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戦闘スキル無しの元・狂戦士 ~案内人は最短の矢印で最強の異世界騎士団を導き現代ダンジョンを無双する~  作者: くるまAB
第4章:過去と未来の遊戯盤

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90. 遊戯盤の上で

 声が響いた直後、なんば駅上空に液晶画面のようなものが出現する。


 周囲が騒然とする中、画面に少年の姿が映し出される。


「悠馬お兄さん! あの子って」


「あぁ……予想通りだな」


 ――探索者の皆さん、こんにちは――。

 ――これから皆さんにはゲームをやってもらいます!――。


 画面に映る白いローブを羽織った少年は、楽しそうな口調で話し始める。

 

 「おいっ! いきなり出てきてなんやねん!  ゲームってワシらテト◯スでもやらされんのか!」


 木森が叫ぶように問いかけるが、少年は返答すること無く説明を続ける。


 ――いま皆さんがいる場所は中心地です――。

 ――そこから東西南北にいるボスを倒し、結界の外に出ることが出来れば皆さんの勝ち、ゲームクリアです! おめでとう!――。


 パチパチと手を叩きながら、少年は話す。


 ――しかし、ただ倒すだけでは面白くないので制限時間を設けました!――。

 ――制限時間は『内部時間』で3日間、この間にボスを倒さないとゲームオーバーです。ざんねん――。


「ワシのこと無視すんなや! ゲームオーバーになったらなんやっちゅうねん!」


 ――そこのお兄さん、ちょっとうるさいよ――。

 ――ちょうどいいや、ゲームオーバーになったらどうなるかの見本にしようか――。


 少年は口角を上げニヤリと笑うと、顔の高さで指をパチンと弾く。

 

 その瞬間――。


 木森の上半身が爆発したように突然吹っ飛ぶ。

 

 下半身だけになった木森の身体は、真っ赤な血しぶきを上げ、力なくその場に倒れ込む。

 その凄惨な姿に全員が息を呑む。


 ――時間切れになったら皆こうなりまーす――。

 ――って、誰も悲鳴あげたりしないんだね、流石は探索者の皆さんだ!――。


 またもパチパチを手を叩く少年。

 確かに悲鳴は上げない、探索者である以上『死』は突如訪れると、この場にいる全員が知っているからだ。


 ただ、『何の前触れも無く死んだ』いう事実。

 その事実だけで、その場に張り詰めた緊張感が走る。


 ――さて、説明は以上かな――。

 ――ここからは質問タイムだよ、なにか質問がある人は挙手をおねがいしまーす――。


 少しの沈黙の後、1人が手を上げる。


 ――はい! そこのマヨネーズのキャラクターみたいな頭のお兄さん! 質問をどうぞ!――。


 手を上げた男、それは――。


「俺は『聖天の双翼セレスティアル・フェザー』の坂元さかもとと言うものだ。 一緒に入った仲間が何人か居ないのだが、何か知らないか」


「……あいつ、生きていたのか」

「悠馬様、あの方はもしかして……」


 生きててよかったと、拳を握りしめる悠馬にノーラは声を掛ける。


「あぁ、幼馴染のあつしだ。 先に入ってると聞いてはいたが、まさか生きてるとはな……悪運の強いやつだよ」


 ――君たちは今日ここに来た人? それとも最初から居た人?――。

「俺達は最初ではないが、今日でもない。結界が出来てから入ってきている」


 ――なるほど、それなら僕のミスだね――。

「ミス……だと、まさか貴様! ミスで仲間を殺したというのかっ!」


 ――おぉ! 怖い怖い。 このゲームは200人揃ったら始めるつもりだったんだ――。

 ――それで今日やっと揃ったんだけど、いきなり色んな所から入ってくるからびっくりしちゃったよ――。


 ――慌てて進入禁止にしたんだけど、その時すでに200人以上入ってたから、ランダムで何人か減らしたんだよ――。

 ――だけど、死んではいないから安心して! 外で生きてるはずだから、ほらっ――。


 少年はまたも指を弾く、その動作に全員が身構えるも、何も起きる様子はない。

 

 その時、着信音のようなものが鳴る。

 坂元が衛生電話を見ると、そこには仲間からのメッセージが届いていた。


「これは……一体。 いや、早とちりで叫んでしまった、すまない」

 

 ――ねっ? 大丈夫だったでしょ――。

 ――さて、次に質問のある人いるかな?――。


 その後、いくつかの質問で判明したことは。


 

 ・ボス以外にも魔物はいる、外側に向かうにつれ強力になる。

 ・ここ中心地はセーフティーゾーンなので、襲われることはない。

 ・結界内にいた一般人は死んではいない、ゲームクリアされれば解放される。


 

 ――そろそろ時間かな? 次の人が最後ね――。


 何人かが手を上げる中、少年が最後に指名したのは――。


 ――じゃあ最後は……ずっと僕を睨んでるそこのオジサン!――。


 からかう様に微笑みながら、少年は指を指す。


「よう、久しぶりだな。 元気だったか?」


 悠馬も少年と同じ様な顔で微笑み返す。


 ――また会うって言ったじゃないか――。

 ――僕は元気だけど、まさかそれが質問じゃないよね? ふふっ――。


「まさか、お前もそこまでセコくないだろ。 それで質問なんだが――」


 

「――俺達に説明していない事は『いくつ』あるんだ?」


 

 悠馬の言葉に全員が驚愕する、それは少年も同じだったようで笑顔が消えている。


 ――なるほどね、やっぱオジサン面白いね――。

 

「ありがとよ、それで返答は?」


 ――そうだね……全部で4、いや5つかな――。


 少年は指を折り数える、その姿は年相応のそれだった。


「チッ! そんなにあんのか……」

 

 予想外に多かったのか、悠馬は面倒くさそうにポリポリと頭を掻く。


 ――あははっ! 最後の質問が面白かったから、サービスで1つ教えてあげるねっ!――。

 

 ――ゲームクリア時、生存者全員に『望む物』を『何でも』あげる――。


 思いがけない特典に周囲がざわめく。


「何でもだと……それは本当なのか」


 ――そう、文字通り『何でも』だよ! でも、存在しないものや、概念的なのは流石に無理かな――。

 ――たとえば『地位』だったり、『なんでも切れる剣』とかね――。


 ――でも破格でしょ? やる気になったかなー?――。


 またもからかう様な顔で少年は笑う。

 

 ――これで質問おわり! じゃあみんな――。


 「待てっ!」

 

 少年が喋り終わる前に、悠馬が割って入る。


 ――なに? 質問は終わりだって――。


「質問じゃねぇよ、お前さっき『ゲームは200人揃ったら始める』って言ってたよな」


 ――そうだけど、それがどうしたの? 200人いるじゃないか――。


「いねぇよ。 お前が殺したから199人だ、ゲームマスターが開始前に前提壊すんじゃねぇよ」


 そう言い放つ悠馬の声には怒気が含まれていた。

 木森とは会ったばかりとはいえ、あんな簡単に人が死んで良いはずがない。


 ――たしかにそうだね……オジサンの言う通りだ――。


 少年は苦虫を潰したような表情で、右手を顔の前にゆっくりと上げる。


 そして、同じ様に指を鳴らす。


 ――パチンッ。

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