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戦闘スキル無しの元・狂戦士。~案内人の男、最短の矢印で最強の異世界騎士団を導き現代ダンジョンを無双する~  作者: くるまAB
第3章:変革する日常と加速する世界

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78. 成長する死の領域

 府後に促され、悠馬はソファへ腰を掛ける。


 以前よりソファの数が増えているようだ、全員がテーブルを囲むようにソファへと座る。


「まずは特級ダンジョン制覇、おめでとうございます」


「ありがとう。 それにしても耳が早いんだな」


「オグリ家騎士団の攻略状況は、既に関東地区の注目の的です。 きっと他支部も把握済みかと」


「なるほどね。 で、騒ぎの原因は?」


「以前、大阪ダンジョンで魔物大災害……スタンピートが発生したことはご存知でしょうか」


「あぁ、知ってるよ。 ただ、鎮圧したんだろ?」


 大阪ダンジョンのスタンピート、それは悠馬の幼馴染『聖天の双翼セレスティアル・フェザー』が鎮圧し、ニュースになっていたほど有名だ。


「はい、あの時はそれで終わりだと思ったんです。 ただ……」


「ただ、なんだ。 再発生でもしたのか?」


 府後は両手を目の前で組み、目をつぶりながら答える。


「ただの再発生ではなく、ダンジョン自体が外に出てきたのです」


「ダンジョンが外にだと? どういう意味だ」


 府後が言うには、スタンピート鎮圧後、大阪ダンジョンは調査中であったこと、その調査中にダンジョンの構造が変化したかと思うと、魔物脅威度が数段上がったとの事。


「脅威度って、たしかあそこは中級じゃなかったか?」


「おっしゃる通りです。 ただ、変化後は特級レベルの魔物が発生しているようで……」


「なんと! 強者がおるというのか! ユーマよ、さっそく向かおうではないか!」


 特級という言葉にドレイヴンが反応する、中断させられた戦闘で昂ぶった気持ちをぶつけたいのだろう。


「早速って、 あんたその折れた剣でどうやって戦うってんだい?」


「ぬっ! そうであった。 ヴァレンタインよ、お主の魔法でどうにかならんのか」


「どうにもならないよ。 自動修復が施されてんだろ? 待つしか無いね」


 あからさまにテンションが下がるドレイヴンを、隣に座るアリスが宥める。


「お父様。 代わりに私が行ってきますので、今回は諦めて下さい」


「いや、アリス。 それは慰めになってないぞ。って、話が逸れたな。 続きを聞かせてくれ」


「はい。 ダンジョンのランクが上がったということで、大阪ダンジョンは再査定中だったのです。 そんな中、突然街全体を包むように光が地面から発生したという報告がありました。 その時の衛星写真がこちらです」


 府後は一枚の写真をテーブルに置く。


「これは……ヴァレンタインさん。 何かわかるか?」


 写真には大阪の街が難波を中心に周囲数十キロが写っている。


 ただ、それを包むように魔法陣のようなものが展開されていた。


「うーん。 なんとも言えないけど、召喚魔法の魔法陣に似てる気がするね」


「そっか、ちなみにこれはいつ発生したんだ」


「たしか、報告では……二日前の深夜だったと記憶しています」


「やはりそうか……」


 二日前の深夜、それは悠馬の【紫色の矢印】が西を指した時と一致する。


「小栗様は何かご存知なのですか!?」


「いや、心当たりが無いこともないが。って、感じだ気にしないでくれ」


「……そうですか。 この光が発生した直後、範囲内に居た民間人が姿を消したのです。 その代わりに魔物が地上で発生しているようで」


「それがダンジョンが外にって事か? それで民間人ってのはどういう意味だ」


「それが、探索者は残っていたのです。 現在活動していない者も含め、光の範囲内で探索者証を所持している者は、全員生存が確認されております」


「それはどういう事だ? それに民間人はどこへ消えたんだ」


「わかりません。 ただ、中にいる探索者は光の範囲内から出られないようで。 外からは見えるのですが」


「光の中に入ることは出来るのか?」


「出来ます。 ただ、探索者証を所持している者に限りますが」


「なるほど、それでダンジョンが外にって表現なんだな」


「はい。 ただ、中にいる探索者は、中級すら攻略出来ない者も含まれているようで、現在救援部隊の編成中でございます」


「それがあの騒ぎの正体って事か。 ただ、特級に対応出来るって少数だろ」


「その通りです。 全国の上級、特級ホルダーたちに連絡をとっている次第です」


「大阪ダンジョンだったら、前回鎮圧したアイツらはどうしてんだ?」


「『聖天の双翼セレスティアル・フェザー』の皆様は既に中へと入って救援活動を行っているようです。 ただ、問題がありまして」


「問題って?」


 府後は新たに一枚の写真をテーブルに置く。


 それは一枚目と同じ縮尺の衛星写真だったが、違和感がある。


「これ、広がってるね」


「ヴァレンタイン様、その通りです。 たった二日で、周囲約1キロメートルの範囲が光の中に入ってしまったのです」


「このままだと、数カ月のうちには大阪が丸ごと入っちまうんじゃないか?」


「その為の救援部隊という訳なのです。 そこで……」


「俺達も大阪へ行けって事か……でも、どうやって止めるんだ」


「わかりません。 初期の光の範囲は約5キロメートル、日に500メートル拡大するとして50日もあれば大阪府を飲み込む計算です。 数年で日本全土を包み込んでしまうことでしょう」


「そりゃ大変だな。 大阪グルメが食えなくなっちまう」


「えぇ! それは大変じゃないですか! お好み焼きもたこ焼きも本場のを食べたいです! 悠馬お兄さんグルメを守りに行きましょう!」


「ったく、食いもんの話になったら、急に元気になりやがって」


 アホ毛をぶんぶんと振り回し立ち上がるアリスを、悠馬は呆れたような笑顔で見る。


「二日後には、関東地区の上位探索者を招集し、大阪へと出発する予定です。 是非ともオグリ家騎士団には参加していただきたく」


 府後はソファに座ったまま頭を下げる。


「わかったから頭を上げてくれ。 二日後、ここへくればいいんだな」


「ありがとうございます! それまでに私も情報を集めておきます!」


「あぁ、頼んだ。 それと、今朝頼んだ素材の件はどうなった?」


「素材ですか……それなんですが。 少し失礼します」


 何かを言い淀む雰囲気を持ったまま、府後はどこかへ電話を掛け始める。


「まだ、なんかあんのかよ」


 久しぶりに、頭をポリポリと掻きながら、悠馬は窓の外を見つめる。

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