それと同時に、悠馬は視界に【琥珀の矢印】を発動させる。


「行っけぇーーー!」

「ぬぉぉぉぉーーーーーー!」


 ドレイヴンの身体が一気に加速する。

 黄金の流星が大型魔物に向かって直進する。


「くらえっ!――『剛勇王の断頭台レガリア・ギロチン』ッ!!」


 ――ズドォォォォォォォォンッ!!


 ドレイヴンの強烈な一撃。

 それは音と振動をもって、敵の殲滅を悠馬たちへと知らせる。

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