表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦闘スキル無しの元・狂戦士。~案内人の男、最短の矢印で最強の異世界騎士団を導き現代ダンジョンを無双する~  作者: くるまAB
第3章:変革する日常と加速する世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/81

66. 貸しと借り

「ったく。 何でヴァレンタインさんも局に行くんだ? おかげで余計な出費が……」

 

 自宅近くのレンタカー屋でミニバンを借りる悠馬。

 自家用の軽自動車は4人乗りの為、同行者が増えた以上、車を借りるしかないのだ。


「小栗様、24時間パックですので明日の同じ時間までに返却お願いします」

「……分かったよ」

 

 キーを受け取り、レンタカーで自宅へと戻る。


 ――――


「それにしてもヴァレンタインよ、なぜ付いてくるのだ?」


 ドレイヴンはお茶をすすりながら問う。


「あぁ……。 ちょっと考えがあってね、そのお偉いさんってのに会ってみたいんだよ」


「支部長の府後様ですね。 取引でも持ち掛けるおつもりですか?」


「ノーラ、あんた良い所を突くじゃないか。 話が通じる相手かって問題もあるけどね」


 その時、外から車のエンジン音が聞こえてくる。

 ヴァレンタインはローブを翻し、玄関へと進む。


「さぁ。 小僧相手に交渉しに行こうか」


 ――――


 ダンジョン管理局


 道中は何気ない会話のみだった。

 

 ただ、時折見せるヴァレンタインの微笑が、これから起こる嵐の予感を醸し出していた。


「あっ、悠馬! と、皆さんまで」


 オグリ家騎士団を見つけ、いつものように声を掛けてくる望海。

 いつもと違うのは、周囲をやたらと気にしているようにキョロキョロしている。


「よう、昨日は大丈夫だったか?」

「ノゾミ殿! あの眼鏡男にイジメられては無いだいろうな?」


「ドレイヴンさん、ありがとうございます。 大丈夫だったのですが……」


「ですが、なんだ?」


 少し言いにくそうに、望海は告げる。


「あんた達が来たら連絡しろって、命令が出てんのよ……なんで、昨日の今日で来るかな」

 

「なるほどな――って、なんだ急に」


 悠馬を押しのける様に、ヴァレンタインは望海の前に立つ。


「呼びなさい」


「はい? えっと、ヴァレンタインさんでしたっけ? 呼びなさいとは……」


「その府後ってのを今すぐ呼び出しなさいって、言ってるのよ」


「えっ? 良いのですか?」


「いちいち聞き返すんじゃない。 ほらっ、さっさと連絡する。 1分以内に来ないと帰るわよ」


 挑発的な態度のヴァレンタインに困惑しつつ、望海は府後へと内線で連絡する。


 ――――


「これはこれは、オグリ家騎士団の皆さま。 本日はどういったご用件でしょうか」


 仕事が出来そうな雰囲気を纏い、府後が現れる。

 昨日の挑発が効いているのか、笑顔の奥の目は冷徹そのものだ。


「あんたが府後だね」


 ヴァレンタインはローブを翻し、悠馬と府後の間に立つ。


「書類では把握しておりましたが、貴方はヴァレンタイン様ですね。 お初お目にかかります、私は……」


「口上が長いね。 話が長い男はモテないよ――坊ちゃん」

「ぼっ!坊ちゃ――」


 微笑みながら、相手を挑発する。

 その一点においてヴァレンタインの右にでるものは居ない。


「……ま、まぁいいでしょう。 それで私を呼びつけた理由をお伺いしましょうか」


「そもそも、あんたが私たちが来るのを待ってたんだろう? しかも、命令まで出して。 話があるのは、そっちもじゃないか。 それを『呼びつけた』とは、面白い言い方をするもんだね」

 

 ヴァレンタインは更に挑発する。

 挑発に慣れてない府後は、顔を真っ赤にしながら口を開く。


「そ、そうですね。 お話があるのは事実です、では、話を聞いていただけるという事で宜しいでしょうか?」


「あんたの話を聞くかはこっちが決める事。 とりあえず、落ち着いて話がしたいから部屋を準備しなさい」

「……では、奥の応接室を準備いたしましょう。 少しお待ちください」


 そう言って、府後は奥へと消えていく。


「急ぎなさいよ――。 あまり遅いと帰ってしまうかも知れないわ……坊ちゃん」


 真っ赤になった顔のまま、一瞬こちらを振り返る府後。

 何か言いたそうな表情のまま、府後の足は奥へと歩みを進める。


「なぁ、ヴァレンタインさん。 それはわざとか?」

「なんのことだい?」


「ヴァレンタイン様は、明らかに挑発しておいででした。 この後の交渉を進めるに必要な事かと存じます」

 

「ヴァレンタインさん、かっこよかったです! 『デキる女性』って感じでした」


 冷静なノーラと、アホ毛を振り回すアリス。

 対照的な2人を見て、ヴァレンタインは笑顔を見せる。


「ここから先、あんたらは口を挟むんじゃないよ。 特にドレイヴン……あんたは口閉じてなさい」


「なっ! ワシとて、辺境伯という立場上、交渉事なぞ朝飯ま――痛っ」


「だから、黙りなさい!」


 意気揚々と声を上げるドレイヴンのわき腹を、ヴァレンタインは高速の肘打ちで打ち抜く。


「――貴様、昨日アリスにやられたのと、全く同じ場所を打ち抜くとは……」


「守れないなら、ここに置いていく。 黙っていられる奴だけ着いてきなさい」


 そんなやり取りをしていると、局員現れ準備が出来たと告げられる。


「さて、行きましょうか――」


 視線の先に映る、『特別応接室』の表示をみながらヴァレンタインは微笑する。


 これから始まるのは、交渉か。

 それとも、舌戦という名の戦争か。


 奥へと続く通路の床に、漆黒のローブが怪しく光る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ