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戦闘スキル無しの元・狂戦士。~案内人の男、最短の矢印で最強の異世界騎士団を導き現代ダンジョンを無双する~  作者: くるまAB
第3章:変革する日常と加速する世界

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65. 素材と素麺

 早朝の小栗家では素材確認の為、全員が庭に集合していた。


「では、出すぞ。 よいか?」


 ドレイヴンは腰のホルダーに手をかける。


「ちょっと待ってくれ。 ご近所さんに見られても面倒だ、とりあえず塀で隠れる高さで頼む」

 

「それもそうだな。 うむ、わかった」


 悠馬に言われた通り、ドレイヴンは低めになるよう調節しつつ、素材を放出する。


 ――ドサッ、ドサッ、ドザザザザッ。


「ストップ、ストップ! ドレイヴンさんその辺で止めてくれ!」


「すまぬ、我が庭の高さで考えてしまった!がはは!」


「まったく……注意した意味が無ぇじゃねぇか」


 悠馬達の目の前には、大量の特級素材が積まれている。

 

 それは、もはや小高い丘とも言えるレベルだ。


 大きいものなどを再度収納し、塀に隠れる高さへと調節する。


「わかってはいたけど、こいつは凄い量だね」


 ヴァレンタインは素材を手に取りながら、早速吟味を始める。


「お父様、張り切ってましたから!このくらい当然なのです!エッヘン!」


 目の前にあるのは。

 

 レイス・ナイト【レア】からドロップした、紫がかった半透明の破片。

 デス・スコーピオンゾンビ【レア】の死毒の針など盛りだくさんだ。

 

 そして、極めつけは……。


「……こいつは、凄いね」


 ヴァレンタインが手にしているのは、ドラゴンゾンビからドロップした『霊核』。

 

 一部のレイス系魔物からドロップする、魂が具現化したものだ。


 ドラゴンゾンビの『霊核』は、いまだに胎動を繰り返し、うっすらと光っているように見える。


 一同はその禍々しくも、ある意味神々しい『核』に目を奪われる。


「ヴァレンタイン様は帝国一の魔導具職人です。 素晴らしい逸品を制作されることでしょう」


「なるほど……。 素材をヴァレンタインさんに見せたのは、正解だったってワケだな」


 ノーラの声に、返答しながら悠馬は残った素材の山を見る。


 その時、悠馬の視界に【黄色(琥珀)の矢印】が浮かびあがり、素材の山へと吸い込まれる。


「えっ!?」


 困惑している悠馬をよそに、【黄色(琥珀)の矢印】は素材の中から1つを弾き飛ばす。


 ――バンッ!


 突然、山から飛び出した素材を全員が見つめる。

 その素材は悠馬の足元へと落ちる。


 それは――『漆黒の鱗』。


「ユーマよ、何をした?」


 ドレイヴンの質問に、悠馬は曖昧に返答する。


「いや……急に【黄色の矢印】が発動したかと思ったら、コイツを山から弾き出した。――って、とこだ」


「つまり、悠馬様の意志は関係ない……と?」

「そうだ……俺にもよくわからん」


「悠馬お兄さんの『矢印』が反応したって事は、きっと何かあるはずです!」


「そもそも、コレはどの魔物からドロップしたんだ?」


 悠馬は『漆黒の鱗』を手に取り、ドレイヴンを見るが「わからん」とばかりに両手を広げる。


「アリスの言う通りかも知れないね。 このドラゴンゾンビの『霊核』と『漆黒の鱗』……組み合わせると、どうなるか。 フフッ」


 ヴァレンタインは、2つの素材を目に収め微笑する。

 

 胎動する『霊核』と、深い闇を想像させる『漆黒の鱗』


 

 ――その2つの素材が導くものとは……。


 ――――

 

「で、ヴァレンタインよ! 必要なものを選定してくれ! 残りは売りさばいて、ノゾミ殿の糧にしたいのでな!」


 ドレイヴンの言葉に、ヴァレンタインはいくつかの素材を選ぶ。

 

 減った分をドレイヴンはホルダーから出しつつ、選定は太陽が真上に上がるまで続いた。


 ――――


「やっと、終わったか」


 軒先で麦茶を飲みながら、悠馬は呟く。


 目の前の庭には、『客間行きの素材』と、『素材袋に入れる素材』の2つの山がある。


「そのようですね。 では、私は昼食の準備に取り掛かります」

「ノーラ! お昼ご飯はなんですか?」


 アリスはアホ毛をビュンビュンと振りながら、ノーラへと問う。


「今日は暑さが厳しいですので……お素麺です」


「「最高!!」」

 

 真夏にぴったりの昼食に、悠馬とアリスは同時に声を上げる。


「さて、悠馬。 暇ならこっちへ来て素材を運びなさい」


「へいへい……」

 

 ヴァレンタインに言われるがまま、悠馬は素材を客間まで運ぶ。

 もちろん、アリスとドレイヴンもそれに続く。


 ――――


 移動がひと段落し、一同は居間へと集合する。


「やっと、終わったな。 さて、昼飯といこうか」

「待ちわびたぞ! ノーラ!早く持ってくるのだ!」


「お待たせいたしました……こちらが本日の昼食です」


 目の前に現れたのは、皿の上にある、一口大に分けられた素麺。

 ただ、普通の素麺とは様相が違う。


「ノーラ。 これはお素麺ですか? 何というか……白いけど、白くないです」

「そうだねぇ。 これは野菜が束ねられてる感じかい?」


「ヴァレンタイン様。 御慧眼です」


 ノーラが準備したのは素麺だが、要所要所に色が含まれている。


「こちらは、茹でた素麺に薄くスライスしたキュウリ。 そしてミョウガをまとわせております。 添え物の錦糸卵そして、甘辛く煮た鶏の胸肉と一緒にお楽しみください」


 悠馬は思った。


 ――お店だ。

 

 安売りの素麺を、金銭のやり取りが発生するレベルまで昇華している。

 ノーラが準備した素麺セットを、一同は心行くまで楽しむ。


「アリス! お主、さきから鶏肉しか取ってないではないか! あと、ミョウガを器用に除去するでない!」


「ふぁって、おほうはまだって……」


「なんでもいいから、アリスは飲み込んでから喋れ! ってミョウガを俺の麵つゆに入れるな! 好きだが自分の分は自分で食えっ!」


「やれやれ、相変わらずやかましいね」


「ヴァレンタイン様。 錦糸卵はお素麺ではありませんので、そのように啜るのはご法度かと」


「あら? そうかい?」


 いつものように騒がしいオグリ家騎士団は、昼食終え午後の予定確認へと移る。

 

「とりあえず、管理局へ行くか。 望海がどうなったかも気になるし」

「そうだな! 仲介ではなく、我々が金銭を渡せば問題ないであろう!」


 そういうドレイヴンに対し「いやいや、贈与税とか……」と悠馬が言いかけた時。


「――管理局には、わたしも着いていくよ」


 思いもよらない、ヴァレンタインの言葉に、一同は目を見合わせる。

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