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戦闘スキル無しの元・狂戦士 ~案内人は最短の矢印で最強の異世界騎士団を導き現代ダンジョンを無双する~  作者: くるまAB
第4章:過去と未来の遊戯盤

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84. 魔導具の秘密と激励

「ダンジョンに着いたはいいが、一体なにをするつもりなんだ?」


 ヴァレンタインに従い、特級ダンジョン『虚無の門』へと到着したオグリ家騎士団。

 いまだ何をするかを教えない事に、悠馬は少し苛つきながら問いかける。


「そうね、とりあえず下層……いえ、深層まで行きましょう」

「それはジャンプでもいいのか?」


 悠馬の問いに対し、少し悩んだ様子でヴァレンタインは答える。


「……大事なのは到着した後だから、ジャンプでも問題ないわ」

「じゃあ、さっさと行くか。 時間はあるとはいえ2時間、いやあと90分くらいか」


 到着に30分ほどかかった事を考えると、猶予は60分程度しかない。

 オグリ家騎士団は足早にジャンプ施設へと移動する。


 ――――


「深層階についたな。 そろそろ何するか教えてくれていいんじゃないか?」


「そうね。ドレイヴン、朝渡したアレを出しなさい」

「ぬっ。 よくわからんアレか、少し待っておれ」


 ドレイヴンのホルダーから、いくつか道具のような物が取り出される。


「さぁ、あんた達――準備は良いかしら」


 ヴァレンタインに言われるがまま、謎の道具を装着される面々。


 ――――


「で、コレは一体なんなんだ」


 そこには上半身に、ベルトをたすき掛けしている悠馬が立っていた。

 ベルトは左右2本あり、小さな黒い棒のようなものが等間隔で装着されている。


「すこし動きにくいです、でも何かワクワクします!」

 アリスは両手を振り回しながら、可動域を確認しているようだ。


「なんというか。 ドレイヴンさんはでかいからラ◯ボーみたいだし、ノーラは戦闘メイド……『すべての不義に鉄槌を』とか言いそうで怖い」


 同じ装備を付けさせられている2人の姿は、フィクション世界のキャラクターのようだった。


「よくわからんが、全ては今から始まるのであろう? 始まる前に終わってどうする!」

「……お望みとあらば、小栗の名に誓いましょう――」


「ちょいちょい! ……よくわかんぇけど、どっかから怒られそうだから、これ以上はストップな!」


 フィクション世界の2人に悠馬は慌ててツッコミをいれる。


「いいじゃないか。 全員よく似合っているよ」

「と、いうか……ヴァレンタインさんは付けないのか? コレ?」


「私はいいんだよ。 他にやることあるんだから」

 

 やれやれといった雰囲気で、ヴァレンタインは手のひらをヒラヒラと動かす。


「まぁいっか。 で、これからどうするんだ」


「なにもしないよ。 そのまま立ってな」


「えっ?」


「いや。だから、そのまま立ってなって。 それで十分なはずだから」


 一同はよく分からないといった状態のまま、その場に立ち尽くす事となった。

 定期的にヴァレンタインが、ベルトに付いた黒い棒を「ふむふむ」と見てはいるが、他に何かをしている様子はない。


 ――――


「ヴァレンタインさん。 そろそろ戻る準備しないとまずくないか?」


 突っ立ったまま、40分以上が過ぎようとしていた。

 その間、魔物に襲われることはあったが、ヴァレンタインとノーラの魔法で難なく撃退していた。


「そうね、そろそろ脱出しようか。あぁ、ベルトは付けたままで行くよ」


 ベルトを外そうとする悠馬たちを、ヴァレンタインは阻止する様に声をかける。


「ぬぬっ! このままでは少し動きづらいのだが……」

「やかましい男だね。 いいからさっさと主の間までいくよっ!」


「動いていいんですね! よぉ~し『ドーン!』って、やってやります!」

「アリスよ! どっちが先に倒すか勝負だ! ワシが負けるはずが無いがの! ガハハッ!」


 ガードルド親子を先頭に、数階先の主の間を目指す。

 何事もなく主を瞬殺し、脱出ポータルを使用して地上へと戻る、ここまで10分という強行であった。


「さっ、ベルト外しな」

「結局、コレは何だったんだ?」


 ベルトを外しながら、悠馬は疑問を投げかける。


「必要になった時に説明するよ。 それまでは、ひとまず保管だね」


 黒い棒が装着されたままのベルトを、ドレイヴンに渡しホルダーに収納してもらう。


「ヴァレンタイン様の最新魔導具――きっと素晴らしい物に違いない事でしょう」

「ノーラの言う通りです! 何かの役にたつと予感しています!」


「そういうもんかね……」


 相変わらず釈然としないまま、管理局へと戻るため車を走らせる。


 ――――


「よし、時間通りに戻って来れたな」


 時計は13時50分を指している、管理局ロビーには30名ほどの探索者らしき人物たちが集まっていた。

 どうしたものかと立っていると、奥から望海が走ってくる。


「よかった! 戻ってこないかと思ったわよ!」

「そんな事あるわけないだろ。 それより、これからどうしたらいいんだ?」


「あんた達が最後だったのよ。全員揃ったから、これから局長の話があって出発って流れね」

「そっか、じゃあ待つとしようか」


 そのままロビーで待っていると、数分もしない内に府後がロビーへとやってきた。


「探索者の皆様! この度、お集まり頂き感謝いたします」


 上等そうなスーツを身にまとった府後は、探索者達の前に立ち声を上げる。


「この場にいるのは、全員が上級ホルダー以上、なかには最近特級ダンジョンを攻略した強者も含まれております」

 

 府後の発言に周囲がざわつく、それもそのはず、オグリ家騎士団の特級ダンジョン攻略は、公には告知されていないのだ。

 しかし、中には独自のルートで情報を仕入れたものもいるのだろう。

 いくつかの視線を感じつつ、悠馬達は府後の声に耳を傾ける。


「皆様への依頼内容としましては、探索者と一般人の救出となっております。 詳細については移動中に説明いたしますので、屋上のヘリポートまでご移動お願いいたします」


 少しの喧騒を残しつつ、探索者達は移動を開始する。

 それに追従するように、悠馬達も移動を始める、途中窓口にいた望海に声をかける。


「お前は来ないのか?」

「行かないわ。 私がついて行った所で管理局で待機が関の山。 それならこっちで待ってるわ」


「たしかにそれもそうか……じゃあ、たまにで良いから車のエンジンかけてやってくれ」


 悠馬は地下駐車場に停めている、キャンピングカーの鍵を望海にわたす。


「わかったわ、でも……無事に帰って来なさいよね」


「任せとけって。 ――な? 皆」


「ガハハッ! ワシがおるのだ! なにが来てもぶっ飛ばしてくれるわ!」

「望海さん! 帰ってきたら、またお買い物行きましょう! 早く新しい服を来てみたいです!」

「いまだ、果たされいない約束事が残っております。 戻り次第、遂行して頂けますようお願いいたします」

「心配しなくてもすぐ戻ってくるよ。 それよりアンタ、昼食の準備は出来てるんだろうね?」


「ほらな? 安心しろ、お前が担当してるのは『オグリ家騎士団』だ。 最強パーティーの看板背負って、すぐに凱旋してやるよ」


「全くもう、アンタ達は。 ――いってらっしゃい!」


「おう!」


 準備は整った、後は向かうだけだ。

 関東地区最強パーティーは、一路大阪へと歩みを進める。

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