↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推し活侍女 〜お嬢様がどう見ても最高なので、その魅力を語っていたら、いつの間にかみんなお嬢様推しになっていました〜  作者: ちょこだいふく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/18

10.エマの企み

伯爵夫人との話から数日後の昼下がり。

その日、私はアリシア様のお供で屋敷を離れていた。


——その頃


厨房では、エマたちが遅めの昼食を取っていた。


「そういえばさ」


エマがパンをちぎりながら言った。


「最近のメアリ、すごく楽しそうじゃない?」


向かいに座っていた侍女が笑う。


「分かる。アリシア様付きになってから特に」


「よね」


「というか、アリシア様の話してる時だけ妙に幸せそう」


「それは前からよ」


料理長まで笑って話に加わってきた。


「あの子、この前アリシア様が焼き菓子を二つ食べたってだけで、ものすごい顔してたぞ」


「見た見た」


「そんなに嬉しいものなのかしら」


「メアリには嬉しいんじゃない?」


そこでエマが、ふと思いついたように顔を上げた。


「ねえ」


「なに?」


「だったらさ」


少し悪戯っぽく笑う。


「私たちが見つけたアリシア様のこと、書いておいたらあの子喜ぶんじゃない?」


一瞬、みんなが黙り、それから


「それ、良い!!」


「絶対喜ぶわよ!」


「この前も私が庭師の話したら、ものすごく食いついてきたもの」


「じゃあ書こうよ」


「何に書く?」


「うーん、ノートない?」


急に話が弾み始めた。

エマが立ち上がり、厨房の棚を探し始める。


「確かこの辺に…あった!」


取り出したのは、一冊の薄いノートだった。


「これでいいんじゃない?」


「いいじゃないの」


「最初、誰が書く?」


「言い出したエマでしょ」


「え、私?」


「ほら、早く」


笑い声の中、エマはペンを取った。

少し考えてから、書く。


『本日、アリシア様。庭師の帽子が風で飛ばされた時、拾って渡していた。——エマ』


「どう?」


「いいじゃない」


すると別の侍女が身を乗り出す。


「あ、私もある!」


「なになに?」


「昨日、新入りの子が花瓶を落としそうになった時、アリシア様が支えてくださったの」


「書いて書いて!」


「あ、私も!」


「料理長は?」


「俺?」


「何かないの?」


料理長は少し考えてから笑った。


「昨日のスープを、美味しかったと言ってくださったな」


「それ!」


「しかも少しおかわりされた」


「それ絶対メアリ喜ぶ!」


「書こう!」


気付けば、みんなで一冊のノートを囲んでいた。


最初はただメアリが喜びそうだから、それだけだった。けれど


「こうして書いてみるとさ」


一人の侍女がページを眺める。


「アリシア様って、意外と色々してるのね」


「そうね」


「ちゃんと見てないと気付かないけど」


「……ちょっと可愛いところもあるしね」


「分かる」


「この前、猫に逃げられて少ししょんぼりしてた」


「それ書いて!」


「それは書いていいの!?」


また笑い声が上がる。

エマは楽しそうにノートを閉じた。


「メアリ、どんな顔するかな」


「絶対あの顔よ」


「どの顔?」


「アリシア様の話聞いた時の、あの幸せそうな顔」


みんなが笑った。


「早く見せたいね」


その頃、そんなことになっているとは知らない私は、アリシア様の隣で、今日も完璧な侍女を目指していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。