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戦闘スキル無しの元・狂戦士。~案内人の男、最短の矢印で最強の異世界騎士団を導き現代ダンジョンを無双する~  作者: くるまAB
第3章:変革する日常と加速する世界

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79/80

79. 最強への評価額

「おまたせしました」


 電話を終えた府後が、改めてソファへと腰をかける。


「どこに電話してたんだ?」


「素材鑑定課です。 局に集められた素材は、全て鑑定課によって査定されます」


「なぜ電話が必要なんだ? いつも通り金だけくれればいいだろう?」


「そうなのですが。 どうやら一部買い取れない物があったようで返却したいと」


「なんだそれ。 それでそいつを今から持ってくると?」


「はい」


「ちょっと待ちな! 素材の出所は公開しないって約束じゃないかい?」


 ヴァレンタインが府後に詰め寄る。


 契約内容に『素材の受け渡しは全て望海を通す事。素材に関し詮索の類全てを許可しない。』と有るため、ヴァレンタインが怒るのも無理はない。


「はっ、はい! ですので高梨君が受け取り、今からここへ持ってくる事になっております!」


「ならいいんだけど、契約を破ったら――」


「十分に承知しております。 私も死にたくはありませんので……あははっ」


 府後は乾いた笑い声をあげ、額の汗を拭っている。


 その時、扉からノックの音がし、府後は中へ入るよう促す。


「失礼します」


 入ってきたのは望海だ、アルミコンテナを台車にのせ、室内へと持ち込む。


「中身については私も把握しておりません。 とりあえずお収め下さい」


「わかったよ。 ドレイヴンさん頼めるか?」


「お任せあれ!」


 ドレイヴンは腰のホルダーに魔力を注ぎ、アルミコンテナを中へと収納する。


「なっ、なんですかそれは!?」


 府後が驚愕の表情を浮かべ、勢いよく立ち上がる。


「やべっ! まだ見せてなかったか」


 悠馬は額に手を当て、天井を見上げる。


「別にいいじゃないか。 これだって『素材に関する』の範疇だ、喋ったら……」


 そう言いながら、ヴァレンタインは府後へと目を向ける。


「な、なるほど。 私は何も見ておりませんゆえ! あははっ」


 府後はゆっくりと座り直す、その手にあるハンカチは汗を吸いすぎて、色が濃くなっていた。


「で、では。 こちらが買取表となりますので、ご確認下さい」


 府後はA4サイズの封筒をテーブルに置く。


 悠馬は封筒を手に取り、中の書類に目を通す。


「どれどれ――って、マジか!」


 悠馬の目が開かれる、心なしか手が震えているようにも見える。


「悠馬お兄さん、私にも見せて下さい! えーっと、いちじゅうひゃく……」


 ゆっくりと桁を数えるアリスの後ろには、いつの間にか望海が立っていた。


「えっ! 2億超え! なにこれ、まるで宝くじじゃない!」


 書類には『2億4567万8000円』と書かれていた。


「やるじゃないか。 これは今晩が楽しみだね」


「がははっ! よくわからんが大金という事であろう? これでノゾミ殿との約束も守られたな!」


「2億の5パーセントって……えっと、1千万!?」


「正確には1228万3900円だな。 やったな望海!」


 想像もしていなかった高額報酬に、望海は空を見つめている。


「そちらの金額は既に振込が完了しております。 そして、これがカードです」


 テーブルに同じデザインのカードが10枚並べられる。


「枚数が多くないか? 6枚もあれば十分なんだが」


「予備として準備しました。 不要であれば回収いたしますが」


「いや、気を使わせたみたいで申し訳ないな。 ありがたく受け取るよ」


 悠馬はカードを全員に手渡し、最期に望海へと手渡す。


「望海、好きに使ってくれて構わない。 ただ、大金を持っている事を悟られるなよ、危険な事に巻き込まれるぞ」


 カードを受け取ろうと望海は手を伸ばすが、すんでの所で手を引っ込める。


「どうした? いらないのか?」


「よく考えたら、そのカードを持っていること自体が危険な気がするわ。 お金が必要な時は言うから、あんたが直接手渡してくれない?」


「たしかにそれもそうだな。 じゃあ必要な時は言ってくれ」


「――ゃく万」


「ん? なんだ?」


「200万円。 早速だけどお願いできるかしら、欲しいバッグがあったのよ! 明日休みだし買いにいくわ!」


 望海は両手を胸の前で組み、天を見上げる、もちろん目は$マークだ。


「じゃあ、この後ついて来るか? 途中で銀行に寄って下ろすから、そのまま渡すよ」


「悠馬お兄さん! 今日は収入があったから豪勢な夜ご飯ですよね!」


「そうだな。 せっかくだし、いいもん食べるか」


「じゃあ、望海さんも一緒に食べましょう! 食事は多いほうが楽しいです!」


 アリスはアホ毛をピンと立たせて、キラキラした目で悠馬に提案する。


「アリスちゃん――なんていい子なの!」


「それもそうだな。 このまま望海つれてくけど大丈夫か?」


 悠馬は府後へと問いかける。


「えぇ、問題ございません。 もとより専属ですし、今日は急遽手伝ってもらっていただけですので」


「じゃあそういう事だから、望海は準備して地下駐車場まで来てくれ」


「分かったわ! ちゃんと待ってなさいよ!」


 望海は飛び出すように部屋を後にする。


「全く高梨君は、私に台車を片付けろという事かな……」


「あんたも大変だな。 ともあれ、次は二日後だな」


「はい。 宜しくお願いいたします」


 府後は立ち上がり、深く頭を下げる。


「どうなるか分からねぇが、とりあえず任せとけ、関東地区の力見せてやるさ」


 三人を引き連れ、悠馬は局長室を後にする。


 

 『オグリ家騎士団』それは探索者の最上位に位置するパーティーである。


 個の武力はもちろん、集になった時の戦力値は計り知れない。


 未知なるダンジョンのある大阪へ、それは関東地区最強が、日本最強へと知名度を一気に向上させる序章に過ぎなかった。


 

 ――第3章・完。


 謎の少年、奇妙な白と黒の文様、『鷲』と『杖』の紋章、時間経過の乖離、意思をもつ【道標ガイドポスト】。

 そして『魂の帰還石』。


 様々な謎を抱えたまま、オグリ家騎士団は先へと進む。

【矢印】は謎を解き明かす事ができるのか、今はただ西へと答えを求め遠征する。


これにて3章完結です。

ここまで見てくださった読者の方々には感謝のしようもございません。


4章は1週間ほどあけて5月9日より公開したいと思っております。

ストックが切れたのもあるのですが、仕事が繁忙期を迎えるため間を空けたいと思っております。


公開後は出来るだけ、毎日公開を継続したいと考えておりますが、もしかしたら週3とかになるかも知れないです(汗


駄文ではございますが続けて応援していただければ幸いです。

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