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戦闘スキル無しの元・狂戦士。~案内人の男、最短の矢印で最強の異世界騎士団を導き現代ダンジョンを無双する~  作者: くるまAB
第2章:重なり合う異世界

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50/80

50. 波紋の夜、終焉と幕開け

いつも応援ありがとうございます!

特級ダンジョンでの死闘、そして時空を超えた親子・仲間の再会……。激動の第2章も、ついにこのエピソードで幕を閉じます。悠馬の受難(とお財布の危機)と、ドレイヴンパパの豪快な暴走を最後までお楽しみください!


――――

 目をむくようなス〇ローでの会計に絶望した悠馬。

 涙目になりつつも、千葉の家へようやく辿り着いた。

 

 あまりに濃密すぎた今日の終わりに、悠馬は玄関に荷物を投げ出した。


「ここがユーマの根城か! わが辺境伯邸の馬小屋よりはマシなようだな! がははっ!」

「悪いな、馬小屋レベルで。……とにかく、今後の話をしよう。ってその前に風呂だな」


 女子3人は代わる代わる、風呂へ入るため、男2人は台所へと追いやられる事となった。

 狭いキッチンで、フルプレートの巨漢が椅子へと座る。

 

「ユーマ!酒はないのか。 男子たるもの酒を飲まねば、日が終わらんと言うものだ!」

「酒ねぇ、俺あんま飲まないから……っと、あったあった」


 悠馬がシンク下から取り出したのは、引っ越し祝いでもらった「〇龍」とラベルの貼ってある日本酒だ。


「ドレイヴンさん、『黒い死神』ぶっ倒したんだろ? じゃあ、色繋がりって事でおあつらえ向きだな」

「良い事言うではないか!どうだユーマも一緒に飲もう!勝利の美酒を共に味合おうではないか!」

 

 いわれるまでもなく、2つの小さなコップを手に対面へと座る。


 トクトクと注がれる日本酒にドレイヴンは興味津々であった。


「まるで水のような酒だな、これでは大して酔えないのではないか?」

「まぁまぁ、飲んでみろって。この日本が代表する酒の1つ『日本酒』だ、後悔はさせないぜ」


「ふむ」とコップを掲げ、しげしげと観察する。


 「じゃあ、ドレイヴンさん。乾杯だ」

 「そうであるな。 勝利と出会いに乾杯!」

 

 コップに口をつけた瞬間、ドレイヴンの目がこれでもかと開かれる。

 そのまま、一気に飲み干す。


「ぷはーーっ!なんという旨味! このような繊細かつ強烈な酒は初めてだ!」

「そうだろう、そうだろうとも。今日食べたコメが原料になっているから、日本食とよく合うんだよ」

 

「たしかに、スシと一緒にか……いかん、よだれが出てきた」


 白菜漬けなど、簡単なツマミをあてに男2人、親睦を深めていく。


「時にユーマ、お主伴侶はおらぬのか」

「おっと、突っ込んでくるね。 残念ながらそう言うのは無縁だね、今は」


「ほほぉう。今はという事は過去には居たという事だな。 隅に置けんやつよ」

「あぁ、確かにいたよ。何よりも大事で、大切な……何物にも代えがたい存在ってやつがな」

 

「なんぞ、含みのある言い方だな。 だが、これ以上は野暮というものか」

「まぁ、タイミングがあれば今度話すよ。そん時はまた酒でも飲もう」

 

「がははっ!それは楽しみが増えたな!」


 その時、キッチンの扉が開く。


「悠馬お兄さん、お風呂空きましたよ。ってパパ!顔真っ赤です!お酒飲んでるんじゃないですか?」

「御屋形様、お医者様から控える様にとあれほど」

「おや~。酒と聞こえたが、まさか私を差し置いて酒盛りとはいい度胸じゃないか」

 

 女3人寄れば何とやらだ。

 キッチン内の空気が一変する。


「いや、これは違うのだ!ユーマが今日の勝利にと言って無理やり。な?ユーマよ!お主からも何とか言ってくれ!」

 

「俺からは何とも、それよりアリスさっき『パパ』って言ってなかったか?たしかダンジョンでも……いつもはパパ呼びなのか?」

 

「えっ!ソ、ソンナコトナイデスヨー」


 お風呂上りのせいか、はたまたそれ以外が原因か、アリスは顔を真っ赤にしながら走って逃げていった。


「なんだありゃ」

 悠馬の一言に笑いが起こる。


 ――――――

 

 男連中の風呂も終わったところで、リビングに集まった面々。

 悠馬は「向こう側」と連絡を取るために、黒い板を持って特級ダンジョン下層へ向かうことを提案する。


「ああ。ユーマ、ワシもその『特級ダンジョン』とやらに同行させてもらうぞ。アリスたちが世話になった礼もせねばならんし、マグノリアにはワシから報告せねばな。主の務めというやつよ」

 

「ドレイヴンさん、あんたが来るなら心強いが……。ヴァレンタインさんは?」

 

「私はパスだよ。この世界には解析すべきものが多すぎる。明日からはここに残って、この『パソコン』と『スマホ』というやつを弄らせてもらうよ。……置いていきな」


 妖艶な笑みで命令され、悠馬は「壊すなよ?」とタンスの奥に眠っていた予備の端末を差し出した。

 魔導具職人に現代文明の火を渡すのは、火薬庫で煙草を吸うような気分だった。


「さて、ドレイヴンさんを特級へ連れて行くなら、正式な『チーム登録』が必要だ。実績のない人間を特級にダイブさせるわけにはいかないからな」

「チーム、か。ワシとアリス、ノーラの3人……そこにユーマ殿が入るのだな」


「いや、逆なんだが……まぁいいや。……で、チーム名なんだが」


 ここからが地獄だった。

 

「ガードルド最強騎士団異世界出張版」を推すドレイヴン、「アリスリア様と親衛隊」を譲らないノーラ。

 結局、悠馬の「……もう、『オグリ家騎士団』でいいだろ。俺の名前入ってるし」という投げやりな折衷案で、しぶしぶ決着がついた。


「よし、明日は管理局で手続きだ。今日はもう寝るぞ……」


 ――深夜、丑三つ時。


 静まり返った日本を、巨大な魔力の波動が「波紋」のように突き抜けた。

 大阪を中心としたその衝撃は、物理的な被害こそないものの、スキルを持つ者、いわゆる魔力に敏感な者たちの神経を激しく逆なでした。


「……っ! 何だ、今のは!」


 真っ先に飛び起きたのは悠馬、そしてオグリ家騎士団の面々だった。

 庭に飛び出し、夜の冷気に身を晒す。


「……今のは、帝国の『禁忌魔法』に近い感覚でしたが、それよりも遥かに禍々しい……」

「北の空からではないな……西だ」


 ノーラとドレイヴンが険しい表情で夜空を睨む。

 その時、悠馬の視界に、これまで一度も見たことのない色が走った。


「――っ!?」


 黄金でも、青でもない。

 禍々しく、それでいて抗いがたい引力を放つ、少し赤みがかった「紫色の矢印」。

 

 それは深夜の闇を切り裂くように、真っ直ぐに西――大阪の方向を指し示していた。


 悠馬のスキル『道標ガイドポスト』が、本人の意思を無視して、次なる戦場を確定させた瞬間だった。



 ――第2章・完。


 重なり合う2つの世界。道標ガイドポストは今、未知なる「紫色」の輝きを放ち、西へと誘う。

お読みいただきありがとうございます!


ついに第2章、堂々の完結です!

激闘の後の日本酒での乾杯、そして「オグリ家騎士団」という(悠馬の妥協が詰まった)チーム結成。束の間の平穏に心温まった直後、西の空から放たれた不穏な「紫色の波紋」……。

悠馬のスキルが示した、かつてない「紫色の矢印」が何を意味するのか。大阪を舞台に、物語はさらなる混沌と興奮の第3章へノンストップ突き進みます!


毎日18時に更新しております!

※明日の新章開始日は18時に2話一挙公開! 以降は毎日1話更新となります。


「2章完結おめでとう!」「大阪編楽しみ!」と思っていただけたら、作品フォローやブックマーク、星(★★★★★)での応援をよろしくお願いします!


皆さまからのリアクションが執筆の原動力となります!

いつも、読んでいただき本当にありがとうございます!

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